舞う(読み)マウ

デジタル大辞泉 「舞う」の意味・読み・例文・類語

ま・う〔まふ〕【舞う】

[動ワ五(ハ四)]
音楽などに合わせて手足を動かし、ゆっくり回ったり、かろやかに移動したりする。「ひと差し―・う」「銀盤に―・うスケーター
円形を描くようにして空を飛ぶ。空中をただよい動く。「とんびが―・う」「紙ふぶきが―・う」「ほこりが―・う」
くるくるまわる。
「をかしく―・ふものは…平等院なる水車」〈梁塵秘抄・二〉
あわただしく動きまわる。
「きのふ今日けふ雲のたち―・ひ隠ろふは花の林を憂しとなりけり」〈伊勢・六七〉
畑の作物が枯れる。
茄子なすびの枯るるをば、百姓みな―・ふといふなり」〈咄・醒睡笑・七〉
[可能]まえる
[補説]「踊る」が、本来、とびはねる意であるのに対し、「舞う」は地をするように旋回する意を本義とする。
[類語](1踊る踊り舞踊舞踏ダンスバレエ/(2飛ぶかけ天翔あまがけ飛翔ひしょうする飛行する高翔こうしょうする滑翔かっしょうする飛来する・滑空する・舞い立つ舞い上がる舞い降りる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「舞う」の意味・読み・例文・類語

ま・うまふ【舞】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ワ行五(ハ四) 〙
    1. ぐるぐる回る。めぐる。
      1. [初出の実例]「飄風(つむしかせ)、忽に起て匏を引て水に没(しつ)む。匏、浪の上に転(マヒ)つつ沈まず」(出典:日本書紀(720)仁徳一一年一〇月(前田本訓))
      2. 「臥したる牛、立ち走りて、御堂ざまにまいりて、三廻りまふ」(出典:古本説話集(1130頃か)七〇)
    2. (音楽に合わせて)手足を動かし、ゆっくり回りながら、リズムに合った動作をする。→補注
      1. [初出の実例]「歌ひつつ 醸(か)みけれかも 麻比(マヒ)つつ 醸みけれかも この御酒の 御酒の あやにうただのし ささ」(出典:古事記(712)中・歌謡)
      2. 「嬉しき人の言葉かな、それにつけても身を砕き、法楽の舞を舞ふべきなり」(出典:謡曲・百万(1423頃))
    3. 鳥などが、空を飛び回る。あちらこちら飛びめぐる。また、落葉紙片などが、ひらひら飛ぶ。
      1. [初出の実例]「ほととぎすなきまふ里の繁ければ山べに声のせぬもことわり」(出典:兼輔集(933頃))
    4. ( 眩 ) 目がくらくらして、まわりのものが回るように感ずる。目が回る。目まいがする。
      1. [初出の実例]「目もまひ膝もふるふ事のある我身なれば」(出典:延慶本平家(1309‐10)五本)
    5. あちこち走り回る。また、急いで行く。
      1. [初出の実例]「良正独り因縁を追慕して、車の如く常陸の地に舞(まヒ)廻る」(出典:将門記承徳三年点(1099))
    6. 世の中や人々の間を動き回って、身を処していく。→立ち舞う
    7. 畑の作物が枯れる。特に、茄子(なす)についていう。
      1. [初出の実例]「惣別、茄子の枯るるをば、百姓みなまふといふなり」(出典:咄本・醒睡笑(1628)七)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙 買う。人形浄瑠璃社会でいう。
    1. [初出の実例]「『やん(〈注〉女郎)』を『舞(〈注〉カヒ)』てへ」(出典:滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)下)

舞うの補助注記

[ 一 ]類義語に「おどる(踊)」があるが、それは本来、とびはねる意であるのに対し、「まう(舞)」は[ 一 ]のように回る意で、もとは別意。→「まい(舞)」の語誌

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