デジタル大辞泉
「荒涼」の意味・読み・例文・類語
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こう‐りょう クヮウリャウ【荒涼】
〘名〙 (形動ナリ・タリ)
① 風景などが荒れはててものさびしいこと。気持が荒れすさんでいること。また、そのさま。
荒寥。
※凌雲集(814)奉和聖製宿旧宮応製一首〈
藤原冬嗣〉「荒凉霊沼龍還駐、寂歴稜岩鳳更尋」
※火の柱(1904)〈木下尚江〉五「
劇烈なる
男児の荒涼が、
春霞の如き
婦人の聖愛に包まれて始めて和楽を得」 〔孔稚珪‐北山移文〕
② 漠然としていて要領をえないこと。つかみどころがないこと。また、そのさま。また、確かな根拠がなくいいかげんであること。また、そのさま。
広量。
※天徳四年内裏歌合(960)「右歌いづらに来つつは見るぞ、頗荒涼也」
③ (━する) 軽率であること。うっかりすること。不注意であること。また、そのさま。広量。
※大鏡(12C前)三「荒凉して心しらざらむ人のまへにゆめがたりな、このきかせ給ふ人々、しおはしまされそ」
※
醍醐寺文書‐文治二年(1186)八月二六日・沙門某処分状「縦雖
レ為
二彼門弟
一、荒涼之人尤不
レ可
二相承
一、況他人乎」
⑤ 尊大なものの言い方であること。また、広言するさま。ぶしつけ。広量。
※平家(13C前)九「参会したる大名小名みな、荒凉の
申様かなとささやきあへり」
[
語誌](1)漢語本来の
意味は、「すさまじい」であるが、
平安時代に
男子の日常語として、
原義から離れて②の「とりとめもない、でたらめ」という意味に転じ、
中世には、③の「うっかりと、
無思慮に」という心的な意を内包するようになる。
(2)古くは、「
色葉字類抄」に見える「荒涼」の
表記が一般的であったが、②③の意で「
今昔物語」には「広量」がもっぱら用いられている。→
こうりょう(広量)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
普及版 字通
「荒涼」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報