寂寞(読み)セキバク

デジタル大辞泉 「寂寞」の意味・読み・例文・類語

せき‐ばく【寂×寞】

[ト・タル][文][形動タリ]
ひっそりとして寂しいさま。じゃくまく。
人居を遠く離れた―たる別世界にも」〈柳田・山の人生
心が満たされずにもの寂しいさま。じゃくまく。
斯ういう―たる団欒だんらんの中に」〈漱石行人
[類語]寂寥せきりょう索漠さくばく落莫らくばく蕭然しょうぜん蕭蕭しょうしょう蕭条しょうじょう蕭殺しょうさつ寥寥りょうりょう寂しい徒然つれづれ徒然とぜん手持ち無沙汰退屈所在ない持て余す無聊ぶりょうひま手透き手明き用無し閑散開店休業物寂しいさみしいうら寂しいこころ寂しいわびしい人恋しい孤愁人懐かしい物恋しい小寂しい哀感寂寞じゃくまく落莫らくばくすがれるうらぶれるさびれるしみじみたそがれ萎靡いび愁いさむざむセンチメンタル落日廃れるうら悲しいしんみりむせぶ哀愁悲愁憂愁物悲しい衰勢物哀れ落ちぶれる物思わしい切ない衰退衰残哀切諦観春愁幽愁秋風索漠愁思秋思愁然衰亡孤独盛者必衰やるせない

じゃく‐まく【寂×寞】

[名・形動]ひっそりしていてさびしいこと。また、そのさま。せきばく。
「何となく斯う―な瞑想に耽って居るようで」〈藤村破戒
[ト・タル][文][形動タリ]さびしく、静かなさま。
「路上の小砂利が―とした光の中に」〈二葉亭訳・片恋
[類語]物寂しいさびしいさみしいうら寂しいこころ寂しいわびしい人恋しい孤愁人懐かしい物恋しい小寂しい哀感寂寥せきりょう寂寞せきばく索漠落莫らくばく蕭然しょうぜん蕭蕭しょうしょう蕭条しょうじょう蕭殺しょうさつ寥寥りょうりょう徒然つれづれ徒然とぜんすがれるうらぶれるさびれるしみじみたそがれ萎靡いび愁いさむざむセンチメンタル落日廃れるうら悲しいしんみりむせぶ哀愁悲愁憂愁物悲しい衰勢物哀れ落ちぶれる物思わしい切ない衰退衰残哀切諦観春愁幽愁秋風索漠愁思秋思愁然衰亡孤独盛者必衰やるせない

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「寂寞」の意味・読み・例文・類語

せき‐ばく【寂寞】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用タリ 〙 ひっそりとしてものさびしいさま。寂歴。じゃくまく。
    1. [初出の実例]「寂寞精禅処。俄為積草」(出典懐風藻(751)和藤江守詠裨叡山先考之旧禅処柳樹之作〈麻田陽春〉)
    2. 「声のみ高き深山辺(みやまべ)は、寂寞(セキバク)として物もなし」(出典:読本椿説弓張月(1807‐11)残)
    3. [その他の文献]〔楚辞‐遠遊〕

じゃく‐まく【寂寞】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動ナリ・タリ ) ( 「じゃく」「まく」はそれぞれ「寂」「寞」の呉音 ) ひっそりとしてものさびしいこと。また、そのさま。せきばく。
    1. [初出の実例]「寂まく音せぬ山寺に、法華経誦して僧居たり」(出典:梁塵秘抄(1179頃)二)
    2. 「佳景寂寞(じゃくまく)として心すみ行のみおぼゆ」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)立石寺)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の寂寞の言及

【マチャード】より

…19世紀末および20世紀初めのマドリード,パリでボヘミアン的生活を送り,〈98年世代〉〈モデルニスモ〉の作家,知識人に接する。処女詩集《寂寞(せきばく)》(1903)とその改訂増補版《寂寞,回廊,その他の詩》(1907)には,モデルニスモ的なイメージもみられるが,基調はじみでかげりを帯び,形式や感覚を重視するR.ダリオらとは異なる内観的態度がすでに現れている。通底するテーマは〈時間〉〈記憶〉で,彼のすべての作品に響く〈時計の音〉は容赦なく流れゆく時間の暗喩であり,その音から逃れうる唯一の手段は〈夢みること〉である。…

※「寂寞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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