荘王(読み)ソウオウ

デジタル大辞泉 「荘王」の意味・読み・例文・類語

そう‐おう〔サウワウ〕【荘王】

[?~前591]中国春秋時代の王。在位、前614~前591。春秋五覇一人。名は侶。前597年、の景公を破って覇者となった。王の使者かなえ軽重を問うた逸話有名。→鼎の軽重を問う

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「荘王」の意味・読み・例文・類語

そう‐おうサウワウ【荘王】

  1. 中国、春秋時代の楚の王(在位前六一四‐前五九一)。春秋の五覇の一人。紀元前五九七年、晉の景公の軍を破って中原の覇者となった。周の使者に鼎(かなえ)の軽重を問うた逸話や「三年鳴かず飛ばず」の故事は有名。(?━前五九一

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「荘王」の意味・わかりやすい解説

荘王
そうおう
(?―前591)

中国、春秋時代の楚(そ)の王(在位前613~前591)。湖北を勢力圏とする楚は、前7世紀ごろから中原(ちゅうげん)に進出し始めた。山東の斉(せい)や山西の晋(しん)によって、楚の中原進出は阻まれる。荘王は県による地方掌握を進展させ、中原を圧迫し、後世覇者と称された。前606年、荘王は洛陽(らくよう)の近くで武威を誇示した。その際、周王室の鼎(かなえ)の軽重を問うたという。楚を評価する者はこれを快挙ととらえ、批判する者は皮肉を述べる。『左伝』に紹介されたこの説話では、鼎は王の徳を議論すべきものであるとし、まだ周の徳は衰えていないとする。軽重を問うたのはお門違いだという評価を示している。前597年、鄭(てい)の救援に出動した晋を大破した邲(ひつ)の戦いも、荘王の名を高めている。荘王は、一度県にした陳を回復したり、食糧に窮した宋(そう)の囲みを解くなどしており、『史記』ではこれを道徳的に評価しているが、一面、文化伝統が異なる中原の地は、掌握することが困難であったことを示している。

[平勢隆郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「荘王」の意味・わかりやすい解説

荘王[楚]
そうおう[そ]
Zhuang-wang; Chuang-wang

[生]?
[没]荘王23(前591)
中国,春秋時代君主で五覇の一人 (在位前 613~591) 。穆 (ぼく) 王の子で,名は侶。荘王8 (前 606) 年河南省中央部にいた陸渾 (りくこん) の戎を討ち,周の領域まで兵を進め,その際周王の使者に対して「鼎 (かなえ) の大小,軽重 (周王朝があとどのくらい続くかという非礼な問い) 」を問うたことは有名である。ひつ (河南省) の戦いで晋を破り (前 597) ,同 20年には宋を撃破し覇者となった。元来楚は周王の権威を認めなかったので周室を尊ぶ会盟はしていない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「荘王」の解説

荘王(そうおう)
Zhuang Wang

?~前591(在位前613~前591)

楚(そ)の王。荀子(じゅんし)や孟子(もうし)があげる春秋の五覇の一人。淫楽にふけっていたが,伍拳(ごけん),蘇従(そじゅう)の諫言名君となる。陸渾(りくこん)の戎(じゅう)を討って洛水まで進軍し,周王の使者王孫満(おうそんまん)からねぎらいを受けた。このときに夏,殷(いん),周と伝えられた鼎(かなえ)の重さを尋ねた。この「鼎の軽重(けいちょう)を問う」とは相手の権威を疑う言葉になった。会盟の主宰者にはならなかったが,陳,鄭(てい),宋との戦いでは,相手に仁愛を示して譲歩した。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「荘王」の解説

荘王
そうおう

?〜前591
中国,春秋時代の楚の王(在位前613〜前591)
父祖の北進政策を受け継いで中原諸侯国を支配下に置いた。前597年,晋を破り,春秋の五覇のひとりとして勢威を誇った。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の荘王の言及

【春秋戦国時代】より

…こののち華北では晋が覇者の地位を保っていたが,南の楚が勢力を増し,北上の力を強め,鄭などをその傘下に入れるに至った。前606年には楚の荘王(在位,前613‐前591)は洛陽の南の蛮族を討ち,周の国境近くで観兵式を行って力を誇示し,周王の使者に対して,王位の象徴として王室に伝えられた九鼎の軽重を問い,これを楚に移して王位を譲ることを暗に求めたといわれる。これ以後,歴史は楚を中心とする南と,晋を中心とする北との対立の形勢となり,両強国の間にあった諸国は,2国の抗争に巻き込まれ,戦いに明け暮れた。…

※「荘王」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android