精選版 日本国語大辞典「葬」の解説
ほうむ・る はうむる【葬】
〘他ラ五(四)〙 (「ほうぶる(葬)」の変化した語)
① 死体や遺骨などを土の中に埋める。埋葬(まいそう)する。
※発心集(1216頃か)五「我が師今朝にはかに命終り給ひぬれば、おのれひとりして葬(ハウムリ)をさめたてまつらん事」
② ある物事を表面に出さないで隠してしまう。取り上げて問題にすることなく、そのままにする。多く、不都合な事柄などをおおい隠す意に用いる。
※冷笑(1909‐10)〈永井荷風〉七「この怪物を〈略〉造作も無く葬ってしまふに違ひない」
③ 人の失敗や悪業などを暴露・攻撃して、その社会的な立場を失墜させる。世間に出られないようにする。
※冷笑(1909‐10)〈永井荷風〉七「自分の名と芸術とは〈略〉時代と共に葬られてしまふ運命を持ってゐる事を」
④ 捨てる。無駄にする。
※青春(1905‐06)〈小栗風葉〉秋「半生を葬って、希望も失へば目的も棄てる」
はぶ・る【葬】
〘他ラ四〙
※読本・雨月物語(1776)白峯「武きつはものどもおほく鼇魚(こうぎょ)のはらに葬(ハブ)られ」
② 死者を火葬にする。だびにふする。
※今物語(1239頃)「はふりけるに、其の火に此の女飛び入りて」
はぶり【葬】
※東大寺諷誦文平安初期点(830頃)「家に留りて相恋ふる妻子は其の葬(ハフリ)の墓をも知らず」
そう サウ【葬】
〘名〙 死者をほうむること。葬儀。葬送。
※貞享版沙石集(1283)七「弟子共処分論の中あしくて問答し、葬もせず」
※咄本・軽口露がはなし(1691)五「あすは上の町より結構成葬(ソウ)が有」 〔易経‐繋辞下〕
ほうぶ・る はうぶる【葬】
〘他ラ五(四)〙 死体を墓所などに納める。ほうむる。
※史記呂后本紀延久五年点(1073)「九月辛丑葬(ハウフル)」
※坑夫(1908)〈夏目漱石〉「生きながら葬(ハウブ)られる覚悟でもあり」
ほうぶり はうぶり【葬】
〘名〙 (動詞「ほうぶる(葬)」の連用形の名詞化) ほうむること。ほうむり。埋葬。また、その儀式。葬式。
※大和(947‐957頃)一六八「御はふふりの夜、御供にみな人つかうまつりける中に」
そう‐・する サウ‥【葬】
〘他サ変〙 さう・す 〘他サ変〙 死者をほうむる。
※今昔(1120頃か)二七「母をば子共葬してけり」
※太平記(14C後)二「さて泣々死骸を葬(サウ)し奉り、空しき遺骨を頸に懸け」
ほうむり はうむり【葬】
〘名〙 (動詞「ほうむる(葬)」の連用形の名詞化) 埋葬。葬式。葬送。
※仮名草子・清水物語(1638)下「身をうりてはうむりをつとめ」
そう‐・す サウ‥【葬】
〘他サ変〙 ⇒そうする(葬)
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