藺牟田池(読み)イムタイケ

デジタル大辞泉 「藺牟田池」の意味・読み・例文・類語

いむた‐いけ〔ゐむた‐〕【藺牟田池】

鹿児島県薩摩川内さつませんだい市にある火口湖周囲を450~500メートルの火山群に囲まれた標高295メートルに位置する。面積0.4平方キロメートル、周囲2.6キロメートル、最大深度3.5メートルのほぼ円形状を示す。ベッコウトンボの生息地保護区、また、泥炭形成植物群落が国の天然記念物指定。平成17年(2005)ラムサール条約に登録された。藺牟田湖。

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日本歴史地名大系 「藺牟田池」の解説

藺牟田池
いむたいけ

答院町南西部の藺牟田火山群の中央部に位置する小火口湖。外輪を飯盛いいもり山・舟見ふねみ岳・山王さんのう岳・片城かたしろ山・遠見とおみじようなど標高四三〇―五〇〇メートル台の山々に囲まれる湖沼形成サイクルの晩期に属する湖。水面標高約二九五メートル、最大水深約三・五メートル、直径約一キロ、周囲約四キロでほぼ円形の湖盆状地形をしている。北側から西側にかけての約三分の一は湿原化してヨシアンペライ、ススキほか各種の泥炭形成植物が群生しており、湖面には大小無数の浮島とともにジュンサイ類ほかいろいろな水草群落が浮遊している。当池に繁茂して泥炭を形成する植物群落は温暖な南国地方では非常に珍しく、藺牟田池の泥炭形成植物群落として国の天然記念物に指定されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「藺牟田池」の意味・わかりやすい解説

藺牟田池
いむたいけ

鹿児島県薩摩川内市(さつませんだいし)祁答院町(けどういんちょう)藺牟田にある藺牟田火山の火口湖。片城(かたしろ)山、山王岳、舟見岳、飯盛(いいもり)山など標高500メートル前後の山に取り囲まれている。面積約0.6平方キロメートル、水面標高295メートル、直径約1キロメートルでほぼ円型の湖盆である。最大水深は約3.5メートルであるが、その西側3分の1は、ヨシ、ネビキグサ(アンペライ)などの泥炭形成植物により湿原化し、随所に浮島もみられる。水面にはジュンサイ類が漂い、水色褐色で腐植栄養型の湖沼に分類される。泥炭形成植物群落は国指定天然記念物。またこの付近一帯は県立自然公園地区となっている。近くにはひなびた藺牟田温泉もあり、西岸には鹿児島勤労者いこいの村が設けられている。JR川内駅からバスの便がある。なお、藺牟田池は2005年(平成17)に、ラムサール条約登録湿地となった。

[塚田公彦]


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改訂新版 世界大百科事典 「藺牟田池」の意味・わかりやすい解説

藺牟田池 (いむたいけ)

鹿児島県薩摩半島北部,薩摩川内市の旧祁答院(けどういん)町にある火山性湖。標高295mで,まわりを数個の小火山が取りまいている。周囲2.6km,最大水深3.5m。湿地性植物の群落が浅い水中に密生して泥炭をつくっているので有名である。泥炭の厚さは時には1m以上に達し,減水時は底に固定されているが増水時には浮いて漂う。これが浮島で,泥炭形成植物群落は天然記念物になっている。またジュンサイやヒシもとれる。湖岸には桜並木やアジサイの群落があり,公共の宿泊設備やキャンプ場もあって,藺牟田池県立自然公園に指定されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「藺牟田池」の意味・わかりやすい解説

藺牟田池
いむたいけ

鹿児島県北西部,薩摩川内市にある藺牟田火山の火口湖。面積 0.42km2,水面標高 295m,最大水深 3m。湖の中には大小約 300の浮島(泥炭形成植物群落)が浮遊し,国の天然記念物に指定されている。湖水は周囲の泥炭層からの流入水のためやや褐色。湖岸は火山の外輪山である片城山,舟見岳などに取り囲まれる。湖面にはイグサが自生,ジュンサイも生育。サクラの名所として知られる池畔にはサイクリングロードやキャンプ村,釣場などがあり,行楽地としてにぎわう。付近には入来温泉,諏訪温泉,藺牟田温泉などの温泉地がある。藺牟田池県立自然公園に属する。2005年ラムサール条約に登録。

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百科事典マイペディア 「藺牟田池」の意味・わかりやすい解説

藺牟田池【いむたいけ】

鹿児島県薩摩郡祁答院(けどういん)町(現・薩摩川内市)にある藺牟田火山の火口湖。水面標高295m,周囲2.6km,最深3.5m。湖岸に泥炭形成植物群落(天然記念物)があり,増水時にはこの泥炭層が浮島になる。イグサやジュンサイなども自生。2005年11月にラムサール条約登録湿地となる。
→関連項目祁答院[町]ラムサール条約

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事典 日本の地域遺産 「藺牟田池」の解説

藺牟田池

(鹿児島県薩摩川内市)
ラムサール条約湿地」指定の地域遺産。
ベッコウトンボ生息地。藺牟田池ベッコウトンボ生息地保護区管理地区

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