(読み)はだか

精選版 日本国語大辞典 「裸」の意味・読み・例文・類語

はだか【裸】

〘名〙
① (形動) 全身がむきだしになっていること。身に衣類などをまとっていないさま。あかはだか。すはだか。裸体(らたい)。《季・夏》
※地蔵十輪経元慶七年点(883)一「露形(ハダカ)なる者の為には」
※宇治拾遺(1221頃)三「さうなく湯殿へゆきて、はたかになりて」
② (形動) 転じて、表面に、おおいや飾りなどがないこと。むき出しのままであること。また、そのさま。
南方録(17C後)墨引「天目新しき瀬戸はたかにて茶具仕こみ台にのせ三分がかりにして」
※或る女(1919)〈有島武郎〉後「修道院の内部のやうな裸かな室内が却てすがすがしく見えた」
③ (形動) 無一物なこと。財産所持品などがまったくないこと。また、そのさま。
※浮世草子・本朝二十不孝(1686)四「する程の事左前に成て元手をへらし、裸(ハダカ)になりぬ」
④ (形動) つつみ隠すところがないこと。ありのままであること。率直であること。また、そのさま。
※コンテムツスムンヂ(捨世録)(1596)三「バンジトモニ ヌギステ fadaca(ハダカ) ニ ナレト ヲモウ ナリ」
⑤ 特に、嫁入りの時、何の嫁入支度もしないことをいう。
※俳諧・西鶴五百韻(1679)何秤「もたねども商ひ上手に生れつき〈西友〉 物かく物縫ふ裸(ハタカ)てもよへ〈西吟〉」

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デジタル大辞泉 「裸」の意味・読み・例文・類語

はだか【裸】

身に衣類を着けていないこと。また、そのからだ。「上半身になる」 夏》
覆いや飾りがなく、むき出しであること。「心付けで渡す」
包み隠しのないこと。「のつきあい」
財産・所持品などが全くないこと。無一物。無一文。「事業に失敗してになる」
[補説]書名別項。→
[類語](1裸体らたい裸身らしん裸形らぎょう全裸ぜんら赤裸せきら真っ裸素っ裸ヌード丸裸半裸/(2き出し丸出し露出裸出らしゅつ露呈あらわあからさま露骨漏洩ろうえい漏れる漏洩ろうせつ筒抜け・漏れ出る・漏らす漏出リーク露見発覚ばらすばれる暴露暴く暴き立てる/(4無一文むいちもん無一物むいちもつ一つすってんてん文無し裸一貫丸裸身すがらおけら素寒貧

ら【裸】[漢字項目]

常用漢字] [音](呉)(漢) [訓]はだか
〈ラ〉衣服をつけず肌をむきだしにする。はだか。むきだし。「裸眼裸出裸体裸婦裸子植物全裸半裸赤裸裸
〈はだか〉「裸馬裸一貫丸裸
難読裸足はだし

はだか【裸】[書名]

大道珠貴短編小説。平成11年度(1999)の第30回九州芸術祭文学賞にて最優秀作品賞を受賞し、平成12年(2000)「文学界」誌に掲載同作を表題作とする小説集は平成14年(2002)刊行

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世界大百科事典 第2版 「裸」の意味・わかりやすい解説

はだか【裸】

肌をあらわにむき出す意の〈はだあか(肌赤,膚明)〉がつまった〈はだか〉は,衣服を身につけない状態のことをいう。D.モリスは,人は他の霊長類哺乳類のような毛皮がない〈裸のサルnaked ape〉であるというが,毛皮の代りに衣服をまとって寒を避け,危険を防ぎ,身を飾る。太古の人類には衣服がなかったが,現在もアフリカ,アジア熱帯地方には裸体で生活する民族がいる。ギリシア語ギュムノスgymnosは〈裸の〉という形容詞で,英語のgymnosperm(裸子植物)などに今も残っている。

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世界大百科事典内のの言及

【ヌーディスト運動】より

…裸体で生きることが真の生き方だと考え実践する人びとの運動。裸体生活を重視する考えは,古代ギリシア・ローマにすでに存在していたが,ヨーロッパにおいて裸体をタブー視したのはキリスト教であった。…

【裸祭】より

…参加者が裸形になって行う祭り。裸は生まれたままの清浄無垢な姿とみられたから,神聖な行事を行ったり神と交渉するには最適のものとみられた。…

※「裸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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