鈍色(読み)にびいろ

色名がわかる辞典の解説

にびいろ【鈍色】

色名の一つ。「にぶいろ」とも読む。薄をさした染色の伝統色名のこと。濃い鼠色。平安時代、貴族の喪服の色に用いられた。天皇の喪服も近い色だが、とくに錫紵しゃくじょと呼ばれた。それ以前の喪服はだったが、やがて灰色がかった薄墨になり、徐々に濃くなっていったとされる。その後、白に戻るが明治時代になって西洋の喪服の色であるになった。ややみがかった青鈍も、平安時代凶事に用いられたとされる。江戸時代になると鼠色が流行し、色に近い色が日常の着物に用いられた。

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デジタル大辞泉の解説

どん‐じき【鈍色】

法衣(ほうえ)の一。上衣袍(ほう))と袴(はかま)・裙(くん)と帯からなる単(ひとえ)のもの。無紋の絹で仕立て、僧綱領(そうごうえり)を立てる。鈍色の衣。

にび‐いろ【鈍色】

染め色の名。濃いねずみ色。昔、喪服に用いた。鈍(にび)。にぶいろ。

にぶ‐いろ【鈍色】

にびいろ」に同じ。
「―の雲の彼方に」〈有島或る女

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大辞林 第三版の解説

どんじき【鈍色】

白濁色。灰色。また、青・紅などのにごった色にもいう。にびいろ。
儀式のとき、高貴の僧が着る法衣の一種で、僧綱領そうごうえりを立てたもの。多くは白。正式には表袴うえのはかま、略式には指貫さしぬきを用いる。鈍色の衣。

にびいろ【鈍色】

染め色の名。橡つるばみで染めたねずみ色。喪服や出家した人の衣に用いた。にぶいろ。

にぶいろ【鈍色】

にびいろ(鈍色)」に同じ。 「 -の雲」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

鈍色
にびいろ

色名の一つ。やや藍(あい)色みのある薄墨色。「にぶいろ」ともいう。平安時代以降、公家(くげ)の喪服に用いられた色の一つ。亡くなった人との関係によって、鈍色の濃さ・薄さを変えて用いた。喪服として、男子は衣冠、直衣(のうし)、狩衣(かりぎぬ)、布衣(ほい)、下襲(したがさね)、指貫(さしぬき)など、女子は袿(うちき)に鈍色のものを着用する。『源氏物語』(葵(あおい))に「中将の君にびいろの直衣指貫うすらかに衣かへして」とある。
 この色は、青花(露草)の汁と墨で染めるとされている。青鈍色は青(緑色)みのある薄墨色で、凶時ばかりでなく、日常に尼や壮年の人が用いた。[高田倭男]

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世界大百科事典内の鈍色の言及

【衣帯】より

…いずれも紋織の綾などで仕立て,宮廷装束のものとほぼ同じである。
[法衣]
 もっとも一般的な法衣は,袍裳(ほうも),鈍色(どんじき),素絹(そけん),直綴(じきとつ)の4種である。(1)袍裳 法服(ほうぶく),袍服(ほうぶく)とも記し,上半身の袍と,下半身の裳とに分かれた仕立てである。…

【法衣】より

…赤色袍裳,香袍裳,黒袍裳,布袍裳の別がある。なお平安時代から,絹で仕立てた白色の同形式の鈍色(どんじき)も着用された。(3)裘代(きゆうたい),素絹(そけん),打衣(うちぎぬ),(かさね),空袍(うつほ)など平安時代に登場した裳付の法衣。…

※「鈍色」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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