鈍色(読み)にびいろ

  • ▽鈍色
  • どんじき
  • にぶいろ

色名がわかる辞典の解説

の一つ。「にぶいろ」とも読む。薄をさした染色の伝統色名のこと。濃い鼠色。平安時代、貴族の喪服の色に用いられた。天皇の喪服も近い色だが、とくに錫紵しゃくじょと呼ばれた。それ以前の喪服はだったが、やがて灰色がかった薄墨になり、徐々に濃くなっていったとされる。その後、白に戻るが明治時代になって西洋の喪服の色であるになった。ややみがかった青鈍も、平安時代は凶事に用いられたとされる。江戸時代になると鼠色が流行し、色に近い色が日常の着物に用いられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

色名の一つ。やや藍(あい)色みのある薄墨色。「にぶいろ」ともいう。平安時代以降、公家(くげ)の喪服に用いられた色の一つ。亡くなった人との関係によって、鈍色の濃さ・薄さを変えて用いた。喪服として、男子は衣冠、直衣(のうし)、狩衣(かりぎぬ)、布衣(ほい)、下襲(したがさね)、指貫(さしぬき)など、女子は袿(うちき)に鈍色のものを着用する。『源氏物語』(葵(あおい))に「中将の君にびいろの直衣指貫うすらかに衣かへして」とある。

 この色は、青花(露草)の汁と墨で染めるとされている。青鈍色は青(緑色)みのある薄墨色で、凶時ばかりでなく、日常に尼や壮年の人が用いた。

[高田倭男]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 薄黒い色。灰色。にびいろ。にぶいろ。どんしょく。
※醍醐寺新要録(1620)「僧正香也。法印以下有職至悉白色也。鈍色にふいろ訓。凡黒色事歟。雖然、黒色未見及。又旧記無之」
② 法衣(ほうえ)の一種。袍服と同じく上衣(袍(ほう))とはかま(裙(くん))と帯の三つから成るが、袍服が袷(あわせ)であるのに対して、単衣(ひとえ)である。無紋の絹の良質なもので仕立て、僧綱領(そうごうえり)を立てる。鈍色の衣。〔左経記‐長元八年(1035)三月二七日〕
※法体装束抄(1396)「御どんじきの御寸法、御裳以下いつでも御しゐにぶにおなじ」
〘名〙 染色の名。濃いねずみ色。昔、喪服に用いた色。にぶいろ。にび。
※九暦‐逸文・天暦八年(954)四月一五日「垣下公卿殿上人・諸大夫巻纓、着鈍色衣云々」
※宇津保(970‐999頃)国譲上「にぶ色の薄らかなる一かさねに」

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世界大百科事典内の鈍色の言及

【衣帯】より

…いずれも紋織の綾などで仕立て,宮廷装束のものとほぼ同じである。
[法衣]
 もっとも一般的な法衣は,袍裳(ほうも),鈍色(どんじき),素絹(そけん),直綴(じきとつ)の4種である。(1)袍裳 法服(ほうぶく),袍服(ほうぶく)とも記し,上半身の袍と,下半身の裳とに分かれた仕立てである。…

【法衣】より

…赤色袍裳,香袍裳,黒袍裳,布袍裳の別がある。なお平安時代から,絹で仕立てた白色の同形式の鈍色(どんじき)も着用された。(3)裘代(きゆうたい),素絹(そけん),打衣(うちぎぬ),(かさね),空袍(うつほ)など平安時代に登場した裳付の法衣。…

※「鈍色」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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