雌阿寒岳(読み)メアカンダケ

デジタル大辞泉 「雌阿寒岳」の意味・読み・例文・類語

めあかん‐だけ【雌阿寒岳】

北海道東部、阿寒湖の南西にある火山標高1499メートル。西麓に雌阿寒温泉がある。

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精選版 日本国語大辞典 「雌阿寒岳」の意味・読み・例文・類語

めあかん‐だけ【雌阿寒岳】

  1. 北海道東部、釧路(くしろ)支庁と十勝支庁の境にある火山。中マチネシリポンマチネシリ最高峰=一四九九メートル)・阿寒富士から成る。中腹までは針葉樹原生林におおわれる。アイヌ語名マチネシリ(雌山)。

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日本歴史地名大系 「雌阿寒岳」の解説

雌阿寒岳
めあかんだけ

阿寒町・白糠しらぬか町と十勝支庁管内足寄あしよろ足寄町の境界付近に位置する火山。阿寒国立公園の中にあり、標高は一四九九メートル(ポンマチネシリ)。アイヌ語ではマチネシリという(山川地理取調図など)阿寒カルデラの南西縁で、異なる火道から噴出した八つの火山体からなる。そのなかでおもなものは中マチネシリ、ポンマチネシリ、阿寒富士の三つで、この順に北東から南西に向かって並んでいる。前二者には現在も活発に噴気をあげる火口がある。雌阿寒岳の火山活動は第四紀の更新世末期から始まったが、約一万二〇〇〇年前に大規模な火砕噴火を起こし、中マチネシリ山頂に大きな火口が形成された。その後三〇〇〇―七〇〇〇年前の活動により、安山岩質あるいは石英安山岩質の溶岩および溶結火砕岩・降下火砕物からなるポンマチネシリが形成され、一〇〇〇―二五〇〇年前に阿寒富士が誕生した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雌阿寒岳」の意味・わかりやすい解説

雌阿寒岳
めあかんだけ

北海道東部,釧路市足寄町白糠町の境界に位置する火山活火山で,常時観測火山。標高 1499m。アイヌ語でマチネシリ(雌山の意)と呼ばれる。阿寒カルデラ南西壁上に形成された成層火山中央火口を主体に,剣ヶ峰(1328m),阿寒富士(1476m)などの峰を含む。近年では 1954~66,1988,1996,1998,2006,2008年に小規模な噴火が発生している。標高 1200m以上では高山植物が群生し,1000m付近はハイマツ,山麓一帯はエゾマツトドマツの原生林で,標高差により植物景観が明瞭に変化している。近くに阿寒湖阿寒湖畔温泉,雌阿寒温泉があり,阿寒国立公園の中心をなす。

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改訂新版 世界大百科事典 「雌阿寒岳」の意味・わかりやすい解説

雌阿寒岳 (めあかんだけ)

北海道東部,十勝支庁と釧路支庁との境界に位置する火山。山名はアイヌ語の〈マッネシリ(女の山)〉に由来し,雄阿寒岳の〈ピンネシリ(男の山)〉に対する。洪積世中期に激しい火山活動を繰り返した後に陥没して形成された長径24km,短径13kmに及ぶ阿寒カルデラの南西カルデラ壁上に噴出し,複雑な構造をもつ火山である。火山体の主要部は中央火口と呼ばれる中マチネシリとその側火山にあたり,最高峰のポンマチネシリ(1499m),阿寒富士(1476m)からなる。中央火口とポンマチネシリ火口の硫気孔から現在もたえず噴煙をあげており,とくに後者は1956年に水蒸気爆発おこし,周辺に被害を与えた。第2次大戦後は中央火口からの硫黄の採掘も行われていたが,現在は中止されている。阿寒国立公園の一部をなし,西麓には雌阿寒温泉(正苦味泉,42℃)もある。標高1000m付近まではエゾマツ,トドマツの原始林でおおわれ,1000m以上にハイマツの群落,1200m以上の各所に高山植物のお花畑がみられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雌阿寒岳」の意味・わかりやすい解説

雌阿寒岳
めあかんだけ

北海道東部、十勝(とかち)総合振興局管内の足寄町(あしょろちょう)と釧路(くしろ)総合振興局管内の釧路市の境界にある火山。標高1499メートル。北東15キロメートルの雄阿寒岳(おあかんだけ)をアイヌ語で「ピンネシリ」(雄山)というのに対し、「マチネシリ」(雌山)という。中央火口(中マチネシリ)を含む主要部と、ポンマチネシリ、阿寒富士などの寄生火山からなり、中央火口を含む主要部とポンマチネシリは現在も活動している。これらの火山群は阿寒カルデラ(長径24キロメートル、短径13キロメートル)が陥没し、その反動でカルデラ壁上などに噴出したもの。山麓(さんろく)は針葉樹林が広く分布し、六合目以上は低木林からハイマツ帯に変わり、高山植物も多い。阿寒摩周(ましゅう)国立公園域で、西麓の雌阿寒温泉から頂上まで約2時間を要する。

[進藤賢一 2018年5月21日]


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百科事典マイペディア 「雌阿寒岳」の意味・わかりやすい解説

雌阿寒岳【めあかんだけ】

北海道東部,阿寒国立公園南西端の活火山。マチネシリ(1336m),ポンマチネシリ(最高峰,1499m)と阿寒富士(1476m)からなり,山体は第三紀層を基盤とする安山岩。山頂に高山植物が生育,眼下に阿寒湖を望む。山麓に雌阿寒温泉など温泉が多い。
→関連項目日本百名山

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知恵蔵 「雌阿寒岳」の解説

雌阿寒岳

北海道東部、阿寒カルデラ南縁にある小型火山群で、主にポンマチネシリ火口で小規模な水蒸気爆発を繰り返してきた。2006年3月21日の朝に、大振幅の火山性微動を伴って小規模な水蒸気爆発が発生し、同火口付近の北西斜面に新たに複数の小火口が形成された。灰色の噴煙が火口上空400mに上がり、降灰は火山の南東側23kmの範囲まで認められた。噴出点から北西側に数百mにわたって泥流が下った。噴火は1998年11月9日以来のこと。

(井田喜明 東京大学名誉教授 / 2007年)

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