雄阿寒岳(読み)おあかんだけ

精選版 日本国語大辞典 「雄阿寒岳」の意味・読み・例文・類語

おあかん‐だけ をアカン‥【雄阿寒岳】

北海道東部、千島火山帯に属する円錐火山阿寒カルデラ中央火口丘一つで、阿寒国立公園一部。標高一三七〇メートル。アイヌ語名ピンネシリ雄山)。

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デジタル大辞泉 「雄阿寒岳」の意味・読み・例文・類語

おあかん‐だけ〔をアカン‐〕【雄阿寒岳】

北海道東部にある円錐形の火山。阿寒カルデラに生じた中央火口丘の一。火口原阿寒湖・パンケトウ・ペンケトウなどの湖がある。標高1370メートル。

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日本歴史地名大系 「雄阿寒岳」の解説

雄阿寒岳
おあかんだけ

阿寒町の北部、阿寒湖の東岸に位置する火山。阿寒国立公園の中にあり、標高は一三七〇・五メートル。約一万年前から火山活動が始まり、阿寒カルデラの底に中央火口丘として火山体が形成された。山体のほとんどが安山岩質の溶岩からなっており、西麓には溶岩流の堰止めによって阿寒湖が、北東の山麓にはパンケトーペンケトーとよばれる湖がそれぞれ形成された。アイヌ語ではピンネシリといい、山川地理取調図には「ヒン子シリ」と記されている。ほかに近世の文献には「男アカン」「男アカン山」「男アカン岳」「ヒンネシリ山」などと記載されている(「協和私役」安政三年八月八日条など)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雄阿寒岳」の意味・わかりやすい解説

雄阿寒岳
おあかんだけ

北海道東部,釧路市阿寒湖東方にある阿寒火山群の活火山。標高 1370m。アイヌ語でピンネシリ(雄山の意)と呼ばれる。千島火山帯に属する。阿寒カルデラ形成後,その北東部に噴出した中央火口丘で,比較的急傾斜の円錐(コニーデ)形火山(→成層火山)。新第三紀層を基底とした安山岩が多い。南西の雌阿寒岳と相対し,北東麓にパンケ湖ペンケ湖湖沼,山頂には直径約 300mの火口跡がある。付近はイワウメガンコウラン,エゾイソシロツツジなどの群落があり,標高 1200mまではハイマツ帯,それ以下はエゾマツトドマツ針葉樹を主とした原生林に覆われる。山頂からの阿寒湖,パンケ湖,ペンケ湖,雌阿寒岳の眺望は雄大である。1934年阿寒国立公園に指定。

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改訂新版 世界大百科事典 「雄阿寒岳」の意味・わかりやすい解説

雄阿寒岳 (おあかんだけ)

北海道東部,釧路市の北部にある火山。阿寒カルデラ内に,その中央火口丘として噴出したもので,標高1370mの円錐火山。山体の大部分は安山岩質の溶岩流の累層からなり,頂部に数個の小火口と小溶岩丘があり,山腹にも火口丘が認められるが,いずれも活動の記録はなく,噴煙も出ていない。山頂部から四方に流下した溶岩流はそれぞれ厚さ100~200m程度のものが多く,末端部は急斜面をつくって止まり,舌状をなしている。阿寒湖,ペンケトウ,パンケトウなどの湖沼は,この火山の溶岩流によってせき止められたもので,湖岸線の出入りも溶岩流の末端部の形状による。山麓から標高500m付近まではトドマツ,エゾマツ,シラカバなどが混交し,1000mまでは針葉樹帯,1200mまではダケカンバ帯となり,それ以上はハイマツ帯を経てガンコウランなどの花畑となる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雄阿寒岳」の意味・わかりやすい解説

雄阿寒岳
おあかんだけ

北海道東部、釧路(くしろ)総合振興局管内の北部にある円錐(えんすい)形の火山。標高1370メートル。山名はアイヌ語「ピンネシリ」(雄山)に由来する。阿寒カルデラの陥没後その内部に生まれた中央火口丘で、安山岩、火山砕屑(さいせつ)物が成層火山を形成する。山麓(さんろく)周辺のカルデラ内に阿寒湖、パンケトウ、ペンケトウなどの湖をたたえる。植生は標高500メートル以下がエゾマツ、トドマツ、シラカバ、ミズナラなどの混交樹林帯、500~1000メートルがエゾマツ、トドマツの針葉樹林帯、1000~1200メートルがダケカンバの広葉樹林帯、1200メートル以上がハイマツと高山植物帯をなしている。阿寒摩周(ましゅう)国立公園の景勝地で、阿寒湖畔や阿寒横断道路の双岳台(そうがくだい)から山容を望見できる。

[古川史郎 2018年5月21日]


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百科事典マイペディア 「雄阿寒岳」の意味・わかりやすい解説

雄阿寒岳【おあかんだけ】

北海道東部,阿寒国立公園にある成層火山。標高1370m。阿寒カルデラの中央火口丘の一つで,基盤は第三紀層で安山岩からなり,山頂に火口と円頂丘がある。西の阿寒湖,東のペンケトー,パンケトーは堰止(せきとめ)湖。1000m以上には高山植物が生育。雌阿寒岳ほど活動は活発ではないが,活火山とされている。

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