集村(読み)シュウソン

デジタル大辞泉 「集村」の意味・読み・例文・類語

しゅう‐そん〔シフ‐〕【集村】

村落の一形態で、人家が1か所に集まって村落をつくっているもの。⇔散村

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精選版 日本国語大辞典 「集村」の意味・読み・例文・類語

しゅう‐そんシフ‥【集村】

  1. 〘 名詞 〙 村落形式の一つ。人家が一か所に集まってできた村落。集まり方によって塊村(かいそん)列村(れっそん)などに分けられる。⇔散村
    1. [初出の実例]「集村と散村を混ぜ合はしたやうな沿道風景」(出典:街道記‐久慈街道(1956)〈井伏鱒二〉)

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日本歴史地名大系 「集村」の解説

集村
あつまりむら

[現在地名]草津市集町

下笠しもがさ村の北東、上笠村の北に位置。集落は北東の駒井沢こまいざわ村に隣接する。元亀三年(一五七二)集村惣代は一向一揆に内通しない旨の起請文を出している(→草津市。天正二〇年(一五九二)豊臣秀次知行宛行状(真田文書)では「駒井の内あつまり村内」が真田源五に宛行われている。寛永石高帳では高六四〇石余、膳所藩領・大坂定番稲垣重綱領。


集村
あつまりむら

[現在地名]苅田町集・富久町とみひさちよう一―二丁目

南原みなみばる村の南に位置し、高城たかじよう山東麓の緩傾斜地に立地する。東は周防灘に面する。元和八年人畜改帳に村名がみえ、高三九二石余、家数二四・人数四八(うち百姓一一・名子二)、牛七・馬一。

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百科事典マイペディア 「集村」の意味・わかりやすい解説

集村【しゅうそん】

集合村とも。家屋が密集した形態の集落。散村の対。自然発生的には街道に沿う街村,道路や水路に沿う路村,不規則な形の塊村などがある。日本では集村が一般的で,農家は限られた地域に集まり耕地がその周囲に配置される。沖積平野の水田集落では自然堤防という微高地に集まる形がよくみられる。畿内や瀬戸内では塀(へい)で囲まれた農家が密接して隣り合う密集村が多いが,関東や東北では個々の宅地が広く屋敷林などもあって家屋間隔の広がった疎集村が多い。
→関連項目街村山村集落

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「集村」の意味・わかりやすい解説

集村
しゅうそん

村落の平面形態の一つで、多くの家屋が集中してできた村落。概して、居住は集合したほうが社会生活を営むうえにおいて好都合であり、乾燥地域などでどこでも自由に水が得がたい場合や、山が海岸に迫って土地が狭い海村などでは、さらに集合が助長される。民家が集合した集落は、分散形態をとる散村に対して集村という。不規則に密集して塊村(かいそん)を形成する場合が多く、広い領域にわたり規則的・計画的に集合形態をとる場合は比較的少ない。街路に面して街村や路村を形成したり、ドイツポーランドにみられるように、牧畜の必要から円村をなす場合もある。新田集落の街村形態や環濠(かんごう)集落などは計画的に設定された集村である。中国や朝鮮などでは、血縁関係の濃い同族集落の集村もみられる。

[中田榮一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「集村」の意味・わかりやすい解説

集村
しゅうそん
nucleated settlement

多くの家屋が密集して形成した集落。形態からみると塊村,列村,ドイツからポーランドにかけて広くみられる円村沼沢地村などがある。比較的水利の便がよい山麓や扇状地扇端などには塊村が発達洪積台地のような乏水性地域では人為的に水利の便をはかって列状の集落を形成するものがある。共同防衛や水利施設,共同の農作業などのため,集村を形成することが多い。

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世界大百科事典(旧版)内の集村の言及

【集落】より

… 村落の形態について最初に最も詳細に分類したのは,ドイツのA.マイツェンの《西ゲルマン,東ゲルマン,ケルト,ローマ,フン,スラブ諸族の集落と農法》であり,次の五つに分けている。(1)集村Gewanndorf 耕作農民の数に等しく割られた耕牧地から構成される,いくつかの大割Gewannからなるのでこの名称がある。マイツェンはゲルマン人の集落と考えた。…

【新田集落】より

…新田集落は開発地の地形や開発目的によって集落形態が異なり,開発主体によって社会構造や経済機能も異なる。 集落形態は,開発地の地形によって集村,散村,列村,街村となる。集村は一般的で開発地の中の居住適地に新田百姓の家屋が密集し,新田百姓の経営耕地は分散している。…

【村】より

… ところで,中世における各種の文書史料ならびに17,18世紀に作製された残存の耕地図などにより,ヨーロッパの集落形態を考えてみると,それには大きく分けて次の三つのタイプが,中世以来存在していたことがわかる。すなわちその一つは,ほぼ30戸前後の農民家屋敷がおのおの自家の菜園地を伴いながら,〈むら〉の中心部に核をなして密集し,その周囲を垣根や柵で取り囲み,その外側にいくつかの共同耕区がひろがり,さらにその外側に森林,牧草地,荒蕪地などの入会地をもつという,三圃農法に最も適合的な〈集村Haufendorf〉であり,第2は10戸前後のルーズなまとまりで,共同の入会地や耕区もあるが,各戸別の耕地も不規則に散在する〈小村〉,すなわちゲルマン地域で〈ワイラーWeiler〉,イギリスで〈ハムレットhamlet〉などと呼ばれる形態であり,第3のタイプは,家屋敷の周囲に各戸の菜園地やブロック状の大小さまざまな耕地,あるいは牧草地などをもち,一戸一戸が分散して,団体規制のきわめてゆるい〈散村Einzeldorf〉である。このほか,干拓や開墾により計画的に道路に沿って規則正しく各戸の家屋敷,菜園地,耕地,牧草地などをもつ〈街村Strassendorf〉,あるいはスラブ系諸族の地域にみられる〈円村Rundling,Runddorf〉などのタイプがあるが,西ヨーロッパの主要な集落形態は,上述の三つと考えてよい。…

※「集村」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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