(読み)キジ

デジタル大辞泉 「雉」の意味・読み・例文・類語

きじ【×雉/雉子】

キジキジ科の鳥。全長は、雄が尾が長いので80~100センチ、雌が50~60センチ。雄は暗緑色を主とする多彩な色で、目の周りに赤い肉垂れがある。雌は全体に褐色。北海道を除く日本各地の明るい林や草原にすみ、地上で餌をとる。雄はケンケーンと大きな声で鳴く。日本の国鳥。にほんきじ。きぎし。きぎす。 春》「―の眸のかうかうとして売られけり/楸邨
キジ科の鳥のうち、シャコウズラ類を除いたものの総称。日本・アジア・ヨーロッパに分布。ほとんどが雄は美しく、雌は地味。コウライキジオナガキジヤマドリなど。

ち【雉】[漢字項目]

[音]チ(漢) [訓]きじ きぎし きぎす
鳥の名。キジ。「雉兎ちと白雉
土を築き固めた城の垣根
[名のり]のぶ・ふさ
難読雉子きじ・きぎし・きぎす

きぎす【×雉/雉子】

キジ別名。きぎし。 春》
夫人は身を潜めて、―の伏隠れた風情であった」〈鏡花・白鷺〉

きぎし【×雉/雉子】

キジの別名。 春》

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精選版 日本国語大辞典 「雉」の意味・読み・例文・類語

きじ【雉・雉子】

  1. 〘 名詞 〙
  2. キジ科の鳥。形はニワトリに似るが尾が長く、全長約八〇センチメートル。雄は暗緑色を主体とした羽色で、複雑な模様があり、目の周囲は赤色の皮膚が裸出する。尾は四〇センチメートル弱で、とがり、灰褐色の地に多数の黒帯がある。雌はやや小さく、尾は二〇センチメートル前後。全体に黄褐色で、黒褐色の斑紋が散在。草原、低木林、林縁などにすみ、地上性で、草木の実や昆虫などを食べる。四~七月の繁殖期に雄はケン・ケーンと二声に鳴く。日本特産で、本州・四国・九州に分布。日本の国鳥。学者によってはアジア大陸産のコウライキジも同種とする。きぎす。きぎし。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「春の野の繁き草葉の妻恋ひにとび立つきじのほろろとぞなく〈平貞文〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑体・一〇三三)
  3. キジ科の鳥のうち、キジに近縁な鳥の総称。大形、雌雄異色で、尾の比較的長い点で共通の特色があり、ヤマドリ、キンケイギンケイや、ときにはクジャクまでも含む。キジ類と総称されるが、分類学上のグループではなく、ウズラ、シャコ類との間に線を引くことができない。唯一種を除いて、すべてアジア南部産。
  4. きじやき(雉焼)」のこと。
    1. [初出の実例]「俗ぶつさ鰹に雉子の味(あぢ)をつけ」(出典:雑俳・柳多留‐四〇(1807))

雉の語誌

万葉東歌、記紀歌謡の仮名表記には「きぎし」とあり、古くは多く「きぎし」と呼ばれていたが、「古今六帖」には「きじ」が項目名となっており、「きじ」が六首、「きぎす」が二首見られる。後者は共に万葉の歌だが、「きぎし」から「きぎす」に移行した時期は不明。

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普及版 字通 「雉」の読み・字形・画数・意味


13画

[字音]
[字訓] きじ・たいらげる・つらねる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は矢(し)。矢に(てい)の声がある。〔説文〕四上に「雉に十四種有り」として各地の名をあげ、中に「東方を(し)と曰ふ。北方を稀と曰ふ」など、東西南北の雉の異名をあげている。卜辞にみえる四方風神が、すべて鳥形とされる神話と関係があり、(しゆく)字条にもその類の記載がある。〔周礼、秋官、雉氏〕は草を殺すことを掌る。おそらく(ち)の意であろう。雉を陳列の意に用いるのは矢陳、また城郭の長さを雉を単位として数えるのは、(ち)と同系の語として用いるものであろう。〔説文〕に収める重文の字形は、弟に従うものとされているが、卜文に矢に(いぐるみ)を加えた形のものがあり、その譌形であろうかと思われる。

[訓義]
1. きじ、きぎす。
2. 城郭の大きさの単位、かき。
3. 牛のはな綱。
4. と通じ、なぐ、はらう、たいらげる。
5. 陳と通じ、つらねる。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕雉 野なり。々須(きぎす)、一に云ふ、之(きじ)〔名義抄〕雉 キギス・キジ・タフル

[語系]
雉・thyeiは同声。にまたthyekの声があり、thyekと同声で、なぎそる意がある。

[熟語]
・雉妓・雉翹・雉経・雉・雉子・雉扇・雉壇・雉・雉・雉媒・雉尾・雉奔・雉門・雉盧
[下接語]
画雉・基雉・宮雉・山雉・射雉・蒼雉・台雉・雉・百雉・野雉・勇雉・楼雉

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動植物名よみかた辞典 普及版 「雉」の解説

雉 (キジ)

学名:Phasianus versicolor
動物。キジ科の鳥

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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