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飛白 ひはく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

飛白
ひはく

漢字の書体の一つ。帛とも書く。飛書,飛白体ともいう。刷毛状の独特の筆でかすれたように書くもので,後漢 邕 (さいよう) が創始したと伝えられる。唐代にも盛んに行われた。また,ときには飛白のなかに鳥獣などの姿を書くこともある。日本へは空海によって伝えられ,唐から将来した『真言七祖像』のうち金剛智,善無畏,不空の3幅の両側に梵号,漢名を飛白体でした空海自筆の賛が有名。以後中絶していたが,江戸初期に松花堂昭乗らが盛んに用いた。

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デジタル大辞泉の解説

ひ‐はく【飛白】

漢字の書体の一。刷毛(はけ)状の筆でかすれ書きにしたもの。後漢の蔡邕(さいよう)の考案とされ、扁額(へんがく)などに用いられる。
絣(かすり)の模様。また、その織物。かすり。
双鉤(そうこう)2」に同じ。

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百科事典マイペディアの解説

飛白【ひはく】

漢の蔡【よう】(さいよう)が創始したと伝える漢字の書体の一つ。筆画(ほうき)ではいたように白くかすれ,筆勢が飛動するところから名付けられ,六朝時代から多く行われている。

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世界大百科事典 第2版の解説

ひはく【飛白 fēi bái】

漢字の書体の一種。後漢の蔡邕(さいよう)の作と伝えられ,筆画が帚(ほうき)ではいたようにかすれ,あるいは飛動しているものをいう。漢・魏のころには宮殿の題額に用いられ,東晋の王羲之,王献之らも巧みであったというが,作品は伝わらない。斉・梁時代に流行した雑体書の一種にも挙げられ,梁の子雲(487‐549)は蕭の字をこの体で壁書した。唐以後は主として皇帝の間に愛好された。代表的な作品に,唐の太宗の《晋祠銘》,高宗の《大唐紀功頌額》《孝敬皇帝叡徳紀額》,則天武后の《昇仙太子碑額》,近年出土した《尉遅敬徳墓誌蓋》,日本には空海の《真言七祖像》の祖師名号,《十如是》などがある。

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大辞林 第三版の解説

ひはく【飛白】

漢字の書体の一。刷毛はけでかすれ書きにしたもので、形は八分はつぷんに似る。一種の装飾体で扁額などに用いた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

飛白
ひはく

漢字の書体の一種。筆線の中に墨のつかない白い部分がとびとびに現れる、つまりきわめてかすれた線が、波動し、また勢いよく飛翔(ひしょう)している独特の書体をいう。紙に接触する筆の面が転折で表裏反転しており、刷毛(はけ)のような特殊な筆を用いたと想像される。唐の張懐(ちょうかいかん)の著『書断』によれば、後漢(ごかん)の蔡(さいよう)が都洛陽(らくよう)の鴻都(こうと)の門で左官職人が堊帚(あくそう)(堊(かべ)を塗る箒(ほうき))を使っているのを見て考案した書法で、宮殿の門額の題署のためのものであったという。現存最古の例は、唐の太宗の「晋祠銘(しんしのめい)」の題額で、ほかに高宗の「大唐紀功頌(だいとうきこうしょう)」額、則天武后の「昇仙太子碑(しょうせんたいしのひ)」額などがある。皇帝自らの手になっているものの多いことが注目され、唐代以後は宮廷を中心に愛好されたと思われる。ことに「昇仙太子碑」額は、点画のところどころを鳥の形に描いており、装飾性に重点が置かれている。空海の『性霊集(しょうりょうしゅう)』巻第四の「雑書迹を奉献する状」にみえる「鳥獣飛白一巻」というのは、このような書であったものに相違ない。また、同書同巻「劉希夷(りゅうきい)が集を書して献納する表」に、「飛白の書一巻、是(こ)れ在唐の日、一たび此(こ)の体を見て試みに之を書す。……」として、自筆の飛白を嵯峨(さが)天皇に献じていることから、わが国の飛白の嚆矢(こうし)は空海であると考えられる。空海の代表的飛白の遺品には『真言七祖像』の賛(京都・東寺)の祖師の名号があり、また、京都・神護寺伝来で明治初年に盗難ののち焼失した彼の「十如是(じゅうにょぜ)」は、さらに趣味的、遊戯的な傾向を強めた飛白で書かれていた。[尾下多美子]

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世界大百科事典内の飛白の言及

【写本】より

…しかし今日では,影写本は,原本に接する機会が限られてきたため,利用価値が高くなり,研究機関で作製されることが多くなった(影写本は写真に比べて筆順・筆勢などがわかりやすく,長年月の保存にたえうるという利点がある)。なお,名家の書いた文字の輪郭だけを写し取った白抜きの文字を,籠字(かごじ),双鉤字(そうこうじ),飛白(ひはく)などとよぶこともある。天皇の筆写本を宸筆,宸翰,皇族の筆写本を御筆とよんで,特別に扱うこともある。…

※「飛白」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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