飾り(読み)カザリ

デジタル大辞泉 「飾り」の意味・読み・例文・類語

かざり【飾り】

飾ること。また、飾るもの。装飾装飾品。「客間飾りにする」「胸に花の飾りをつける」
表面外見をよく見せようと取り繕うこと。飾りけ。「飾りのない素朴な人柄
実質的な意味はもたず、体裁をととのえるために置かれるもの。「会長とはいっても飾りでしかない」
(多く「お飾り」の形で)正月しめ飾り松飾り 新年「めでたさや―の蜜柑盗まれて/子規
頭髪。髪の毛。
「何故―を切ったるぞ」〈伎・名歌徳〉
[補説]1で、金属製の装飾品は「錺り」とも書く。
[下接語]腕飾り・襟飾り飾り髪飾り首飾り注連しめ飾り妻飾りとこ飾り・鼻飾り・ふな飾り蓬莱ほうらい飾り松飾り耳飾りむね飾り輪飾り
[類語]装飾修飾文飾虚飾粉飾

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「飾り」の意味・読み・例文・類語

かざり【飾・餝・錺】

  1. [ 1 ] ( 動詞「かざる(飾)」の連用形の名詞化 )
    1. 飾ること。また、そのもの。装い。装飾。
      1. [初出の実例]「八十国(やそくに)難波につどひ船可射里(カザリ)(あ)がせむ日ろを見も人もがも」(出典万葉集(8C後)二〇・四三二九)
    2. 実質に関係のない、表面だけの美しさ。虚飾。
      1. [初出の実例]「世間へのかざり、意地づくの様になりて柳川の許へ通ひ」(出典:人情本・英対暖語(1838)四)
    3. 商品などをきれいに並べること。飾りつけ。
      1. [初出の実例]「かやうの花車商ひは、かざりの手広きがよし」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)六)
    4. 頭髪。かみ。→飾りをおろす
      1. [初出の実例]「過去の諸仏も菩提を成むが為に餝(かざり)を弃(す)て髪を剃給ふ」(出典:今昔物語集(1120頃か)一)
    5. かざりうま(飾馬)
      1. [初出の実例]「よき御馬二つ、一つはかざり、一つはまうけ御馬にて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)
    6. 新年の祝いに飾りつける松飾り、注連(しめ)飾りなどの総称。《 季語・新年 》
      1. [初出の実例]「大晦日におかざりの道具として、ねのびの松を御年貢にあげまらする」(出典:虎明本狂言・松楪(室町末‐近世初))
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 装飾を数えるのに用いる。
    1. [初出の実例]「Icucazari?(イクカザリ)の問いに対する答は、fitocazari(ヒトカザリ)、futacazari(フタカザリ)、micazari(ミカザリ)等である」(出典:ロドリゲス日本大文典(1604‐08))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の飾りの言及

【飾師】より

…飾りをおもな仕事とする職人で,飾職ともいった。飾りは錺とも書き,金属加工技術のうちの鎚金(ついきん),鎚起(ついき)のことをいう。…

※「飾り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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