デジタル大辞泉
「驚」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
おどろか・す【驚】
〘他サ五(四)〙 (意識していなかったものを意識させる、刺激を与える、はっと気をつけさせる、の意)
① 刺激を与えて心を動揺させる。驚くようにする。びっくりさせる。
※土左(935頃)承平五年一月七日「ふなこどもは、腹つづみをうちて、海をさへおどろかして、波たてつべし」
② 心を刺激する。気づかなかったり、忘れていたりしたことに、
注意を呼びおこさせる。気づかせる。警告する。
※
落窪(10C後)三「又奥の方に、『目ならぶといふなれば、まろはおどろかし聞えじ』といふ声を聞けば」
※
源氏(1001‐14頃)
初音「さるべき折折はうち忘れたらん事もおどろかし給へかし」
※
蜻蛉(974頃)中「ふとおどろかされて、仏の見せ給ふにこそはあらめと思ふに」
※
義経記(室町中か)一「目のあたりに芸を世にほどこし、
万事の目をおどろかし給ひしは」
※源氏(1001‐14頃)
末摘花「荻の葉も、さりぬべき風のたよりある時は、おどろかし給ふ折もあるべし」
おどろかし【驚】
① おどろかすこと。注意をうながすこと。
※源氏(1001‐14頃)若菜上「
あなたなどにも物し給ひて、怠らむことは、おどろかしなども物し給はんなん、うれしかるべき」
②
農作物を守るために、鳥を驚かして追いはらうもの。
鳴子(なるこ)、
案山子(かかし)の類。《季・秋》
※後撰(951‐953頃)雑一・一一〇八「
小山田のおどろかしにも来ざりしをいとひたぶるに逃げし君かな〈よみ人しらず〉」 〔匠材集(1597)〕
おどろかし【驚】
〘形シク〙 驚くべきさまである。ぎょうさんなさまである。おどろおどろし。おどろし。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「みかど、琴どもをこころみ給ふに、おどろかしき声いで来。おどろき給ての給はく、『この琴どもはいかで作りしぞ』」
おどろかし‐げ
〘形動〙
おどろかし‐さ
〘名〙
おどろし【驚】
〘形シク〙 驚くべきさまである。ぎょうさんなさまである。また、異様である。おそろしい。→
おどろおどろし。
※俳諧・秋津嶋(1690)「一葉散て声おどろしやさらし売〈
団水〉」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報