(読み)キョウ

デジタル大辞泉 「驚」の意味・読み・例文・類語

きょう【驚】[漢字項目]

常用漢字] [音]キョウ(キャウ)(呉) [訓]おどろく おどろかす
おどろく。「驚異驚愕きょうがく驚喜驚嘆驚倒一驚喫驚きっきょう
おどろかす。「驚天動地
[名のり]とし
難読吃驚びっくり喫驚びっくり

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「驚」の意味・読み・例文・類語

おどろか・す【驚】

〘他サ五(四)〙 (意識していなかったものを意識させる、刺激を与える、はっと気をつけさせる、の意)
① 刺激を与えて心を動揺させる。驚くようにする。びっくりさせる。
※土左(935頃)承平五年一月七日「ふなこどもは、腹つづみをうちて、海をさへおどろかして、波たてつべし」
② 心を刺激する。気づかなかったり、忘れていたりしたことに、注意を呼びおこさせる。気づかせる。警告する。
落窪(10C後)三「又奥の方に、『目ならぶといふなれば、まろはおどろかし聞えじ』といふ声を聞けば」
源氏(1001‐14頃)初音「さるべき折折はうち忘れたらん事もおどろかし給へかし」
③ 目をさまさせる。眠りをさまさせる。→ゆめ(夢)驚かす
蜻蛉(974頃)中「ふとおどろかされて、仏の見せ給ふにこそはあらめと思ふに」
④ (「目(耳)を驚かす」の形で) 感嘆させる。驚嘆させる。自動詞のようにも用いる。→め(目)を驚かすみみ(耳)を驚かす
義経記(室町中か)一「目のあたりに芸を世にほどこし、万事の目をおどろかし給ひしは」
⑤ (忘れたころに)たよりをする。また、訪れる。
※源氏(1001‐14頃)末摘花「荻の葉も、さりぬべき風のたよりある時は、おどろかし給ふ折もあるべし」

おどろかし【驚】

〘名〙 (動詞「おどろかす(驚)」の連用形名詞化)
① おどろかすこと。注意をうながすこと。
※源氏(1001‐14頃)若菜上「あなたなどにも物し給ひて、怠らむことは、おどろかしなども物し給はんなん、うれしかるべき」
農作物を守るために、鳥を驚かして追いはらうもの。鳴子(なるこ)案山子(かかし)の類。《季・秋》
※後撰(951‐953頃)雑一・一一〇八「小山田のおどろかしにも来ざりしをいとひたぶるに逃げし君かな〈よみ人しらず〉」 〔匠材集(1597)〕

おどろかし【驚】

〘形シク〙 驚くべきさまである。ぎょうさんなさまである。おどろおどろし。おどろし。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「みかど、琴どもをこころみ給ふに、おどろかしき声いで来。おどろき給ての給はく、『この琴どもはいかで作りしぞ』」
おどろかし‐げ
〘形動〙
おどろかし‐さ
〘名〙

おどろし【驚】

〘形シク〙 驚くべきさまである。ぎょうさんなさまである。また、異様である。おそろしい。→おどろおどろし
※俳諧・秋津嶋(1690)「一葉散て声おどろしやさらし売〈団水〉」

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