高千穂峡(読み)タカチホキョウ

デジタル大辞泉 「高千穂峡」の意味・読み・例文・類語

たかちほ‐きょう〔‐ケフ〕【高千穂峡】

宮崎県北部、五ヶ瀬川上流の峡谷阿蘇山溶岩浸食されたもので、名勝天然記念物

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日本歴史地名大系 「高千穂峡」の解説

高千穂峡
たかちほきよう

五ヶ瀬川上流域の高千穂町にある峡谷。この一帯は五ヶ瀬川の前身が削った谷に阿蘇山の火山活動に伴う火砕流が埋積した所で、現在の集落耕地をのせる台地は火砕流により形成されたものである。川はこの台地を再び浸食してここに深い谷をつくり、高千穂峡とよばれるようになった。一般には三田井みたい地区の窓の瀬まどのせから下流約二キロの区間をいう。窓の瀬とは河床にある甌穴を突破った水が激しく噴出する様子からつけられた名称である。天保一二年(一八四一)ここを訪ねた豊後の本草学者賀来飛霞は南遊日記(矢津田家文書)に「清流激石響奔雷ノ如シ」と書いているが、現在は土砂に塞がれて往時の景観はみられなくなった。

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改訂新版 世界大百科事典 「高千穂峡」の意味・わかりやすい解説

高千穂峡 (たかちほきょう)

宮崎県北西部の高千穂町三田井にある五ヶ瀬川の峡谷。全長約2km。洪積世後期に阿蘇山から噴出した高熱火山灰が浸食の進んだ五ヶ瀬川の谷に堆積し,それが固まった溶結凝灰岩を再び川が浸食して形成された。堆積後の冷却の過程でできた柱状節理が発達し,両岸に高さ50~100mの絶壁をつくる。谷壁の上部には段丘状の平たん地があり,集落や耕地が開ける。峡谷中央部には,水面から約10mの高さに岩石段丘があり,多量の地下水がわき出て谷底に落下し,真名井(まない)の滝をつくる。段丘上には多数の甌穴(おうけつ)が見られ,七ッ池と呼ばれる。新緑紅葉が美しく,峡谷沿いには遊歩道がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高千穂峡」の意味・わかりやすい解説

高千穂峡
たかちほきょう

宮崎県北部、五ヶ瀬川(ごかせがわ)の上流部、西臼杵(にしうすき)郡高千穂町を流れる峡谷。高千穂町は、北西部に位置する阿蘇(あそ)山の溶結凝灰岩が厚く堆積(たいせき)して山間の台地を形成しているが、五ヶ瀬川はこの台地を深く侵食して、約100メートルの深さの峡谷をなす。侵食した凝灰岩の絶壁下部は赤色の柱状節理がみられる。絶壁途中に湧水(ゆうすい)層があり、これが真名井滝(まないのたき)となって峡谷にかかる。この湧水はニジマス養殖にも利用される。河床は溶結凝灰岩からなり、随所に甌穴(おうけつ)がみられる。とくに新緑、紅葉時の景観に優れる。峡谷の主要部は自然遊歩道がつけられており、キャンプ場、貸ボートなど施設も充実している。祖母傾国定公園(そぼかたむきこくていこうえん)に属し、国の名勝・天然記念物指定。

[横山淳一]


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百科事典マイペディア 「高千穂峡」の意味・わかりやすい解説

高千穂峡【たかちほきょう】

宮崎県北部,五ヶ瀬川上流の峡谷。高千穂町三田井付近数kmに及び,阿蘇溶岩を浸食した柱状節理の断崖,滝,淵,瀬が連なる。祖母傾国定公園に属する。
→関連項目高千穂[町]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高千穂峡」の意味・わかりやすい解説

高千穂峡
たかちほきょう

宮崎県北西部,高千穂町の五ヶ瀬川にある峡谷。浸食の進んだ五ヶ瀬川の谷に阿蘇山の溶結凝灰岩が堆積し,この溶岩を川が再び浸食したのが成因。特に三田井 (みたい) 付近が代表的で,100m近い絶壁の中腹に段丘が発達し,多量の湧水がそこから真名井 (まない) の滝になって落下する。そそり立つ柱状節理の断崖,岩をかむ激流,静かな青い深淵など,2kmにわたる渓谷美は神秘的。赤色の岩壁に春は若葉,秋は紅葉が映えて,観光客が多い。名勝,天然記念物に指定。祖母傾国定公園に属する。

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事典 日本の地域遺産 「高千穂峡」の解説

高千穂峡

(宮崎県西臼杵郡高千穂町)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産」指定の地域遺産。

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デジタル大辞泉プラス 「高千穂峡」の解説

高千穂峡

日本のポピュラー音楽。歌は男性演歌歌手、北山たけし。2010年発売。作詞:田久保真見、作曲:弦哲也。

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