デジタル大辞泉
「投げる」の意味・読み・例文・類語
な・げる【投げる】
[動ガ下一][文]な・ぐ[ガ下二]
1 空中へほうる。手にとって遠くへ飛ばす。また、ほうり出す。「池に小石を―・げる」
2 球技で、対象をめがけて手元から放つ。特に、野球で投球する。「ピンをねらってボールを―・げる」「5回を―・げて4安打3失点」
3 かかえたり、つかんだりして転ばす。「首をつかんで地面に―・げる」
4 倒れるように体をほうり出す。また、体をほうり出して自殺する。身投げをする。「いすに身を―・げる」「ビルの屋上から身を―・げる」
5 あきらめる。途中でやめる。放棄する。「最初から―・げてかかる」「やりかけた仕事を―・げるようなことはしない」
6 ある方向、方面に向ける。「視線を―・げる」「自分に―・げられた言葉」
[用法]なげる・ほうる――「石を投げる(ほうる)」など、手に取って空中へ飛ばす意では相通じて用いる。◇「なげる」は、力を入れて速く遠くまで飛ばす場合に多く使う。「ボールをなげる」「逃げる犯人に棒をなげる」◇「ほうる」は、それほど力を入れずに軽く飛ばす場合に多く使う。「そこにあるかぎをほうっておくれ」◇「仕事をなげる」は続けられずに止めにすることだが、「仕事をほうって遊ぶ」は、あとまわしにすることである。◇類似の語「投ずる」は「なげる」の文章語で、「千金(一石・一票)を投ずる」は慣用として固定しており、「投げる」には言い換えられない。◇「社会運動に身を投ずる」は「なげる」に言い換えられないが、「海に身を投ずる」は「投げる」でもよい。
[類語]投ずる・放る・ほうり投げる・ほっぽる・ぶん投げる・投げつける
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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な・げる【投】
- 〘 他動詞 ガ下一段活用 〙
[ 文語形 ]な・ぐ 〘 他動詞 ガ下二段活用 〙 - ① 空中に物をほうり出す。手の力で遠くへ飛ばす。なげうつ。ほうる。
- [初出の実例]「此よりな過(す)ぎそとのたまひて、即ち其の杖を投(ナケ)ます」(出典:日本書紀(720)神代上(丹鶴本訓))
- ② 体をほうり出す。倒れるように、寄りかかったりひれ伏したりする。また、身投げをする。入水する。
- [初出の実例]「世の中のうきたびごとに身をなげば深き谷こそ浅くなりなめ〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑体・一〇六一)
- 「五躰を地に投げ、発露啼泣し給ひしかば」(出典:平家物語(13C前)一〇)
- ③ 持っている物を差し出す。提供する。投与する。
- [初出の実例]「随分の資財をなけて、などか助成し給はざるべき」(出典:米沢本沙石集(1283)六)
- ④ その場所に向けて、ある作用が届くようにする。
- [初出の実例]「月は木の間に洩れて、新しい光を縁側に投げてゐる」(出典:何処へ(1908)〈正宗白鳥〉一三)
- 「定まり文句を谷井に投げると、騒ぎながら外へ出て」(出典:春の城(1952)〈阿川弘之〉二)
- ⑤ 放棄する。途中でやめる。また、手抜きをする。
- [初出の実例]「さつまとあのやしきはむつかしい、なけなんすな」(出典:洒落本・婦美車紫
(1774)夜中の口舌) - 「新聞記者としてのして行くやうなタイプではなかったが、担当した仕事は投げなかった」(出典:黯い潮(1950)〈井上靖〉一)
- ⑥ 相手を拒否する。ふる。
- [初出の実例]「なげられもしやうかと初会片くろう」(出典:雑俳・柳多留‐一一(1776))
- ⑦ 相場が下落することを見越して、損を承知で安く売る。⇔煎れる。
- [初出の実例]「なげるとは 物をやすふうること」(出典:新撰大阪詞大全(1841))
- ⑧ 投節(なげぶし)を歌う。
- [初出の実例]「此辺(ここら)は気を替へ、一銚子あげ、一投(ひとなげ)なげて」(出典:浮世草子・風流曲三味線(1706)五)
- ⑨ 建築用語で、一定の所から外の方へ出す。
- ⑩ 囲碁、将棋などで、負けを認める。投了する。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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