ロシアの作家レオーノフの長編小説。旧版は1927年に発表されたが、その後、抜本的に改作され、思想的にも深化されて、まったく別の作品になった第二版が、約30年を経た59年に発表された。ソ連時代の新経済政策ネップのもとで革命に幻滅し、理想を失って泥棒の首領になる元赤軍政治委員ミチカ・ベクシンを主人公に、酔いどれと犯罪者の巣くう革命直後のモスクワの裏町を舞台にしたこの小説で、作者は革命が単に古い社会体制の変革だけではなく、過去の膨大な文化を自分のものとし、新しい文化を生む戦いでなければならぬことを説いた。ドストエフスキーの継承者レオーノフの代表的傑作として高く評価されている。
[原 卓也]
『原卓也訳『泥棒』(『世界文学全集14』所収・1965・集英社)』
…他人の財物を略取する者をいう。どろぼう,盗人とも呼ばれるが,それらより凶悪な者を指すことが多い。盗んだ物を貧しい者に分け与える義賊とは異なり,恐れられることが多いが,稀代の大盗賊のなかには,民衆からひそかな喝采(かつさい)をおくられた者も少なくなかったことが知られている。
[ヨーロッパ]
ローマ最古の成文法である十二表法の第8表には,夜間盗みを行った者を現場で捕らえたとき,被害者は殺してもさしつかえないという規定があり,盗みに対する制裁措置が過酷であった。…
…《穴熊》は,共産党支配に抗する農民反乱の中で敵味方に分かれる兄弟の運命を通して,都市と農村の宿命的対立という形でロシア革命をとらえた作品で,革命後の傑作である。ネップ期に革命の理想を見失って泥棒の首領となった赤軍政治委員を主人公とした次の長編《泥棒》(1927)は,鋭い現実批判のゆえに長らく禁書扱いになっていたが,59年大幅に改作されて再び日の目を見た。五ヵ年計画を扱った長編《ソーチ》(1930)で彼は,古語や方言,革命後の新語を巧みに組み合わせて独特の文体を作りだした。…
※「泥棒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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