百舌鳥古墳群(読み)モズコフングン

デジタル大辞泉 「百舌鳥古墳群」の意味・読み・例文・類語

もず‐こふんぐん【百舌鳥古墳群】

大阪府堺市南郊の台地上にある古墳群。大山だいせん古墳履中天皇陵古墳反正天皇陵古墳など、5世紀に属する巨大古墳が多い。二十数基の前方後円墳を含む数十の古墳からなり、うち23基が、令和元年(2019)「百舌鳥古市古墳群-古代日本の墳墓群-」の名称世界遺産文化遺産)に登録された。→古市古墳群
[補説]世界遺産に登録された23基
反正天皇陵古墳仁徳天皇陵古墳大山だいせん古墳)、茶山古墳、大安寺山だいあんじやま古墳、永山古墳源右衛門山げんえもんやま古墳、塚廻つかまわり古墳収塚おさめづか古墳、孫太夫山まごだゆうやま古墳、竜佐山たつさやま古墳、銅亀山古墳、菰山塚こもやまづか古墳、丸保山古墳長塚古墳、旗塚古墳、銭塚古墳、履中天皇陵古墳、寺山南山古墳、七観音古墳、いたすけ古墳善右エ門山ぜんえもんやま古墳、御廟山ごびょうやま古墳ニサンザイ古墳

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精選版 日本国語大辞典 「百舌鳥古墳群」の意味・読み・例文・類語

もず‐こふんぐん【百舌鳥古墳群】

  1. 日本の代表的な古墳群の一つ。大阪府堺市百舌鳥に分布する。仁徳天皇陵大山古墳)・履中天皇陵(石津ケ丘古墳)・反正天皇陵田出井山古墳)などの大型の前方後円墳をはじめ九〇基を超える。国史跡指定の古墳五基を含む。

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日本歴史地名大系 「百舌鳥古墳群」の解説

百舌鳥古墳群
もずこふんぐん

堺市の北部中央、三国みくにおか台地と称される中位段丘上に東西四キロ、南北四・五キロにわたって分布する古墳群の総称。日本最大の大仙だいせん古墳(仁徳天皇陵に治定)をはじめミサンザイ古墳(履中天皇陵に治定)田出井山たでいやま古墳(反正天皇陵に治定)・ニサンザイ古墳などとそれに関連する陪冢および丸保山まるほやま古墳(国指定史跡)など独立する中小の古墳からなる。これまで前方後円墳三一基・方墳七基を含む合計一〇四基が確認されているが、現在では前方後円墳二一基・方墳五基・円墳二三基の合計四九基を残すのみで、大半が農地拡張・土砂採取・宅地開発などにより破壊された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「百舌鳥古墳群」の意味・わかりやすい解説

百舌鳥古墳群
もずこふんぐん

大阪府堺(さかい)市南郊の台地上にある、古墳時代中期から後期初頭に築かれた古墳の総称。古墳群は東西・南北ともほぼ4キロメートルの範囲内にあって、古市(ふるいち)古墳群とは東西に続いている。地形的に西方で海に面しているのが、大古墳群としては特色である。古墳総数は、すでに消滅したものでも存在のわかる古墳を加え約92基で、陪塚(ばいづか)も含めてある。墳形の種類で分けると、帆立貝(ほたてがい)式古墳をも含めて前方後円墳27基、方墳四基、円墳39基、他は墳形不明であるがこれの規模は大きくない。

 百舌鳥古墳群は、墳丘の長さでは全国最大の前方後円墳、大山(だいせん)古墳(仁徳(にんとく)陵、百舌鳥耳原中陵に比定)が盟主的存在で、大型古墳として百舌鳥陵山(みさざやま)(履中(りちゅう)陵、百舌鳥耳原南陵に比定)、土師(はじ)ニサンザイ、百舌鳥大塚山、百舌鳥御廟山(ごびょうやま)の4基の前方後円墳がある。このうち調査した百舌鳥大塚山古墳では、後円部4、前方部4の埋葬・埋納施設があったが、埋葬用は後円部と前方部各1の木棺を納めた粘土槨(ねんどかく)で、銅鏡や玉類のほか多数の鉄製武器があった。百舌鳥御廟山古墳では陪塚のカトンボ山古墳に、子持勾玉(こもちまがたま)4、勾玉725、臼玉(うすだま)約2万などの大量の祭祀(さいし)遺物が埋納されていた。このほか乳ノ岡(ちのおか)古墳の長持(ながもち)形石棺からは鍬形石(くわがたいし)、車輪石など前期様相の碧玉(へきぎょく)製品が出土し、古墳群でも最初に築かれた前方後円墳の候補になるし、前方後円墳の城ノ山(じょうのやま)古墳の竪穴(たてあな)式石室からは小型銅鏡や玉類のほか、金銅(こんどう)の帯金具(おびかなぐ)や馬具など新しい様相の遺物が出土している。前方後円墳の田出井山(たでいやま)古墳(反正(はんぜい)陵、百舌鳥耳原北陵に比定)については考古学的には資料が少ない。なお、古墳群内の上野芝町には横穴式石室をもつ古墳群があるが、年代的にも系譜的にも別集団のものであろう。

[森 浩一]

〔世界遺産の登録〕百舌鳥古墳群と古市古墳群にある古墳のうち45件49基が、2019年(令和1)ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「百舌鳥・古市古墳群―古代日本の墳墓群」として世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。

[編集部 2019年7月19日]


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山川 日本史小辞典 改訂新版 「百舌鳥古墳群」の解説

百舌鳥古墳群
もずこふんぐん

大阪府堺市の大阪湾に面した台地上にある古墳中期の大規模な古墳群。東西・南北4kmの範囲にわたり,もと100基以上の古墳が分布していたが,現存するのは約半数。全国最大の前方後円墳である大山(だいせん)古墳をはじめ,石津丘・ニサンザイ・御廟山(ごびょうやま)・田出井山・いたすけの諸古墳が大型前方後円墳に属する。海上から墳丘群を望見しうる位置にあることから,広く首長の権威を誇示する目的で築造されたと考えられている。古市(ふるいち)古墳群とも東西に接する位置にあり,古くは凡河内(おおしこうち)国として両者は同一地域に属していた。古墳群の付近に築造者たちの大集落として土師(はぜ)・陵南両遺跡などの存在も明らかにされた。

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百科事典マイペディア 「百舌鳥古墳群」の意味・わかりやすい解説

百舌鳥古墳群【もずこふんぐん】

大阪府堺市上野芝町にある5世紀を中心とした代表的な古墳群。大山(だいせん)古墳(伝仁徳天皇陵),ミサンザイ古墳(伝履中天皇陵)などの全長200mをこす大型の前方後円墳が4基,ほかに20数基の前方後円墳,帆立貝式古墳,方墳など合計100基以上の古墳がある。古市(ふるいち)古墳群とならび,天皇陵とされる古墳が存在することから,当時の政権の基盤を考えるうえで重要視されている。
→関連項目古市古墳群

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旺文社日本史事典 三訂版 「百舌鳥古墳群」の解説

百舌鳥古墳群
もずこふんぐん

大阪府堺市の東部にある古墳群
仁徳・履中・反正の3陵と伝えられる大古墳をはじめ,大型の前方後円墳,小型の円墳・方墳が散在している。

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世界大百科事典(旧版)内の百舌鳥古墳群の言及

【大阪[市]】より

…大阪府中央部にある府庁所在地。近畿地方のほぼ中央を占める大阪平野にあって,淀川河口の大阪湾岸に位置する。大阪の〈阪〉の字は,江戸時代まで坂を使うのが一般的であったが,明治以後阪に統一された。日本では東京に次ぐ経済力をもつ大都市で,西日本の地域経済活動の中枢をなし,大都市圏は大阪府下をはるかにこえて広がり,京都,神戸の都市圏と複合している。24の行政区からなり,市域の面積は212km2,人口260万2421(1995)。…

【土師氏】より

… 土師氏には,4系統が知られており,それぞれハニや大王墓の分布と対応している。大和の菅原や秋篠地域の土師氏は,奈良山丘陵(〈青丹よし〉の枕詞は奈良山に良質のハニの存在することを示している)の南斜面に分布する佐紀盾列(さきたてなみ)古墳群と対応し,河内古市の土師氏と和泉の毛受腹(もずばら)の土師氏は,それぞれ古市古墳群と百舌鳥(もず)古墳群に対応する。古市古墳群は羽曳野丘陵およびその周辺に分布しているし,百舌鳥古墳群の近くにも堺市百舌鳥赤畑町のようにハニの存在を示す地名がある。…

※「百舌鳥古墳群」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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