製鏡三面(内行花文鏡一・三角縁三神三獣獣帯鏡二)や碧玉製石釧七〇・合子一・石杵二・勾玉二・管玉一四五・鉄刀片二が出土した。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
岐阜県大垣市矢道町権現前に所在する前方後円墳。近江から関ヶ原を経て濃尾平野が開けるところにあり,相川北岸の扇状地に立地する。西面して築かれ,全長82m,後円部径45m,前方部幅31mを測る。埴輪の樹立をみるという。1929年の土取り工事のさい,後円部から,古墳の主軸に直交する2基の木棺を発見した。このうち,東棺から鏡,玉類,鍬形石(くわがたいし),刀,銅鏃などが,西棺から鏡,玉類,石釧(いしくしろ),石製合子(ごうす),石杵,刀などが出土した。東棺の鏡3面はいずれも中国製三角縁神獣鏡であり,うち2面には他古墳に同笵(どうはん)鏡が存在する。一方,西棺の鏡3面はことごとく仿製(ぼうせい)鏡である。このうち2面は仿製三角縁神獣鏡で,その1面に同笵鏡の存在が知られる。また,東棺の鍬形石が3個を数えるのに対し,西棺の石釧は70個に達している。石釧の出土数の多さは他に類をみない。古墳の年代は4世紀の後半にあたる。
執筆者:川西 宏幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報