石墨(読み)セキボク(その他表記)graphite

翻訳|graphite

精選版 日本国語大辞典 「石墨」の意味・読み・例文・類語

せき‐ぼく【石墨】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 炭素の同素体の一つ。化学名は黒鉛。炭素の元素鉱物として変成岩に伴って産出する天然のものと、無定形炭素を黒鉛化してつくる人造のものとがある。六方晶系板状結晶。黒ないし鋼灰色の金属光沢をもつ。耐熱性・耐衝撃性・耐食性にすぐれ、電気や熱の伝導性がよい。化学的に安定。各種の電気機器材料・耐火煉瓦・原子炉用中性子減速剤・鉛筆の芯などのほか、潤滑材・減摩剤・鋳型など化学機器用の炭素製品材料として広く用いられる。グラファイト。〔大和本草(1709)〕 〔鉱物字彙(1890)〕
  3. ② 石炭の異称。
    1. [初出の実例]「石炭(いしずみ)は中国九州等より多出せり〈略〉異名煤炭、石墨(セキボク)、鉄炭、焦石、烏金石と号(なづく)」(出典:随筆・蒹葭堂雑録(1856)五)

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最新 地学事典 「石墨」の解説

せきぼく
石墨

graphite

化学組成Cの鉱物。グラファイト,黒鉛とも。2種のポリタイプ(2H,3R)がある。2Hは六方晶系,空間群P63/mmc,格子定数a0.2463nm, c0.6714,単位格子中4分子含む。3Rは三方晶系,空間群,格子定数a0.2456nm, c1.0044,単位格子中6分子含む。六角板状〜鱗片状結晶,塊状,土状。金属〜亜金属光沢。劈開{0001}完全。硬度1〜2。比重2.09〜2.23(測定値),2.24(2H,計算値),2.28(3R,計算値)。黒色,条痕黒ないし鋼灰色。薄片で不透明,特に薄い場合のみ灰〜濃青色。反射多色性,異方性著しい。反射能7.4〜20.5%(540nm)。主として,変成作用を受けた石炭および接触変成岩中,片麻岩・斑れい岩などに産出。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「石墨」の意味・わかりやすい解説

石墨
せきぼく
graphite

炭素の同素体の一つ。黒鉛(グラファイト)の鉱物名。炭素の元素鉱物として天然にも産するほか、人工的にも多量に合成される。

[守永健一・中原勝儼]

人工物

石油コークスなどを1400℃で煆焼(かしょう)して揮発分を除き、結合材を加えて800℃で焼成し、2500~3000℃に熱してつくる。灰黒色の光沢ある六方晶系の板状結晶。石墨は層状格子で、平面内での結合は強いのに、平面間を結ぶ力は弱いので、はがれやすい。また、他の原子が反応して平面の間に入り込んだ層間化合物をつくる。融点が高く、熱膨張性が低く、高温に耐えうること、電気・熱の伝導性があること、化学的にも安定であることなどから、鉄鋼、アルミニウム、各種化学工業の分野で電極、導電材、耐火剤、耐薬品材料、原子炉の中性子の減速材、減摩剤、鉛筆の芯(しん)などとして使われている。

[守永健一・中原勝儼]

天然鉱物

非金属元素鉱物の一つ。六方相と三方相の二つの多型がある。ダイヤモンド、ロンズデール石(2Hおよび4Hの2種の多型がある)、チャオ石とは同質異像関係にある。変成岩、とくにある種の片麻岩(へんまがん)中に濃集して産し、鉱床を形成するほか、再結晶石灰岩中、そのスカルン化産物中、低変成度の広域変成岩中、ある種の閃緑(せんりょく)岩中に産し、含有する岩石に還元環境を与える。変成岩中に脈をなすものではマグマ起源の成因が暗示されている。自形結晶は六角板状をなすが、多くは鱗片(りんぺん)状あるいは土状。日本では、富山県上新川(かみにいかわ)郡千野谷(せんのたに)鉱山(閉山)、岐阜県吉城(よしき)郡河合(かわい)村(現、飛騨(ひだ)市河合町)天生(あもう)鉱山(閉山)などで鉱床として稼行された。英名はギリシア語の「書くこと」を意味するグラフに由来する。

[加藤 昭 2017年8月21日]


石墨(データノート)
せきぼくでーたのーと

石墨
 英名    graphite
 化学式   C
 少量成分  ―
 結晶系   六方・三方
 硬度    1~2
 比重    2.26
 色     黒
 光沢    金属
 条痕    黒
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)
 その他   脂感有。撓性顕著

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「石墨」の意味・わかりやすい解説

石墨
せきぼく
graphite

炭素Cの成分をもつ鉱物。黒鉛,グラファイトともいう。六方晶系であるが,結晶は小さく,普通鱗状の塊か,粉状,土状をなす。結晶は六角板状で底面が完全劈開。硬度1~2で軟らかく,こすると容易に紙に印がつき,触れると油脂感がある。比重 2.2。金属光沢をもち,黒ないし鋼灰色,条痕は黒。劈開片は弾性がなく,曲りやすい。結晶質石灰岩,結晶片岩,片麻岩などに板状結晶や散在した葉片として産する。火成岩の貫入を受けた石灰層,片麻岩を貫く脈中に石英,長石などとともに産する。鉛筆の芯,耐火るつぼ,電極などに用いる。世界最大の鉱床はスリランカにある。グラファイトは書くという意味のギリシア語に由来。

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改訂新版 世界大百科事典 「石墨」の意味・わかりやすい解説

石墨 (せきぼく)

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百科事典マイペディア 「石墨」の意味・わかりやすい解説

石墨【せきぼく】

→黒鉛

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普及版 字通 「石墨」の読み・字形・画数・意味

【石墨】せきぼく

石炭・黒鉛。

字通「石」の項目を見る。

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化学辞典 第2版 「石墨」の解説

石墨
セキボク
graphite

[同義異語]黒鉛

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世界大百科事典(旧版)内の石墨の言及

【黒鉛】より

…グラファイト,石墨(せきぼく)ともいう。炭素Cからなる鉱物の一つで,炭素の同素体。…

【石炭】より

…独立戦争における兵器産業をはじめとする軍需の拡大によって石炭の需要は急増し,アパラチア炭田を中心とする開発が進められ,やがてアメリカはイギリスをしのいで世界有数の産炭国の地位を占めるに至った。
[中国]
 中国では石炭は煤(ばい),煤炭と呼ばれ,古くは石墨と称した。前1000年ころすでに石炭を使用していたといわれるが,文献上の初見は酈(れき)道元の《水経注》である。…

※「石墨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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