(読み)カン

デジタル大辞泉 「鑑」の意味・読み・例文・類語

かん【鑑】[漢字項目]

常用漢字] [音]カン(呉)(漢) [訓]かんがみる かがみ
反省の資となる前例手本。「殷鑑いんかん亀鑑きかん
資料を並べて手本とする書物。「図鑑大鑑年鑑武鑑宝鑑名鑑
よしあしを見分ける。よく点検する。「鑑査鑑識鑑賞鑑定鑑別清鑑
身分・資格などを見分ける証拠。「鑑札印鑑門鑑
[補説]「鑒」は異体字。
[名のり]あき・あきら・かた・かね・しげ・のり・み・みる

かん【鑑】

古代中国の青銅器の一。春秋時代に盛行した。深鉢状をした大型のたらい一種で、一対ないし二対の取っ手)がつく。沐浴もくよくなどに使用

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精選版 日本国語大辞典 「鑑」の意味・読み・例文・類語

かん【鑑】

  1. 〘 名詞 〙
  2. かがみ。金属製のすがたみ。また、てほん。模範。いましめ。
    1. [初出の実例]「人倫の鑒ありて、善く材能の士を抜擢すと雖ども、重大の事に至りては、多く他人に委せずして」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉九)
  3. 鑑定。

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普及版 字通 「鑑」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 22画

(異体字)鑒
22画

[字音] カン
[字訓] かがみ・みる・いましめ

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は監(かん)。監は盤に水を盛り、顔容を水鑑として映す意で、鑑の初文。金文の鑑の銘には監を用いる。〔説文〕十四上に「大なり。一に曰く、監、以て水をに取るべし」という。監諸は方諸。〔淮南子、天文訓〕の〔許慎注〕に「方陰燧、大蛤なり。熟(よ)くして熱せしめ、なる時、以てに向へば、下に則ち水生ず。銅盤を以て之れを受くれば、水下ること數なりと。先師の然り」という。氷台で火を取るという陽燧に対して、陰燧の説があったのであろう。

[訓義]
1. かがみ、かがみにうつす。
2. みわける、てらす、かんがえる。
3. いましめる、手本とする。
4. はち、水盤。

[古辞書の訓]
名義抄〕鑑・ カカミ・カガミル・ミル・テラス・キヨシ・シルス・ツハヒラカ 〔立〕鑑・監 カカミ・カカム・カカミミル・ミル・テラス・アキラム・モラス・カムラ・シルス・カカミル

[語系]
鑑keam、(鏡)・景kyang、また光kuang、煌huangはともに声義に通ずるところがあり、一系の語である。

[熟語]
鑑機鑑許・鑑悟・鑑査鑑裁鑑察・鑑止・鑑識・鑑諸・鑑賞・鑑照鑑燧・鑑達・鑑定・鑑・鑑念鑑寐・鑑別・鑑臨
[下接語]
逸鑑・印鑑・殷鑑・永鑑・睿鑑・円鑑・淵鑑・遠鑑・火鑑・亀鑑・機鑑・鏡鑑・恵鑑・啓鑑・玄鑑・古鑑・弘鑑・光鑑・考鑑・降鑑・国鑑・才鑑・裁鑑・事鑑・賞鑑・神鑑・宸鑑・審鑑・図鑑・水鑑・省鑑・清鑑・聖鑑・精鑑・前鑑・藻鑑・達鑑・通鑑・天鑑・洞鑑・年鑑・氷鑑・品鑑・俯鑑・風鑑・宝鑑・法鑑・民鑑・明鑑・銘鑑・門鑑・幽鑑・霊鑑

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【鏡】より

…金属,すなわち青銅の鏡はエジプトに早く発明されて,だんだん世界中にひろがり,中国でも晩周(前5~前3世紀)ころから流行した。それ以前は水をいれた鑑(かん)であって,水鏡であった。皿の上に目がのぞきこんだ象形は鑑の原義を端的に示すものである。…

【青銅器】より

…西周後期までさかのぼる周の伝統的な国家制度や社会慣行(〈礼〉と呼ばれる)を保存しようという一部の趨勢を反映するもので,これは後に学派の形をとるのであるが(儒家),前3世紀ころまでこの形式の復古的な器物も存続することになる。一方この時期にはまた蓋付きの深い鼎,足のない簋,大型のたらい(鑑(かん))など新しい形式の器も多数作られる。本格的な音階楽器として多数の鐘がセットで作られだすのもこの時代からである(編鐘)。…

※「鑑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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