国際実用温度目盛(読み)コクサイジツヨウオンドメモリ

化学辞典 第2版 「国際実用温度目盛」の解説

国際実用温度目盛
コクサイジツヨウオンドメモリ
international practical temperature scale

温度目盛を国際的に統一するために定められたもので,可能なかぎり熱力学的温度を示すように定められている.1927年に制定(国際温度目盛とよばれていた)以来,数回改定された.現行のものは1968年に制定され,1975年に一部修正されたものである.基本の温度は熱力学的温度(記号T )で,その単位はケルビン(記号 K)といい,水の三重点の熱力学的温度の1/273.16で定義される.氷点は273.15 K であるから,セルシウス温度(記号t)は,

tT - 273.15

で定義される.単位はセルシウス度(記号 ℃)でケルビンに等しい.国際実用温度目盛は定義定点に与えられた温度の値(温度の定点)と,これらの定点で目盛定めされる標準の計器による定義定点間の補間方法によって定められている.13.81 K から630.74 ℃ までに用いられる標準の計器は白金抵抗温度計で,抵抗-温度の関係が与えられている.630.74 ℃ から1064.43 ℃ までに用いられる標準計器は白金-白金ロジウム(10% ロジウム)熱電対で,起電力-温度の関係が与えられている.1337.58 K(1064.43 ℃)以上では基準の温度として TAu = 1337.58 K を用い,C2 には0.014388メートル・ケルビンの値を用いて,プランクの放射法則で定義されるものである.すなわち,

である.ここで,LLAu とはTTAu とにある黒体の放射エネルギー輝度で,λは測定に用いる光の波長(任意)である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「国際実用温度目盛」の意味・わかりやすい解説

国際実用温度目盛【こくさいじつようおんどめもり】

国際温度目盛とも。理論的に定義された絶対温度を正確・容易に実現するため国際的に定められた温度目盛。1927年国際温度目盛として採用,以後数次にわたり修正・改訂されてきた。1968年の国際度量衡委員会で行われた改訂では,国際実用ケルビン温度T68(単位記号K),国際実用セルシウス温度t68(単位記号℃)(摂氏温度目盛)の2種を温度の表示とし(両者の関係はt68=T68−273.15K),下記の13の定点を定めた。1.平衡水素三重点(13.81K),2.25/76気圧のもとでの平衡水素の沸点(17.042K),3.1気圧のもとでの平衡水素の沸点(20.28K),4.1気圧のもとでのネオンの沸点(27.102K),5.酸素の三重点(54.361K),6.アルゴンの三重点(83.798K),7.1気圧のもとでの酸素の沸点(90.188K),8.水の三重点(273.16K),9.1気圧のもとでの水の沸点(373.15K),10.1気圧のもとでのスズの凝固点(505.1181K),11.1気圧のもとでの亜鉛の凝固点(692.73K),12.1気圧のもとでの銀の凝固点(1235.08K),13.1気圧のもとでの金の凝固点(1337.58K)。その後,1989年の国際度量衡委員会でとくに高温での改良が提案され,新しい温度標準体系(1990年国際温度目盛,ITS-90)が定められた。
→関連項目温度目盛国際単位

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改訂新版 世界大百科事典 「国際実用温度目盛」の意味・わかりやすい解説

国際実用温度目盛 (こくさいじつようおんどめもり)

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世界大百科事典(旧版)内の国際実用温度目盛の言及

【温度】より

…なお欧米で現在でも使われている華氏温度目盛での温度t′(゜F)と摂氏温度の関係は, t′(゜F)=9/5t(℃)+32である。国際実用温度目盛とは,水の三重点以外に,水素の三重点13.81K,酸素の三重点54.361K,銀の融点1235.08Kなどと温度の値を定め,さらに温度領域によって最適な温度計を指定し,それを標準とするものである。温度目盛
[微視的にみた温度の意味]
 巨視的な物体は莫大な数の原子からできている。…

【温度目盛】より

…歴史上の温度目盛の種類はきわめて多く,ニュートンをはじめレオーミュール,ランキン温度などの名で呼ばれるものもあるが,重要なのは,G.ファーレンハイトによる華氏温度目盛(゜F)とA.セルシウスによるセルシウス度とである。 現今の温度測定に不可欠なものとして国際実用温度目盛(IPTS。international practical temperature scaleの略)がある。…

※「国際実用温度目盛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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