出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
(1)狂言方が舞う舞の一種。狂言小舞ともいう。狂言の中の酒宴の場面などで,相手に求められて舞う短い舞。詞章は自分で舞いながら謡うばあいと相手役が謡うばあいとある。この小舞の際に謡う曲を小舞謡という。いずれも単独に完結した小品舞踊曲なので,どの小舞をどの狂言に用いるかは流動的だが,現在では,たとえば《七つに成子(なるこ)》を《棒縛》に,《海人》を《寝音曲》に用いるというように,ある程度まで演出が固定して定型化したものもある。また,狂言の中ではなく,能の仕舞と同じ形式で狂言方が紋付・袴(または裃)で登場し,地謡(じうたい)に合わせて舞う短い舞をも小舞という。曲は上記の小舞を舞うこともあり,特定狂言の一部を舞うこともある。現在,大蔵流に59番,和泉流に71番の小舞謡があり,そのうち両流共有曲は38番ある。なお狂言の歴史で小舞の占める意義については,大蔵虎明(とらあきら)《わらんべ草》には,〈玄恵法印より以前も申楽狂言もありしかど,それは小舞,かたりなどにてありしとみえたり,一番とする事,是より始まるなり〉とあるのが暗示するように,創成期の狂言においては,独立した代表的なレパートリーであったとも考えられる。
執筆者:羽田 昶(2)初期歌舞伎における舞踊の様式の一つ。女歌舞伎時代に,猿若や狂言師の演じた〈業平躍〉の系統が,若衆歌舞伎時代になると若衆役者の持ち芸となって伝承され,洗練されたもの。野郎歌舞伎時代から元禄期(1688-1704)にかけては,女方の舞の基本と考えられて流行し,小舞庄左衛門,小舞三左衛門などと,得意芸の〈小舞〉を芸名に付ける役者が出るほどであった。歌舞伎の小舞は,狂言にならってこの名を称したものの,実態は歌舞伎化されて踊りに近いものだったらしい。歌は,狂言小舞と同じく民間の流行小歌を用いた。寛文・延宝(1661-81)のころ,社会一般の復古的風潮により,〈小舞〉という名称に権威が生まれるとともに,初期歌舞伎の小舞が古典化して,〈小舞十六番〉というものが選ばれ,歌舞伎役者の修業の初歩的階梯の教材となった。その歌は,《業平躍十六番》《舞曲扇林》《歌舞妓事始》など諸書に掲載されている。
執筆者:服部 幸雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 リフォーム ホームプロリフォーム用語集について 情報
…
[歌舞伎の舞]
舞の歴史は中世をもっていったん終止符を打ち,それに代わって,近世の黎明(れいめい)とともに踊りの芸能が舞踊史の主流となる。しかし,1629年(寛永6),女歌舞伎の禁止を契機として歴史の表面に現れた若衆(わかしゆ)歌舞伎は,再び舞に注目し,狂言系統の小舞(こまい)を介して新しい舞踊表現を生み出す。それは〈小舞十六番〉という形に整備され,舞踊訓練の手ほどきとして重視されて,のちの所作事(しよさごと)の基礎となった。…
※「小舞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...
4/12 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
4/12 デジタル大辞泉を更新
4/12 デジタル大辞泉プラスを更新
3/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
2/13 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新