ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エリマキシギ」の意味・わかりやすい解説
エリマキシギ
Philomachus pugnax; ruff
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雄は繁殖期に襟巻のような飾羽をもつ脚の長い中型のシギ。チドリ目シギ科の鳥。英名は雄がruff,雌はreeve。ユーラシア大陸の北部で繁殖し,冬はアフリカ,インド,南アジアで越冬する。日本には旅鳥として春と秋に渡来し,海岸近くの入江や水田にすむが多くない。全長は雄が約32cm,雌は約25cm。夏羽の雄には眼の上に耳状の飾羽,後頸(こうけい)には襟巻状の飾羽が生ずるが,その色や斑紋は個体によって違い,背,肩羽,脚の色も多様である。雌と冬羽の雄は上面は褐色で下面は淡褐色。浅い水の中を歩きながら動物質の餌をあさる。繁殖地では,雄はレックlekと呼ばれる一定の場所に集まり,互いに飾羽を広げて向かい合って争い,レックを訪れた雌は気に入った雄と交尾をして,離れた場所で巣をつくり雛を育てるが,雄は営巣,抱卵,育雛(いくすう)に関与しない。地上にへこみをつくり,皿形の巣をつくり,1腹4卵を産む。抱卵日数は約21日。
執筆者:高野 伸二
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鳥綱チドリ目シギ科の鳥。ユーラシア北部で繁殖し、冬は南へ渡る。日本には旅鳥として渡来するが数は多くない。全長は雄約32センチメートル、雌約25センチメートル。翼長は雄約18センチメートル、雌約15センチメートル。夏羽の雄には襟巻状の飾り羽があり、その色は個体によってさまざまに異なる。雌と冬羽の雄では上面は黄褐色で黒い縦斑(じゅうはん)があり、下面は淡褐色。繁殖期には雄はレックとよばれる一定の場所に集まり、飾り羽を広げて向かい合って争う。レックを訪れた雌は気に入った雄と交尾するが、乱婚的で何羽かの別の雄とも交尾する。渡りのときには入り江、水田、湿地などにいて、浅水中で動物質の餌(えさ)をあさる。
[高野伸二]
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…繁殖期には営巣地の上を鳴きながら飛び回り,なわばり宣言を行い,近くの木の枝,杭,石の上などに止まって鳴くこともある。あまりはっきりしたなわばりをもたずに,比較的狭い範囲に数つがいから十数つがいが巣をつくるもの,一雄多雌で繁殖するもの,エリマキシギのように集団交尾場(レックlek)をもち乱婚的繁殖をするものなどがある。地上のくぼみや草の根もとに枯茎,枯葉,細い枯枝などで皿形の巣をつくり,淡色の地に黒褐色の斑紋のあるヨウナシ型の卵を産む。…
※「エリマキシギ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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