クマタカ(その他表記)Nisaetus nipalensis; mountain hawk-eagle

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クマタカ」の意味・わかりやすい解説

クマタカ
Nisaetus nipalensis; mountain hawk-eagle

タカタカ科全長 64~84cm。後頭部にある冠羽(→羽冠)は亜種によって長さが異なり,日本にすむ亜種 N. n. orientalis は短い。頭から背は淡黄褐色で褐色の縦斑がある。背と上面は褐色。喉は白く,胸から腹は淡褐色を帯びた白色で,胸には褐色縦斑が,腹には褐色横斑が密にある。尾は褐色で,よく目立つ濃褐色の横帯が数本ある。アジア温帯から熱帯域に広く繁殖分布し,ヒマラヤ山脈からタイ北部,中国南部,ハイナン(海南)島タイワン(台湾),日本にかけての地域と,インド南部,スリランカに分布する。日本では北海道本州四国地方山地に繁殖しているものの,その数は多くない。森林性のタカで,おもにキジヤマドリコジュケイなど大型や中型の地上性鳥類とウサギ類などを狩っている。生息環境の破壊による個体数の減少が心配されている。(→猛禽類

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改訂新版 世界大百科事典 「クマタカ」の意味・わかりやすい解説

クマタカ (熊鷹)
Hodgson's hawk-eagle
Spizaetus nipalensis

タカ目タカ科の鳥。タカと名付けられているものの中では最大級の一つ。とくに日本産の亜種は大型でりっぱである。全長70~80cm,翼の開張は150cmに達するが,南方のものは小さい。日本を北限として,中国南東部,ヒマラヤ,インドの一部,スリランカ,東南アジアに分布する。森林,とくに針葉樹林に好んで生息する。渡りはしない。背面は黒褐色で,下面は白っぽく,黒褐色の縦斑がある。尾には5~6条の黒い帯があり,飛翔(ひしよう)時に目だつ。後頭部の羽毛はやや長く,興奮すると冠状に立てる。くちばしは黒い。イヌワシに次ぐ森林性の猛禽(もうきん)で,ノウサギ,キジ,ヤマドリなどの中型の哺乳類と鳥を捕食するので,イヌワシとは生態的に競合する。イヌワシの多い地方では,イヌワシの大きなテリトリーの境界にクマタカの小さなテリトリーがモザイク状に点在している。日本では,3~4月に樹上小枝を集めて大きな巣をつくり,1腹2個の卵を産む。かつては鷹狩りによく使われた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クマタカ」の意味・わかりやすい解説

クマタカ
くまたか / 熊鷹
Hodgson's hawk eagle
[学] Spizaetus nipalensis

鳥綱タカ目タカ科の鳥。スリランカ、インド、ヒマラヤ、中国、日本に分布する。日本では留鳥として九州以北の山地にすむが、その数は多くない。全長約75センチメートル、翼長約50センチメートル、幅の広い翼と長めの尾をもった大きなタカ。体の上面は褐色で、後頭の羽毛はすこし冠羽状になる。体の下面は淡黄褐色で、黒褐色の縦斑(じゅうはん)がある。輪を描いてゆっくり飛び、獲物をみつけると急降下してつめでつかむ。ノウサギ、ヤマドリなどの大きな獲物もとらえる。高木の上に枯れ枝で大きな巣をつくり、1~2個の卵を産む。東北地方では昔から、飼いならして鷹狩(たかがり)に用いる。

高野伸二


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百科事典マイペディア 「クマタカ」の意味・わかりやすい解説

クマタカ

タカ科の鳥。背面は暗褐色。頭部,後頸は黄白色で,黒斑が並ぶ。翼長47〜54cm。雌のほうが大きい。日本全土,中国〜東南アジアに分布。山地の森林にすみ,冬は低山へ移動するものもある。巨木の枝に大きな巣を作る。ノウサギ,キジ,ヘビなど大型の動物を食べる。絶滅危惧IB類(環境省第4次レッドリスト)。
→関連項目タカ(鷹)

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世界大百科事典(旧版)内のクマタカの言及

【鷹狩】より

…鷹野,放鷹(ほうよう)ともいう。猛禽類のタカ(オオタカハイタカツミ),ハヤブサ(ハヤブサ,コチョウゲンボウ),ワシ(イヌワシクマタカ)などを馴養して,これらに常食の鳥獣を捕捉させ,それを遣(つか)い手がとりあげる間接的な狩猟法である。猟犬のように獲物を狩人の手元に持ち帰ることはない。…

※「クマタカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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