百科事典マイペディア 「コレリ」の意味・わかりやすい解説
コレリ
→関連項目スカルラッティ|パストラル
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イタリアの作曲家,バイオリン奏者。17世紀後半に合奏音楽の中心地であったボローニャで音楽の勉強をし,のちローマに出て,サン・ジョバンニ・デイ・フィオレンティーニ聖堂のバイオリン奏者を務めたりしたが,ローマに居住していた元スウェーデン女王のクリスティーナ,ベネデット・パンフィーリ枢機卿,ピエトロ・オットボーニ枢機卿らの後援を得て,作曲と演奏活動に専念することができた。
作品としては,作品1と作品3のそれぞれ12曲ずつの教会トリオ・ソナタ,作品2と作品4のそれぞれ12曲ずつの室内トリオ・ソナタ,作品5の12曲のバイオリン・ソナタ,作品6の12曲のコンチェルト・グロッソが知られている。作品6はコレリの死後1714年に出版されたが,作曲者自身が生前に編んだ曲集であることは明らかである。
コレリは,教会・室内両分野において,トリオ・ソナタ,ならびに,トリオ・ソナタをより動的にした種目とも言えるコンチェルト・グロッソの古典的な形式を創り上げるとともに,バイオリンと通奏低音の組合せによるバイオリン・ソナタにおいても,バロック中期の典型的な様式を打ち立てた。コレリの残した作品の数は少ないが,どの曲も磨きがかかっていて,珠玉の光を放っている。作品5の12の《ラ・フォリア》による変奏曲,作品6の8の通称《クリスマス協奏曲》などは,広く知られている。彼の曲にはバイオリンの技巧を顕示するようなところは見られないが,弟子の中には,ジェミニアーニやロカテリら,バイオリンの演奏技巧を大いに開拓した人たちがいた。
執筆者:戸口 幸策
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… バロック時代には,ハープシコードの独奏曲も多く作られたが,1560年代から登場していたバイオリンとその同属の楽器を中心にした合奏曲が発展し,トリオ・ソナタ,独奏ソナタ,コンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲),独奏コンチェルトなどが次々と形を成していった。ソナタやコンチェルト・グロッソの作曲家としてはA.コレリ,独奏コンチェルトではビバルディの名が広く知られている。ルネサンス時代とは逆に,18世紀には,イタリアの音楽家は西ヨーロッパ各地で大活躍することになった。…
…これら二つの型はやがて様式的混合がなされ,相互の区別がなくなってゆく。これらのソナタを完成させたのは17世紀後半のローマのコレリで(作品1と3,そして5の前半が教会ソナタ,作品2と4,そして5の後半が室内ソナタ),その影響は各国に及んだ。 バロック・ソナタは声部数の上から次の4種に分けられる。…
…バロック初期ではガブリエリ(G.ガブリエリ),ロッシSalomone de Rossi(1570ころ‐1630ころ),メールラTarquinio Merula(1594ころ‐1665)らが作品を残している。トリオ・ソナタを完成に導いたのはコレリで,彼のそれぞれ二つの教会ソナタ集(1681,89)と室内ソナタ集(1685,1700)はとくに重要である。トリオ・ソナタは当時のイタリアをはじめドイツ語圏,フランス,イギリスなどヨーロッパ各国で盛んに作曲され,バロックの典型的なソナタとなった。…
…この方向への第一歩を踏み出したのが,チーマGiovanni Paolo Cima(1570ころ‐?)によるバイオリンを含むトリオ・ソナタ(1610)と通奏低音付き独奏ソナタ(1620)である。この発展は,フォンタナGiovanni Battista Fontana(1630ころ没),マリーニBiagio Marini(1587ころ‐1663),ビターリなどに受け継がれ,有名な〈ラ・フォリア〉の主題による変奏を含むコレリのソナタ集(作品5。1700)において頂点に達する。…
…およそ16世紀末から18世紀前半にかけての音楽をいう。この時代に活躍した音楽家の中では,J.S.バッハ,ヘンデル,ビバルディらの名が広く知られているが,彼らは後期バロックの巨匠であり,初期を代表するモンテベルディやフレスコバルディ,中期のリュリやコレリらも見落とすことができない。同時代の美術の場合と同じく,バロック音楽を社会的に支えたのは,ベルサイユの宮廷に典型を見る絶対主義の王制と,しだいに興隆する都市の市民層であった。…
※「コレリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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