レジリエンス(英語表記)resilience

翻訳|resilience

共同通信ニュース用語解説 「レジリエンス」の解説

レジリエンス

「回復力」「復元力」や「へこたれない精神」などと訳される。もともとは工学物理学で使われていた用語。「外から加わる力をはね返す力」を意味し、心理学では「逆境に対する精神的回復力や自然の治癒力」を指す。シリュルニクさんは寄稿の中で、ただ元に戻る力ではなく、「(過去と)別の形の復興を目指す」力という新たな定義を与えている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レジリエンス」の意味・わかりやすい解説

レジリエンス
resilience

ある体系が機能し続け,攪乱から回復する能力。頑健性ともいう。生態学的には,生態系が攪乱によって損傷を受けたあとに,通常行なわれていた物質循環バイオマス生産を維持し続ける能力をさす。攪乱の要因がハリケーン火山噴火などの自然事象であれ,魚の乱獲や環境汚染などの人的影響であれ,生態系が攪乱から回復する能力を失えば,食料,清浄な水,環境美など,人間がその生態系から得る利益がそこなわれる。そのためレジリエンス概念は,おもに環境保全管理の分野で用いられてきた。環境保全においては,特にその生態系が崩壊するリスクを防ぐ,あるいは攪乱から回復させる能力をもつものを特定することが重要になる。レジリエンスの決定要因としては,や集団,個体といった個々の構成要素の多様性や不均一性,景観特性,生態的地位が重複した種が複数いるといった冗長性,構成要素が自律しているといったモジュール性などが考えられる。たとえば,景観特性に応じて森林の各区画を分断する防火帯を設置すれば,生態系を維持したまま山火事の森林全体への延焼を防ぐことができる。また,生態系の管理のためには,富栄養化砂漠化漁場の崩壊などの攪乱の始まりを予測する統計上の変動や相関性といった,早期警戒指標の特定も重要になる。このような考え方や手法は,近年では生態系の管理だけでなく,片頭痛心疾患の発症機序といった医学研究や,気候変動研究,金融制度や市場運用にも応用される。

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