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富栄養化 ふえいようかeutrophication

翻訳|eutrophication

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

富栄養化
ふえいようか
eutrophication

湖沼に窒素リンの類の栄養塩類が多くなり,生物の成育に適する条件が高まって,生物種も豊富になる状態をいう。生活排水や肥料,また工場排水の大量流入により極度に富栄養化して,青粉 (ミクロキスチスなど) など特定のプランクトンが異常発生するようになり,この死骸が湖沼底に沈降,堆積して嫌気性の分解が起り,このため硫化水素などを発生させて魚介類を大量死させるなど,新しい2次的な水質汚濁の原因となる。また富栄養化による湖沼の透明度の低下や水道水のろ過障害,異臭味問題なども生じる。この現象は琵琶湖,諏訪湖,霞ヶ浦などの富栄養型の湖沼をはじめ,元来貧栄養型の相模湖などの人工湖にも発生している。また,大都市やコンビナート周辺の内湾や沿海にもみられ,赤潮などの原因になっている。富栄養化の類型指定を受けている湖沼は 1990年で 44カ所あり,排水規制を実施している湖沼はリンで 1066ヵ所,窒素で 78ヵ所ある。

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知恵蔵の解説

富栄養化

湖沼、内海、内湾などの閉鎖性水域では生活排水、工場排水、農業肥料などが流入し、窒素、リンなどが増加する。日光を受けて藻類植物プランクトンなどの水生植物が増殖し、これが枯死・腐敗して窒素、リンを水中に放出する。赤潮、アオコなどは、こうした富栄養化で起きる。2004年度の環境基準(BODまたはCOD)の達成率は、河川89.8%、海域75.5%、湖沼50.9%。琵琶湖、霞ケ浦、諏訪湖など代表的な湖沼で未達成。

(杉本裕明 朝日新聞記者 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

ふえいよう‐か〔フエイヤウクワ〕【富栄養化】

湖沼・内湾などに、地表水等の流入により燐(りん)窒素などの栄養物質が蓄積すること。限度を超えるとプランクトンが異常繁殖して汚染や腐水化が起こる。

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百科事典マイペディアの解説

富栄養化【ふえいようか】

湖沼や内海・内湾のような水の停滞しやすい閉鎖性水域栄養塩類が流れ込むと,植物プランクトンや水草が増殖する。これらは,やがて枯死して水中に窒素やリンを放出,水質はますます栄養に富んだものになる。
→関連項目合成洗剤生活公害水汚染

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栄養・生化学辞典の解説

富栄養化

 湖,沼,内海,湾など閉鎖された水域で,生活排水や工場排水によって,微生物や藻類の栄養になるリン,窒素などが増加し,これらが繁殖しやすくなる状態.

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世界大百科事典 第2版の解説

ふえいようか【富栄養化 eutrophication】

元来は陸水学の用語。長い年月の間に貧栄養湖oligotrophic lakeが富栄養湖eutrophic lakeに移り変わっていく現象をいう。現在はより広義に,水域の種類にかかわりなく,水中の栄養塩濃度が増加し,水域の植物の生産活動が高くなっていく現象,いいかえると,貧栄養的水域が富栄養的になっていく現象を指す。貧栄養,富栄養ということばは,語源的には,湿原において植物の生産を支える栄養塩が乏しい,あるいは豊富なことをそれぞれ意味している。

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大辞林 第三版の解説

ふえいようか【富栄養化】

貧栄養湖が長年月を経て富栄養湖へと遷移すること。自然富栄養化。
リンや窒素などを含む排水が湖沼などに流入し、プランクトンが異常に発生するなどして水質が汚濁すること。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

富栄養化
ふえいようか
eutrophication

海水や陸水中にリン、窒素などの栄養塩類が豊富になり、これをもとにして植物プランクトンや海藻・水草が繁殖し、動物プランクトンや魚貝類が豊かになる現象。水域の生産向上という見方では好ましい現象である。しかし、栄養塩類の負荷が過剰になると、有機物生産が過剰になって水中や底にたまり、有機物の分解に伴って水中の溶存酸素が減少し、その結果、水質や底質が貧酸素や無酸素になり、生物相が単調となって悪質な赤潮が発生するようになる。さらに進行すると、細菌と原生動物だけが活動する腐水状態になる。生活排水や産業排水が流入し、しかも水が停滞しやすい水域では栄養塩類が過剰になりやすく、東京湾、伊勢(いせ)湾、大阪湾、手賀沼、印旛(いんば)沼などで問題になっている。[佐野 昭・高橋正征]

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世界大百科事典内の富栄養化の言及

【赤潮】より

…たとえば大村湾などで苦潮と呼ばれているのは,海の表層ではプランクトンの大増殖が視覚的には認められないにもかかわらず,底魚類などの斃死(へいし)や逃避現象を招くような極度の低酸素ないしは無酸素の水塊であり,三重県の真珠養殖場では,赤潮が出現する以前に低酸素の水塊が出現してアコヤガイの斃死を招くことが知られている。 赤潮などの変色現象については古くから注目されてきたが,水域の富栄養化・汚染と関連して近年とくに研究が進められている。厳密な定義はないが,細胞が比較的大型のプランクトン(たとえばオリスソディスクス,ゴニオラックスなど)の場合には100~200細胞/mlの密度で海面がやや変色したように見え,1000細胞/ml程度になると明らかに色づいて赤潮と呼ばれる状態になる。…

【合成洗剤】より

…ビルダーは洗浄浴中でアルカリ緩衝作用をもち,汚れによる溶液の酸性化,アルカリ性化を防ぎ,カルシウムやマグネシウムのような硬水成分の悪影響を防止し,汚れの分散を助けるものとされている。かつてはSTPPを30%程度配合した例もあるが,洗剤使用量の増大とともに,排水の環境への影響(湖沼・河水等の富栄養化)が問題となり,低リンまたは無リン化への努力がなされ,またとくに日本では環境に適合したビルダーとしておもにゼオライトを微粉化した洗剤用ビルダーが用いられるようになった。ヘビーデューティ洗剤はまた,形状から粒状洗剤と液体洗剤に分けられる。…

【湖沼汚濁】より

…湖沼の周辺で都市化が進み,産業活動や開発工事が盛んになるにつれ,湖沼の汚濁が進んでいる。その中で最も代表的な例が富栄養化による湖沼の汚濁である。植物プランクトンの栄養源となる窒素やリンを含む都市下水,工業廃水,農業・畜産業排水などが湖に大量に流入すると植物プランクトンの発生が急激に増加する。…

【物質循環】より

…安定した生態系においては,循環の経路や経過の時間なども安定しているが,特定の場所に物質が停滞したり,逆に不足したりすると,生物群集にも変動が起こり,物質循環系は乱れる。環境汚染,湖沼や海洋の富栄養化現象も,こうした物質環境系の乱れとみなすことができる。また,公害問題として注目される重金属や有毒物質で見られる生物濃縮の過程も同様な循環系の乱れであろう。…

【水の華】より

…ラン藻をはじめケイ藻や緑藻など,植物性のプランクトンが爆発的に増殖した場合に見られることが多いが,ラン藻類のMicrocystisの場合は青緑色を呈するので,特にアオコと呼ぶ。水の華はふつう窒素やリンなどの塩類が増えた場合によくみられることから,湖などが富栄養化したことの標徴とされることがある。また季節的にも夏から秋にかけてみられることが多い。…

※「富栄養化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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