アレルゲン(英語表記)〈ドイツ〉Allergen

百科事典マイペディアの解説

アレルゲン

アレルギーの原因となる抗原性物質のこと。アレルギー発症の鍵を握るとみられるIgE抗体免疫グロブリンの一種)を体内につくる。室内の埃や花粉などの吸入性アレルゲン,卵・魚・肉などの食物性アレルゲン,ウルシ・薬剤などの接触性アレルゲンなどがある。 最近では,アレルゲンとなりうる種々の物質に対して抗原分析が行われ,IgEとの反応性の高いアレルゲンが確定されている。ペニシリンやヨード剤,酵素製剤などもアレルゲンとなる可能性があることがわかっている。 アレルギー治療の第一歩は,問診,皮膚テスト,誘発テストなどのアレルゲンテストによって,原因となっているアレルゲンを確定し,それが回避可能なものであるならば,それを除去することにある(これをアレルゲン除去療法という)。 イヌ・ネコの毛や小鳥の羽毛が原因ならばこれらの動物を飼わない,黴(かび)や埃が原因であれば空気清浄器を活用する,卵・牛乳などの食物性のアレルゲンにはそれらの摂取を避ける,薬局喘息(ぜんそく)(薬局で働く薬剤師がかかる喘息)やコンニャク喘息(コンニャクの製造にかかわる人がかかる喘息)などの職業性アレルギーの場合は転職や作業場の換気の改善などが,その具体的な方法である。→減感作療法アレルギー性疾患アトピー性皮膚炎
→関連項目アレルギー・マーチ特定保健用食品パッチテスト

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栄養・生化学辞典の解説

アレルゲン

 I型即時型免疫過敏症(アレルギー)を引き起こすことのできる抗原.

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世界大百科事典 第2版の解説

アレルゲン【allergen】

ヒトにおける気管支喘息(ぜんそく),花粉症などのアレルギー性疾患もしくはアレルギー反応をひき起こす抗原物質をいう。1906年ピルケーClemens Pirquet(1874‐1929)が,異物の侵入をうけたあとでその異物に対する生体の反応性が変化することをアレルギーと名づけ,その異物をアレルゲンと呼んだ。現在では,おもに免疫グロブリンIg E型抗体による即時型アレルギーの発生に関与する抗原をアレルゲンと呼ぶ場合が多い。

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大辞林 第三版の解説

アレルゲン【allergen】

アレルギー反応のうち、IgE 抗体が関与するものの原因になる抗原性物質。花粉・ちりや動物の毛など吸入性のもの、魚肉・鶏卵・牛乳など食物性のもの、金属・ゴムなど接触性のものなどさまざまある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アレルゲン
あれるげん

生体にアレルギーを引き起こす原因となる物質(抗原)。アレルギー物質ともよばれ、広義にはアレルギーを誘発する抗原を含む物質そのものも含まれる。アレルギーとは、体外からの侵入物質や生体内で生成された特定の物質に対して過剰な反応が起こることで、これには多くの種類がある。そのため原因となるアレルゲンも多様である。代表的なものは空中に飛散する花粉やハウスダスト、ペット動物の毛垢(ふけ)やダニなどである。アレルゲンとなる花粉にはスギやヒノキ、ブタクサ、カモガヤ、ヨモギなどの種類があり、これらを吸入することでアレルギーを発症する。吸入アレルゲンにはほかに、カビなどの真菌、トルエンやメチレンなどの化学物質などがある。ユスリカ、スズメバチ、ガなどの昆虫もアレルゲンとなる。またウルシなどの接触アレルゲンのほか、薬剤も薬物アレルギーのアレルゲンとなる。ほかに食物によって誘発される食物アレルゲン(食事性アレルゲン)などがあり、食品には、卵、牛乳、ソバ、落花生などの特定原材料について、食物アレルゲンを含む食品として表示するよう義務づけられているものもある。農業や工業など特定の職業に従事する人にアレルギーを引き起こす原因物質は職業性アレルゲンとよばれ、農薬やニッケルなどがある。特異的なアレルゲンを同定するには、皮膚テスト(プリックテスト、スクラッチテスト、金属パッチテスト)のほか、血中の特異的IgE抗体検査などのアレルゲン試験を行う。[編集部]

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精選版 日本国語大辞典の解説

アレルゲン

〘名〙 (Allergen) アレルギー反応をおこす物質のこと。室内塵、花粉などの吸入性アレルゲン、大豆や牛乳などの食餌性アレルゲン、金属やゴムなどの接触性アレルゲンなど。

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世界大百科事典内のアレルゲンの言及

【アトピー】より

…このアトピー性レアギンの本態は,66年石坂公成らにより,特異な生物活性をもった免疫グロブリン(IgE)に属する抗体であることが証明された。体外から侵入した抗原物質(アレルゲン)に対してIgE抗体が産生される状況は,個人個人によって異なり,遺伝傾向が強い。現在,アトピーとは〈IgE抗体とアレルゲンとの免疫反応にもとづく症状をおもな症状とする遺伝傾向が強いアレルギー性疾患群〉と定義されている。…

【アレルギー】より

… なおIg E産生細胞は抗原と接触する機会の多い気道や消化管粘膜にかなり多いことが知られていて,アレルギー反応の局在性を暗示している。
[アレルゲンについて]
 アレルギーの原因となる抗原をアレルゲンという。非自己non‐selfの物質はすべて抗原として作用する可能性があるが,とくにI型アレルギーの病因的抗原としては,吸入性抗原として室内塵(その主要抗原としてのダニ),花粉(木の花粉としてはスギの花粉,草の花粉としてはイネ科の植物,ブタクサ,ヨモギ,カナムグラなど),カビ類(カンジダ,アスペルギルス,アルテルナリア,ペニシリウム,クラドスポリウムなど),動物の毛あか,植物繊維などがある。…

【気管支喘息】より

…【伊藤 新作】
【病態】
気管支喘息の病態は,気管支平滑筋の攣縮(れんしゅく),粘膜の浮腫,粘液分泌の増加などによる広範な気道の狭窄によるものであり,この原因として,気道過敏性の亢進および慢性の気道炎症が考えられている。気道過敏性とは,いろいろな刺激(ダニ,家のほこり,花粉などのアレルゲン,冷気,タバコの煙など)に対して,正常人より有意に気道が反応することであり,気管支喘息患者では一般にこの反応が亢進しており,何らかの遺伝的素因の関与が考えられている。気道炎症とは,気管支喘息患者の気道において慢性的に炎症細胞(肥満細胞,好酸球など)やサイトカインと呼ばれるタンパク質などが出現し,メディエーターとよばれる化学伝達物質が放出されるなどして,気道粘膜の浮腫や,粘液分泌をもたらされていることであり,気管支喘息の主たる原因として近年注目されている。…

【減感作療法】より

…回避できないアレルゲンによってひき起こされるアレルギー性疾患に対する特殊な治療法。抗原物質に対して過敏な状態にすることを〈感作sensitization〉といい,その過敏性を除去する処置を〈減感作〉(かつては除感作,脱感作といった)という。…

【抗原】より

… 物質がもつ抗原としての性質は抗原性と呼ばれ,その能力の強弱は抗原性が高(強)い,低(弱)い等という。また,抗原を抗体産生を含む免疫の成立,免疫学的寛容やアレルギーを起こす能力に焦点をしぼって考えるとき,免疫原(イムノーゲンimmunogen),寛容原(トレローゲンtolerogen),アレルゲンallergenなどともいう。さらに,抗原を生体に与えて免疫状態等を成立させることを免疫(感作)するなどという。…

【湿疹】より

…しかし,現在では,表皮に付着した化学物質を身体が拒絶して起こす遅延型アレルギーにより,表皮内に小水疱の形成されることが湿疹の本態と考えられており,したがって湿疹は,病名ではなく症候名ということになる。このような接触アレルギーのメカニズムがわかったのは,パッチテストという臨床検査法が実用化されて,多くの化学物質が接触アレルゲンとなって湿疹をつくることがわかってからである。 アレルゲンが皮膚に接触すると,まずかゆみのある紅斑性丘疹や小水疱が生じ,それらをかきこわしたあとがアワ粒くらいの糜爛(びらん)になり,鱗屑(りんせつ)(ふけのような,表皮の角化したもの)を生じて治る。…

【鼻アレルギー】より

…アレルギー反応によって誘発される鼻炎で,頻発するくしゃみ,水様性鼻汁,鼻閉を主症状とする。アレルギー反応やアレルギー性疾患をひき起こす抗原性物質をアレルゲンというが,鼻粘膜にアレルゲンがつくと,すでに粘膜のマスト細胞表面に存在しているIgE抗体との間で抗原抗体反応が起こる。この疾患が遺伝子病といわれるゆえんは,遺伝子の異常によって,ある抗原に対してIgE抗体が著しく多量に産生されるようになることによる。…

※「アレルゲン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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