エフェドリン

デジタル大辞泉 「エフェドリン」の意味・読み・例文・類語

エフェドリン(ephedrine)

アルカロイドの一。無色結晶劇薬で、覚醒剤原料漢方薬麻黄まおうに含まれ、明治18年(1885)長井長義が初めて抽出喘息ぜんそく治療に用いる。化学式C10H15NO

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精選版 日本国語大辞典 「エフェドリン」の意味・読み・例文・類語

エフェドリン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] ephedrine ) 白色の結晶。アルカロイドの一種で、漢方薬の麻黄(まおう)に含まれる。長井長義が明治二〇年(一八八七発見喘息(ぜんそく)発作低血圧症に用いられる。

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化学辞典 第2版 「エフェドリン」の解説

エフェドリン
エフェドリン
ephedrine

α-[1-(methylamino)ethyl]benzenemethanol.C10H15NO(165.23).マオウ科の麻黄Ephedra sinicaE.equisetinaE.distachyaなどに含まれるアルカロイドの一つ.天然には,(1R,2S)-(-)-エフェドリンが見いだされ,ともに含まれる(1R,2R)-(+)-プソイドエフェドリンとはジアステレオマーの関係にある.1-フェニル-1-プロパノン,ベンズアルデヒドなどを原料とする種々の方法で合成もされている.無色の結晶.融点38.1 ℃(無水和物),沸点225 ℃.-6.3°(エタノール).水,エタノール,クロロホルムに可溶,石油エーテルに難溶.交感神経末梢を刺激して気管支けいれんを緩解し,瞳孔を拡大する作用がある.この塩酸塩およびN-ジメチル体(メチルエフェドリン)の塩酸塩は,いずれも咳止め薬として用いられている.アドレナリンより薬効は弱いが,持続性がある.[CAS 299-42-3]

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百科事典マイペディア 「エフェドリン」の意味・わかりやすい解説

エフェドリン

喘息(ぜんそく)鎮咳(ちんがい)薬。マオウ科植物に含まれるアルカロイド長井長義が1887年発見,1928年合成。白色の結晶または結晶性粉末。交感神経末梢(まっしょう)を刺激し,気管支痙攣(けいれん)による激しい咳(せき)をおさめる効力がある。気管支喘息のほかアレルギー症状,夜尿症の治療に用いられ,急性鼻炎などに点鼻する。劇薬覚醒(かくせい)剤の原料となる。(図)
→関連項目向精神薬小児喘息マオウ(麻黄)

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改訂新版 世界大百科事典 「エフェドリン」の意味・わかりやすい解説

エフェドリン
ephedrine


1892年長井長義によりマオウ(麻黄)から単離されたアルカロイド。チェンK.K.Chen(1923)によって薬理作用が検討され,喘息(ぜんそく)の治療に使われるようになった。交感神経興奮薬に属し,気管支筋弛緩作用はアドレナリンより弱いが持続性がある。消化管からよく吸収され,経口服用で有効である。中枢興奮作用により,不安,不眠,食欲減退,呼吸興奮などをおこす。また心拍数を増し血圧を上昇させる。臨床的には,塩酸エフェドリンが,気管支喘息,上気道炎に伴う咳,鼻粘膜の充血腫張などに用いられている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エフェドリン」の意味・わかりやすい解説

エフェドリン
ephedrine

C10H15NO 。エフェドリンには4種の異性体があるが,普通エフェドリンという場合は l 体をさす。長井長義により 1892年に裸子植物マオウ科のマオウ (麻黄)より単離されたアルカロイド。生物活性の強い無色結晶。化学構造,薬理作用はアドレナリンと類似している。作用機序は,α,β受容体の直接刺激作用,交感神経終末からのカテコールアミン遊離作用,再取込み阻害,MAO (モノアミン酸化酵素) 阻害などが知られており,前の2つが最も重要である。中枢興奮作用,比較的短時間で薬剤耐性を生じること,経口投与可能であることなどは,アドレナリンと大きく異なる点である。血圧上昇,気管支拡張,散瞳などの目的で臨床に用いられる。

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栄養・生化学辞典 「エフェドリン」の解説

エフェドリン

 C10H15NO (mw165.24).

 マオウに含まれるアルカロイドで,アドレナリンと類似した作用すなわち気管支拡張,血圧上昇,心機能促進,血管収縮,中枢興奮などを起こすことから,気管支喘息の治療に用いられる.

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エフェドリン」の意味・わかりやすい解説

エフェドリン
えふぇどりん

塩酸エフェドリン

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世界大百科事典(旧版)内のエフェドリンの言及

【風邪薬】より

… 以上の薬物以外に,中枢神経興奮により気分の上昇をはかったり,あるいは抗ヒスタミン薬による眠気を防止する目的でカフェイン等が配合されることが多い。気管支拡張により呼吸を楽にする目的で,気管支拡張薬のエフェドリンやメチルエフェドリンもよく配合される。これらは中枢興奮作用をも有する。…

【自律神経薬】より

…(2)交感神経終末からノルアドレナリンを放出させて作用を現す薬物(間接型作用薬)で,チラミン,アンフェタミンなどがある。(3)上に述べた(1)(2)の両作用を併せもつ薬物(中間型作用薬)で,エフェドリンはこれに属する。 直接受容体に結合するタイプの交感神経興奮薬にも,α受容体とβ受容体のいずれに親和性が高いかによって,ひきおこす反応に差が生じる。…

【鎮咳薬】より

…一方去痰薬(きよたんやく)は,痰の排出を促進し,気道粘膜に対する刺激をやわらげて咳の発生を抑える。またアドレナリン,エフェドリンなどの気管支拡張薬は,気管支筋を弛緩させて内腔を広げ,痰の排出を容易にしたり咳の気流を減速したりして咳を弱める。しかし一般には,これらは鎮咳薬とは別に分類される。…

【マオウ(麻黄)】より


[薬用]
 シナマオウのほか,中国産のE.distachya L.やE.equisetina Bunge,インド産のE.gerardiana Wall.などの茎を乾燥したものを,生薬で麻黄という。アルカロイド,l‐エフェドリンl‐ephedrineを含み,これは気管支の平滑筋の痙攣(けいれん)を弛緩させるので喘息(ぜんそく)に用いられるが,長期間連用すれば薬剤耐性を生じ,根治はできない。漢方では他の生薬と配合して感冒の悪寒,発熱,頭痛,身体疼痛(とうつう)などの症状に用いて発汗作用があり,小児の麻疹にも応用される。…

※「エフェドリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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