オーム(英語表記)Georg Simon Ohm

精選版 日本国語大辞典 「オーム」の意味・読み・例文・類語

オーム

[1] (Georg Simon Ohm ゲオルク=シモン━) ドイツ物理学者。一八二六年「オームの法則」を発見。電気抵抗の単位「オーム」はその名にちなむ。(一七八七‐一八五四
[2] 〘名〙 (Ohm) 電気抵抗の単位。一ボルトの電位差のある導線に一アンペアの電流が流れる時、導線に起きる抵抗を一オームという。記号Ω 〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕

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デジタル大辞泉 「オーム」の意味・読み・例文・類語

オーム(ohm)

国際単位系SI)の電気抵抗の単位。二点間の電位差が1ボルトの導線に1アンペア電流が流れるときの二点間の抵抗を1オームとする。名称はG=S=オームにちなむ。記号Ω

オーム(Georg Simon Ohm)

[1789~1854]ドイツの物理学者。電磁気の実験研究を行い、1826年に「オームの法則」を発見。

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改訂新版 世界大百科事典 「オーム」の意味・わかりやすい解説

オーム
Georg Simon Ohm
生没年:1789-1854

ドイツの物理学者。エルランゲンの錠前師の子として生まれる。1805年エルランゲン大学に入学したが,学資が続かず学業を中断してスイスの学校の数学教師を勤め,11年に復学し学位を得た。しばらく数学の私講師として大学にとどまるが,給費も少なく将来の見通しもないためババリアバンベルクで数学,物理学の教師となる。その後17年にケルンのイエズス会のギムナジウムに職を得てからは待遇も改善され,研究のための時間も生じ,この時期にJ.L.ラグランジュ,E.N.ラゲール,P.S.ラプラス,S.D.ポアソン,さらにはJ.B.J.フーリエ,A.J.フレネルらのフランスの最新の数学や物理学を吸収した。20年にH.C.エルステッドが電流の磁気作用を発見してからは電気と磁気の研究を進め,26-27年に公表した論文の中で,混乱していたガルバーニ回路の現象を整理する普遍的な法則を示し,回路の中の電圧という考え方を明らかにした。また,この過程で電流の強さと外部に接続した針金の長さとの関係を見いだし,電流Iと抵抗Rおよび電圧Vの間には,IV/Rの関係があるというオームの法則を導いた。当時,A.H.ベクレル,H.デービーらも金属の導電性に関する同様の研究を行っていたが,オームの研究が際だっていたのは,電流やその磁気効果を詳しく測定してその結果のうえに法則を組み立てたという点にある。しかし,この画期的な業績もヘーゲル自然哲学が支配していたドイツでは認められず,オームが求めていた大学の職は得られなかった。41年イギリスのローヤル・ソサエティ最高の表彰であるコプリー・メダルを受賞してから,ドイツ国内でもようやく認められるようになり,45年バイエルン・アカデミー会員,49年ミュンヘン大学の員外教授,52年に正教授に迎えられた。このほか,1843年には発音体が基本音のほかに倍音も発することを発見したが,これは後のH.L.F.vonヘルムホルツの研究の基礎となった。
執筆者:

オーム
om

ベーダ聖典を誦読する前後,あるいは一般にマントラや祈りの文句の前に唱えられる聖音。ウパニシャッドではしばしばこの聖音は宇宙の根源,中性原理としてのブラフマンであるとされており,瞑想の手段に用いられた。また,聖音omは,そのさい,a,u,mの3音から成るとして考えられることが多かった。たとえば《ブリハッド・アーラニヤカ・ウパニシャッド》では,aは《リグ・ベーダ》に,uは《サーマ・ベーダ》に,mは《ヤジュル・ベーダ》に配せられ,om全体で三ベーダ,そして窮極的にはブラフマンを表すとされる。さらに《マーンドゥーキヤ・ウパニシャッドMāṇḍūkya-upaniṣad》では,aは覚醒時におけるバイシュバーナラ我,uは夢眠時におけるタイジャサ我,mは熟睡時におけるプラージュニャ我とされる。後世のヒンドゥー教になると,aは世界維持神ビシュヌ,uは破壊神シバ,mは創造神ブラフマーに配せられ,全体として三神一体である(トリムールティ)ことを表すものとされた。

 この聖音は後期仏教である密教にも採用され,唵(おん)としてダーラニー(陀羅尼)の冒頭に置かれた。《守護国界主陀羅尼経》では,aは法身(ほつしん),uは報身(ほうじん),mは応身(おうじん)の三身に配せられ,三世諸仏はこの聖音を観ずることによって成仏するとされ,阿字観(あじかん)と同じように,omの字(=音)を観想する唵字観という瞑想法が考案された。
仏身論
執筆者:

オーム
ohm

国際単位系(SI)における電気抵抗の単位。ドイツの物理学者G.S.オームにちなんで名づけられた。記号はΩ。オームは1Aの電流が流れる導体の2点間の電圧が1Vであるときに,その2点間の電気抵抗と定義される。クロスキャパシターを用いる抵抗の絶対測定によって実現され,1Ωの標準抵抗器の形で現示される。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オーム」の意味・わかりやすい解説

オーム
Ohm, Georg Simon

[生]1789.3.16. エルランゲン
[没]1854.7.6. ミュンヘン
ドイツの物理学者。「オームの法則」で知られる。1817年ケルンのイエズス会カレッジの数学教授,1833年ニュルンベルク工業大学教授を経て 1849年ミュンヘン大学教授に就任。その業績が認められ,1841年にロイヤル・ソサエティからコプリー・メダルを贈られ,翌 1842年外国人会員。電気抵抗の単位「オーム」は彼の名にちなんでいる。主著『ガルバニ電流回路の数学的研究』Die galvanische Kette, mathematisch bearbeitet(1827)。

オーム
ohm

電気抵抗のSI組立単位。記号は Ω 。導体上の2点間に電圧 1V を与えたときに,導体中を流れる電流が 1A である場合の2点間の電気抵抗が1Ωである。抵抗の標準値はクロスキャパシターを用いて与えられていたが,1990年以降量子ホール効果に基づいて実現されることになった。物質の 1m3の立方体の抵抗を抵抗率と呼び,単位はΩ・mである。単位名は G.S.オームの名にちなむ。

オーム

おん」のページをご覧ください。

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百科事典マイペディア 「オーム」の意味・わかりやすい解説

オーム

ドイツの物理学者。独学で学位を得,バンベルク,ケルン,ベルリン,ニュルンベルク等で数学,物理学を教え,1849年よりミュンヘン大学教授。1827年オームの法則を発見,音響,偏光等に関する研究もある。電気抵抗の単位オームは彼に由来。→オーム(単位)

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化学辞典 第2版 「オーム」の解説

オーム
オーム
ohm

電気抵抗の単位,記号 Ω.導体の2点間に1 V の電圧をかけているとき,電流が1 A であるときの電気抵抗.国際単位系(SI単位)では

1 Ω = 1 V A-1 = 1 kg m2 s-3 A-2

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

知恵蔵 「オーム」の解説

オーム

SIにおける電気抵抗の単位。固有の名称を持つ組立単位で、ドイツの物理学者名にちなむ。導体の2点間に1 Vの一定電圧を与えた時、1 Aの定常電流を生じる電気抵抗が1 Ω。現在ではオームの基準は量子ホール効果によっている。

(今井秀孝 独立行政法人産業技術総合研究所研究顧問 / 2008年)

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単位名がわかる辞典 「オーム」の解説

オーム【ohm】

電気抵抗の国際単位。記号は「Ω」。1Ωは1Aの電流が流れたときに、1Vの電位降下が生じる抵抗。3Vで、0.108Aの電流が流れた豆電球の抵抗は、約28Ωになる。◇名称は、ドイツの物理学者オームにちなむ。

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旺文社世界史事典 三訂版 「オーム」の解説

オーム
Georg Simon Ohm

1787〜1854
ドイツの物理学者
独学で学位をとり,1827年オームの法則を発見した。電気抵抗の実用単位オームは彼の名前に由来している。

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世界大百科事典(旧版)内のオームの言及

【度量衡】より

…ここでは,語義のたどりやすい例をいくつか示すにとどめる。イギリスのバレルbarrel(たる),ガロンgallon(椀),フランスのアンフォールamphore(かめ),ショプchopとショピーヌchopine(大小のジョッキ),ドイツのアイメルEimer,ファスFass,オームOhm(たる),ザイデルSeidel,クルークKrug,ショッペンSchoppen(ジョッキ),オランダのボッテルbottel(びん),レーペルlepel(さじ),クルースkroes(コップ)。
[衡(質量の基準)]
 質量(ないしは重量,ただし厳密にいえば重量は力の一種であって,質量とは峻別(しゆんべつ)されなければならない)の測定に関する歴史は,前数十世紀の時代にさえさかのぼりうるといわれるが,伝承されている史料のうちでもっともポピュラーなのは,古代エジプトのパピルス〈死者の書〉にしるされたてんびんの図であろう。…

【度量衡】より

…ここでは,語義のたどりやすい例をいくつか示すにとどめる。イギリスのバレルbarrel(たる),ガロンgallon(椀),フランスのアンフォールamphore(かめ),ショプchopとショピーヌchopine(大小のジョッキ),ドイツのアイメルEimer,ファスFass,オームOhm(たる),ザイデルSeidel,クルークKrug,ショッペンSchoppen(ジョッキ),オランダのボッテルbottel(びん),レーペルlepel(さじ),クルースkroes(コップ)。
[衡(質量の基準)]
 質量(ないしは重量,ただし厳密にいえば重量は力の一種であって,質量とは峻別(しゆんべつ)されなければならない)の測定に関する歴史は,前数十世紀の時代にさえさかのぼりうるといわれるが,伝承されている史料のうちでもっともポピュラーなのは,古代エジプトのパピルス〈死者の書〉にしるされたてんびんの図であろう。…

※「オーム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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