コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

カルス かるす

デジタル大辞泉の解説

カルス(callus)

植物体が傷を受けたときに、傷口をふさぐために増殖する組織。傷ホルモンの刺激によって形成される。癒傷(ゆしょう)組織。仮皮。
植物の篩板(しばん)両側または片側に形成される物質。セルロースに似た成分からなり、孔をふさぐ。カルス板。
植物の組織の細胞を数個取り出し、培養したときにできる不定形の細胞の塊。どの組織からでも得られ、植物ホルモンを与えると芽や根を再分化させることができる。

カルス(Kars)

トルコ北東部の都市。ジョージアアルメニアとの国境近くに位置する。9世紀末から10世紀にかけてバグラト朝アルメニア王国の首都として栄えた。オスマン帝国ムラト3世が16世紀末に築いた要塞がある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

栄養・生化学辞典の解説

カルス

 (1) 植物体の一部を切り取り,植物ホルモンとともに培養すると形成される無定形の細胞塊.本来,植物体を傷つけたときにそこに形成される傷を治そうとする植物体の組織をいった.(2) 皮膚や柔組織の肥厚部.(3) 骨折後,その部分に形成される骨様組織.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

カルス【callus】

植物体に傷がついたとき,その傷の周囲に二次的につくられる分裂組織が形成する組織。ハーバーラントG.Haberlandtが命名(1902)。癒傷組織ともいう。最近ではこの定義を拡大して,植物体の一部を植物ホルモン(オーキシンサイトカイニンなど)を含む培地上で培養したとき生じる人工的な細胞塊もカルスという。すでに分化していた細胞が,外的条件によって脱分化する例の典型で,カルスは活発な増殖を行ったのち,やがて再分化することが多い。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

カルス【callus】

植物の師管内で篩板ふるいばんの両面に沈殿して、その孔をふさぐセルロースに似た後形質。カルス板。肉状体。
植物体に傷をつけた時、傷口にできる不定形の癒傷組織。
茎、根などの分裂組織の細片を人工培養して得られる不定形の細胞塊。成長して完全な個体に復元するものがあり、ランなどの無性繁殖に利用される。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

カルス
Carus, Marcus Aurelius

[生]?
[没]283
ローマ皇帝 (在位 282~283) 。ナルボの出身。プロブス帝の近衛長官となり,282年ラエチアで反乱を起し,プロブスが殺されたのち,元老院の承認を求めることなく一方的に即位を通告。ドナウ河畔にクワディ人とサルマチア人を破り,またササン朝ペルシアに進攻,クテシフォンを占領し,さらに前進したが急死した。近衛長官アペルの裏切り,または落雷による死と伝えられる。

カルス
Kars

トルコ北東端に位置する都市で,同名県の県都。アルメニアとの国境に近く,アラス川の支流カルス川に沿い,標高 1750mの高原にある。カルス川によって山手の旧市街と南へ延びる新市街に分けられ,セルジューク朝時代の橋で結ばれている。9~10世紀にはアルメニア人のバグラト朝の支配下にあり,カルス県東部に残るアニ遺跡は当時首都であった都市の遺構である(2016世界遺産の文化遺産に登録)。その後セルジューク朝,モンゴル帝国チムール朝の支配を経て,1514年にオスマン帝国に編入された。ロシア帝国と紛争(→露土戦争)が絶えず,1877~78年にはロシアに併合され,1918年にトルコに返還された(→ブレスト=リトフスク条約)。家畜取り引きの中心地で,チーズが有名。粗毛布,カーペットフェルトも産する。重要な軍事基地であり,国内の主要都市とは鉄道,道路で結ばれている。人口 7万8100(2013推計)。

カルス
callus

植物体の組織の一部を切り取り,適当な条件で人工培養すると,増殖して無定形の細胞塊ができ,これをカルスと呼ぶ。未分化な状態のカルスにオーキシンやサイトカイニンなどの植物ホルモンを投与すると,芽や根,胚が分化し,さらに完全な植物体にまで成長させることができる。カルス培養は植物のバイオテクノロジーを支える重要な技術で,そのままでは栽培しにくいランをカルスから培養し,花を咲かせたり,作物の育種にも応用されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カルス
かるす
callus

かつては、傷ついた植物体の傷口にできる癒傷(ゆしょう)組織のことをいったが、現在では切り取った植物体の一部を、適切な寒天栄養培地上で培養するとき、細胞分裂によって増殖する無定形の細胞の塊のことをいう。カルスが生じることを脱分化といい、植物体のどの組織からもカルスは得られる。継代培養をすれば、カルスは無限に増やすことができる。カルスからは、オーキシンやサイトカイニンなどの植物ホルモンの働きで芽や根を再分化させることができる。[勝見允行]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のカルスの言及

【オーキシン】より

…IAAのほかに,ジベレリンやサイトカイニンも単為結実誘起作用を有する。植物の茎や葉の切片を高濃度のIAAや後出の合成オーキシンを含む培地で培養すると,切片から無定形で無方向に増殖する細胞群(カルス)が発生する。この現象を脱分化とよぶ。…

【サイトカイニン】より

…これは細胞が無方向に分裂を行って生じたもので,切り出した切片と異なり,組織化されていない細胞の集まりである。これはカルスcallusとよばれ,この現象を脱分化とよぶ。このカルスを継続的かつ継代的に増殖させるためには,培地に栄養素,オーキシンのほかに,ココナッツミルク,ニシンの精子,酵母の加水分解物などを添加することが必要である。…

【培養】より

… これに対して植物では,分化した植物細胞を適当な培地に移して培養すると脱分化が起こり,細胞分裂を繰り返して無定形の組織塊を生ずる。これをカルスと呼ぶが,カルスの細胞は動物培養細胞と違って,培地に加える植物ホルモンの種類と濃度によって,根あるいは苗条を再分化させることができる。そしてそれから完全な植物体の形成が可能である。…

【薬用植物】より

…これを高等植物に応用したものが組織培養である。高等植物を器官を形成しない状態の植物細胞の塊(カルスという)にしておき,肥料にあたる栄養物質を与えて培養し,このカルスに薬となる物質を直接つくらせようという試みがすすめられている。しかし,カルスは容易には有効物質(元の植物には含有されていた)をつくってくれないばかりか,ときには元の植物にはなかったものを勝手につくり出すことがある。…

※「カルス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

カルスの関連キーワードアッグテレク国立公園ナショナルスポンサーディオクレティアヌスヘリカルスキャン方式アグテレックカルストサン・ステファノ条約スロバキアカルスト中国南部カルスト中国南方カルスト黒姫山(新潟県)南島海域公園地区テクニカルスキルカルスト学習館スカベンジャーバフラム2世ヌメリアヌスカルスト台地液体窒素凍結成長点培養バレン高原

今日のキーワード

いい夫婦の日

11月22日。通商産業省(現経済産業省)が制定。パートナーへの感謝の意を示し、絆を深める。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

カルスの関連情報