Gd.原子番号64の元素.電子配置[Xe]4f 75d16s2の周期表3族ランタノイド元素.希土類元素イットリウム族の一つ.原子量157.25(3).質量数152(0.20(1)%),154(2.18(3)%),155(14.80(12)%),156(20.47(9)%),157(15.65(2)%),158(24.84(7)%),160(21.86(19)%)の7種の安定同位体と,質量数136~169の放射性同位体が知られている.1880年,C. de Marignacがサマルスキー石から分離した.元素名は,フィンランドの科学者J. Gadolinの名前をとった鉱石ガドリン石からとされる.地殻中の存在度3.3 ppm.ゼノタイム,褐れん石などに含まれる.分離は溶媒抽出法による.高純度( > 99.9999%)のものはイオン交換法が使われる.融点1313 ℃,沸点3266 ℃.密度7.90 g cm-3.第一イオン化エネルギー6.150 eV.金属は293 K 以下で強磁性を示し,0.001 K 程度の極低温をつくる磁気冷却に利用された.GdⅢの化合物のみが知られる.GdⅢの電子配置は4f7で,化合物も強い磁性を示す.水溶液は一般に無色である.ほかの希土類と同じく,シュウ酸塩,リン酸塩,フッ化物,炭酸塩などは水に難溶.EDTA錯体はMRI用の造影剤,(Y,Gd)BO3:Euは赤色,(Y,Gd)BO3:Tbは緑色カラーテレビジョン用または蛍光灯用の蛍光体,Gd2O2Sは小型冷凍機用蓄冷材として用いられる.[CAS 7440-54-2]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
周期表第3族に属し、希土類元素の一つ。1880年スイスのマリニャックJean Charles Galissard de Marignac(1817―1894)が、サマルスキー石から初めて分離した。1886年、フランスのボアボードランがセル石中にみつけ、希土類元素分離に功績のあったフィンランドのガドリンにちなんで命名した。主要鉱物はモナズ石、バストネス石など。塩化ガドリニウムを約1000℃で金属リチウムによって還元してつくる。白色の金属で酸化数+Ⅲの化合物だけが知られる。水とは徐々に、熱水や酸とは速やかに反応して水素を発生する。化合物は一般に無色で常磁性である。光学ガラスに用いられる。
[守永健一・中原勝儼]
ガドリニウム
元素記号 Gd
原子番号 64
原子量 157.25±3
融点 1310℃
沸点 3300℃
比重 7.9004(測定温度25℃)
結晶系 六方
元素存在度 宇宙 0.34(63位)
地殻 5.4ppm(40位)
海水 (/mgL-1)0.00000060
周期表第ⅢA族に属する希土類元素のうちのランタノイドの一つ。1880年スイスのマリニャックJean Charles Galissard de Marignacはサマルスキー石からサマリウムとは異なる新元素を発見し,希土類元素の研究者フィンランドのガドリンJohann Gadolinを記念して86年ガドリニウムと命名した。主要鉱石はゼノタイム,褐レン石,トルトバイタイトなど。単体は銀白色の金属。酸化物,塩類などの化合物およびその水溶液は通常無色。塩化物またはフッ化物とハロゲン化アルカリとの混合物の融解塩電解か,塩化物あるいはフッ化物のリチウムまたはリチウム-マグネシウム合金による還元によって金属が得られる。テレビ用蛍光体,レーザー用などに用いられている。
執筆者:中原 勝儼
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