ガドリニウム

デジタル大辞泉 「ガドリニウム」の意味・読み・例文・類語

ガドリニウム(gadolinium)

希土類元素ランタノイドの一。単体は銀白色の金属。フィンランドの化学者ガドリン(J.Gadolin)にちなみ命名元素記号Gd 原子番号64。原子量157.3。

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精選版 日本国語大辞典 「ガドリニウム」の意味・読み・例文・類語

ガドリニウム

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] gadolinium ) 希土類元素、ランタン系イットリウム族元素の一つ。記号 Gd 原子番号六四。原子量一五七・二五六方晶系結晶。発見者で、フィンランドの化学者、ガドリンを記念して命名。

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化学辞典 第2版 「ガドリニウム」の解説

ガドリニウム
ガドリニウム
gadolinium

Gd.原子番号64の元素.電子配置[Xe]4f 75d16s2の周期表3族ランタノイド元素.希土類元素イットリウム族の一つ.原子量157.25(3).質量数152(0.20(1)%),154(2.18(3)%),155(14.80(12)%),156(20.47(9)%),157(15.65(2)%),158(24.84(7)%),160(21.86(19)%)の7種の安定同位体と,質量数136~169の放射性同位体が知られている.1880年,C. de Marignacがサマルスキー石から分離した.元素名は,フィンランドの科学者J. Gadolinの名前をとった鉱石ガドリン石からとされる.地殻中の存在度3.3 ppm.ゼノタイム褐れん石などに含まれる.分離は溶媒抽出法による.高純度( > 99.9999%)のものはイオン交換法が使われる.融点1313 ℃,沸点3266 ℃.密度7.90 g cm-3.第一イオン化エネルギー6.150 eV.金属は293 K 以下で強磁性を示し,0.001 K 程度の極低温をつくる磁気冷却に利用された.Gd化合物のみが知られる.Gdの電子配置は4f7で,化合物も強い磁性を示す.水溶液は一般に無色である.ほかの希土類と同じく,シュウ酸塩,リン酸塩,フッ化物,炭酸塩などは水に難溶.EDTA錯体はMRI用の造影剤,(Y,Gd)BO3:Euは赤色,(Y,Gd)BO3:Tbは緑色カラーテレビジョン用または蛍光灯用の蛍光体,Gd2O2Sは小型冷凍機用蓄冷材として用いられる.[CAS 7440-54-2]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガドリニウム」の意味・わかりやすい解説

ガドリニウム
がどりにうむ
gadolinium

周期表第3族に属し、希土類元素の一つ。1880年スイスのマリニャックJean Charles Galissard de Marignac(1817―1894)が、サマルスキー石から初めて分離した。1886年、フランスのボアボードランがセル石中にみつけ、希土類元素分離に功績のあったフィンランドのガドリンにちなんで命名した。主要鉱物はモナズ石バストネス石など。塩化ガドリニウムを約1000℃で金属リチウムによって還元してつくる。白色の金属で酸化数+Ⅲの化合物だけが知られる。水とは徐々に、熱水や酸とは速やかに反応して水素を発生する。化合物は一般に無色で常磁性である。光学ガラスに用いられる。

[守永健一・中原勝儼]



ガドリニウム(データノート)
がどりにうむでーたのーと

ガドリニウム
 元素記号  Gd
 原子番号  64
 原子量   157.25±3
 融点    1310℃
 沸点    3300℃
 比重    7.9004(測定温度25℃)
 結晶系   六方
 元素存在度 宇宙 0.34(63位)
       地殻 5.4ppm(40位)
       海水 (/mgL-1)0.00000060

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改訂新版 世界大百科事典 「ガドリニウム」の意味・わかりやすい解説

ガドリニウム
gadolinium

周期表第ⅢA族に属する希土類元素のうちのランタノイドの一つ。1880年スイスのマリニャックJean Charles Galissard de Marignacはサマルスキー石からサマリウムとは異なる新元素を発見し,希土類元素の研究者フィンランドのガドリンJohann Gadolinを記念して86年ガドリニウムと命名した。主要鉱石はゼノタイム,褐レン石,トルトバイタイトなど。単体は銀白色の金属。酸化物,塩類などの化合物およびその水溶液は通常無色。塩化物またはフッ化物とハロゲン化アルカリとの混合物の融解塩電解か,塩化物あるいはフッ化物のリチウムまたはリチウム-マグネシウム合金による還元によって金属が得られる。テレビ用蛍光体,レーザー用などに用いられている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガドリニウム」の意味・わかりやすい解説

ガドリニウム
gadolinium

元素記号 Gd ,原子番号 64,原子量 157.25。周期表3族,希土類元素のランタノイドの1つ。天然には7種の安定同位体が知られている。 1880年 J.マリニャクによって発見された。サマルスキー石,ガドリン石,ゼノタイムなどの中に含まれる。イオンは無色である。希土類元素共通の化学的性質をもつ。毒性については未知である。

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百科事典マイペディア 「ガドリニウム」の意味・わかりやすい解説

ガドリニウム

元素記号はGd。原子番号64,原子量157.25。融点1312℃,沸点3266℃。希土類元素の一つ。1880年スイスのマリニャックが発見,希土類の研究者J.ガドリンにちなんで1886年命名。銀白色の金属で,化合物の多くは無色。カラーテレビ用の蛍光体,特殊半導体素子などに使われる稀少元素である。

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