ゴジュウカラ(その他表記)Sitta europaea; Eurasian nuthatch

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴジュウカラ」の意味・わかりやすい解説

ゴジュウカラ
Sitta europaea; Eurasian nuthatch

スズメ目ゴジュウカラ科全長約 14cm。頭上,背は灰青色で,黒色の太い過眼線がある。胸腹部は白く,脇,下腹部は赤褐色。尾は黒く,一部の尾羽には白斑がある。は黒くとがっている。渡りはせず,スカンジナビア半島北部を除くヨーロッパ中東からロシア中部,南部,東アジア中国東部,北アフリカ北端域に分布する。常緑広葉樹や針広混交林のある公園などに生息する。樹幹上を動き回って昆虫類や種子,木の実などをとる。同じ樹上性のキツツキ類は樹木の垂直部分を上に登っては別の木の下方に移ってまた登り,下へ移動することはないが,本種の仲間は上下に移動して食べ物を探す。日本では九州地方以北に 3亜種が分布し,北海道にシロハラゴジュウカラ S. e. asiatica が,本州四国地方,九州北部にゴジュウカラ S. e. amurensis が,九州南部にキュウシュウゴジュウカラ S. e. roseilia が生息する。なお,ゴジュウカラ科 Sittidaeはゴジュウカラ属だけからなり,約 30種が含まれ,新北区旧北区東洋区オーストラリア区などに分布する。

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改訂新版 世界大百科事典 「ゴジュウカラ」の意味・わかりやすい解説

ゴジュウカラ (五十雀)

スズメ目ゴジュウカラ科の鳥。またはゴジュウカラ科ゴジュウカラ属の総称。ゴジュウカラSitta europaea(英名nuthatch)は,アジアからヨーロッパにかけての中緯度地方に分布しており,日本では北海道から九州にかけての山地に生息する。よく茂った森林にすみ,幹を登り降りしながら樹皮の表面や裂け目などにいる昆虫やクモをとって食べる。頭を下にして幹を伝い渡るのがうまい。ピピピピピとかフィフィフィフィとよくとおる声で鳴く。1年を通じて単独あるいはつがいで暮らしていることが多く,大きな群れになることはないが,秋・冬季,カラ類の混群に混じることはある。天然の樹洞に営巣し,出入口が大き過ぎるときには,泥をかためてそこを狭める。巣内には枯葉や樹皮を敷き,6~10個の卵を産む。抱卵は雌だけが行い,育雛(いくすう)は雌雄ともに行う。ヨーロッパでは,巣箱を利用するものもいる。この属のゴジュウカラ類は,アジア,ヨーロッパ,北アメリカに広く分布しており,全部で15~20種いる。体上面は灰青色か青色をしており,下面は白く,大部分の種に眼を横切る黒い過眼線がある。尾は短く,くちばしは細くてまっすぐ。多くは森林内でゴジュウカラと同様の生活をしているが,上面が青色系の3種は,亜熱帯熱帯の森林の上のほうで暮らしている。また,ヨーロッパ南東部とアジア南西部に分布するイワゴジュウカラとそれに近縁な1種は,森林から出て,山地の低木や草の生える岩場にすんでいる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴジュウカラ」の意味・わかりやすい解説

ゴジュウカラ
ごじゅうから / 五十雀
nuthatch

広義には鳥綱スズメ目ゴジュウカラ科に属する鳥の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。種としてのゴジュウカラSitta europaeaは全長14センチメートルの小形の鳥。背面は灰青色、腹面は白、下腹部がオレンジ色を帯びている。目を通る黒条がある。尾は短く、頑丈な短い足には長めの指とつめがある。ユーラシアに広く分布し、日本では九州以北にいるが、北海道のものは下腹部も白い。留鳥で、針葉樹林、落葉広葉樹林にすみ、木の幹や小枝を足の指でつかみながら身軽に走り回る。大枝の下面や幹を逆さになって動き回ることもできる。その際キバシリのように尾羽を使って支えることもしない。樹皮の割れ目、地衣類やコケ類の中を探し、枯れた部分を嘴(くちばし)でたたき割ったりして、虫をとって食べる。また、果実や樹木の種子も食べる。秋には針葉樹の種子などを盛んに枯れ枝に詰め込んで隠す。強い縄張り性があり、1羽かつがいで過ごしており、樹洞やキツツキの古巣に巣をつくり、巣箱にも入る。冬には他種との混群に入っている。ゴジュウカラ科Sittidaeはユーラシアと北アメリカに分布し、7~8種が知られており、いずれも樹林にすみ、よく似た形と習性をしている。東南アジアに多くの種が集中している。

[中村登流]


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百科事典マイペディア 「ゴジュウカラ」の意味・わかりやすい解説

ゴジュウカラ

ゴジュウカラ科の鳥。翼長8cm。頭や背は灰青色で,黒い眉斑が目だつ。ユーラシア大陸中部以南に分布し,日本では全国の山地の林で繁殖する留鳥。木の幹を上下に動きながら餌の昆虫を捜す。頭を下にして木を降りられる唯一の鳥。巣は木の穴を利用する。フィーフィーと大きな声で早春からさえずる。

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