ジーメンス(Ernst Werner von Siemens)(読み)じーめんす(英語表記)Ernst Werner von Siemens

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ジーメンス(Ernst Werner von Siemens)
じーめんす
Ernst Werner von Siemens
(1816―1892)

ドイツの電気技術者、物理学者、工業家。ハノーバー、レンテの御料地小作人の家に、14人兄弟の4番目に生まれる。学費の要らない砲兵学校を卒業、砲兵士官になった。兄弟の生活を支えるため発明を志し、1842年最初の特許を電気めっき法で得た。1847年に指針電信機の改良とグッタペルカ樹脂の一種)を巻いた地下ケーブルを発明し、軍人を辞めて機械工のハルスケJohann Georg Halske(1814―1890)とともに電信機の製作と敷設にあたるジーメンス‐ハルスケ商会(後のジーメンス社)をベルリンにおこした。兄弟たちの協力によるロシアとイギリスでの電信網の敷設は、ヨーロッパの電機製作業における彼の地位を確立させた。ついで発電機の実用化に専念して、1867年に自励発電の原理を学会に発表した。この原理の先取権については他の学者との間で問題になったが、工場をもつ彼は、発電機およびこれと可逆的な電動機を急速に普及させた。1862~1867年国会議員としてドイツの工業政策に尽力し、特許法の公布、物理工学国立研究所の創設、工科大学内の電気工学講座の独立などに貢献した。『回想録』(1892)のほか、2巻の論文集が刊行されている。ベルリンで没した。彼の遺品ミュンヘンドイツ博物館およびジーメンス社歴史館に保存し公開されている。

山崎俊雄

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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