チョーク(その他表記)chalk

翻訳|chalk

デジタル大辞泉 「チョーク」の意味・読み・例文・類語

チョーク(chalk)

白墨はくぼくのこと。
堆積たいせきの一。白色または灰白色の軟らかい石灰岩で、生物起源の炭酸カルシウムからなる。白亜紀地層として知られ、ドーバー海峡の崖に露出するものは有名。白亜。
フリークライミングで、手指のすべり止めに用いる炭酸マグネシウムを主とした粉末
ビリヤードで、キューのすべり止めに用いる粉。

チョーク(choke)

内燃機関で、燃料混合比を高めるため、吸入空気を絞る装置。空気吸入調節弁。
格闘技で、首を絞め上げる技の総称プロレスでは反則となる。

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精選版 日本国語大辞典 「チョーク」の意味・読み・例文・類語

チョーク

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] chalk )
  2. 白っぽい軟質の石灰質岩石。白亜紀の地層として知られる。白亜。〔通俗写真薬品解説(1920)〕
  3. 石灰の粉末などを固型化した棒状の筆記具。黒板などに字や絵を描いたり印をつけたりするのに使う。白墨
    1. [初出の実例]「白灰(チョウク)を以て図を画がきて学習せり」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉五)
  4. ビリヤードで、すべりどめの粉。石灰を主材料として固めたもので、突き棒(キュー)の先端の皮のタップにこすりつけて使う。
    1. [初出の実例]「チョオクの多少は業の巧拙には関せんよ」(出典:金色夜叉(1897‐98)〈尾崎紅葉〉中)
  5. チャコ
    1. [初出の実例]「チョク、紐尺、海綿などあれども、大抵西洋服裁縫に用ゐること多し」(出典:裁縫の要訣(1916)〈吉田房子〉)

チョーク

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] choke )
  2. 息がつまること。窒息。プロレスで首をしめる反則わざにもいう。
  3. 内燃機関で、気化器におけるガソリンの混合比を高めるため、吸入空気を絞る装置。空気吸入調節弁。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チョーク」の意味・わかりやすい解説

チョーク(岩石)
ちょーく
chalk

石灰質の殻(から)をもつ浮遊性の単細胞生物の遺骸(いがい)と非常に微細な方解石とからなる岩石。一般に多孔質、細粒で、あまり硬くなく、もろくて壊れやすい。白色または灰白色を呈し、約90%以上が炭酸カルシウムからなる。この岩石を構成する生物遺骸はおもに単細胞植物の一種コッコリスで、ほかに有孔虫アンモナイト、ウニ、二枚貝なども含まれていることがある。北フランスからイギリスにかけて分布する白亜紀の地層によく知られており、イギリス海峡の両岸のものはとくに有名である。白亜はチョークの訳語である。

[斎藤靖二]


チョーク(筆記具)
ちょーく
chalk

高温に熱した焼石膏(しょうせっこう)や炭酸カルシウムの粉末を水でこね、型に入れて棒状に固めた筆記具。白墨(はくぼく)ともいう。主として黒板上で使用されるが、白色のほかに各種の色素を加えた色物もある。わが国では1873年(明治6)にフランスから輸入されたのが最初で、75年に初めて国産品が杉本卯之助(うのすけ)によりつくられた。

[野沢松男]

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改訂新版 世界大百科事典 「チョーク」の意味・わかりやすい解説

チョーク
chalk

西ヨーロッパやメキシコ湾岸の上部白亜紀層に特徴的にみられる微細な石灰粒からなる白色未固結の堆積岩で,ドーバー海峡に面する海崖に典型的に発達する。チョークは以前には無機的な炭酸石灰の沈殿物と考えられていたが,電子顕微鏡の発達により,これが主として浮遊性藻類であるコッコリトフォリーダの遺骸(コッコリス)から形成されていることが明らかとなった。しばしばフリントの団塊を含み,場所によってはアンモナイト,ベレムナイト,二枚貝,ウニなどの化石を含む。一般に方解石からなる貝殻はよく保存されているが,アラゴナイトの殻は溶け去っている場合が多い。陸地からの砂泥の供給がほとんどない浅海で堆積したと考えられる。日本にはヨーロッパやアメリカのチョークと同時期の地層は広く分布しているが,チョークと呼べる岩石はない。チョークは白亜とも呼ばれ,白亜紀Cretaceousの名称はチョークのラテン語cretaに由来する。昔は石板や黒板に字を書くのに用いられたが,現在チョークと称して同様に用いられている白墨は焼セッコウを水で練り成型したものなどである。
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百科事典マイペディア 「チョーク」の意味・わかりやすい解説

チョーク

(1)白亜とも。生物岩の一種。白色または灰白色細粒の柔軟な石灰岩。特に西ヨーロッパ(ドーバー海峡のものは有名)や北米の白亜紀後期の地層に特徴的。一般に,純粋な石灰岩で炭酸カルシウムは90%以上,その大部分は有機起源で,主として有孔虫の殻,貝殻などの破片のほか,多量の著しく細粒のコッコリソフォア(単細胞生物の一種)の遺体などからできている。(2)白墨とも。焼セッコウまたは白亜の粉末を水で練り,棒状に固めたもの。顔料をまぜ着色したものもある。黒板等に書くのに使用。
→関連項目チャート

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岩石学辞典 「チョーク」の解説

チョーク

細粒でやや砕けやすく純粋で,有孔虫および藻類の白亜紀の石灰岩.英国および北西ヨーロッパに発達する[Lyell : 1835].一般に白色または灰白色,細粒,軟質の泥灰質石灰岩.ヨーロッパの特にイギリス,フランスにまたがるドーヴァー海峡両岸,ドイツ,米国に広く分布する.主として浅海性の堆積層であり,白亜紀のものを指すことが多い.生物体の化石,主として有孔虫の石灰質核の蓄積した浅海で形成され,棘皮動物,頭足類などの化石も豊富に含まれる[隅田 : 2002].ラテン語のcalxは石灰の意味.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チョーク」の意味・わかりやすい解説

チョーク

「ビーン」のページをご覧ください。


チョーク

白亜」のページをご覧ください。


チョーク

「チャコ」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のチョークの言及

【白墨】より

…黒板などに筆記する用具。チョークともいう。天然にチョーク(白亜)として産する炭酸カルシウムを原料とするものと,石膏(せつこう)を原料とするものがある。…

【パステル】より

… pastelの語は〈練り固めたもの〉を意味するパスタpasta(中世ラテン語)から派生した。16世紀末から17世紀初めころに,従来使われてきた白,黒,茶の天然チョークの色数を増すために考案されたが,17世紀を通じてさほど重要視されず,チョーク類を一括してクレイヨンcrayon(フランス語)またはそれに相当する各国語で呼ばれていた。18世紀のフランス宮廷を中心にロココ美術が流行すると,その柔らかく華麗な色調が好まれてパステル画が絵画の一ジャンルとして独立した。…

※「チョーク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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