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ツル ツル Gruidae; cranes

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ツル
ツル
Gruidae; cranes

ツル目ツル科の鳥の総称。全長 90~150cmの大型の鳥で,頸と脚が長い。おもに草原や湿地にすみ,地上に営巣する。繁殖期以外には多くの親子が集まって群れをつくって生活する。雑食性。群れで飛ぶときは編隊を組み,北方で繁殖するものは南へ渡って越冬する。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ツル
つる / 鶴
crane

鳥綱ツル目ツル科に属する鳥の総称。この科Gruidaeは4属15種よりなり、南アメリカ、極地、大洋島を除く全世界に分布する。[森岡弘之]

形態

全長90~154センチメートル。ツル類はみな大形の渉禽(しょうきん)型の鳥で、頸(くび)、足、嘴(くちばし)が長い。足指も長く、前指の間には痕跡(こんせき)的な水かきがある。最大種はオオヅルとホオカザリヅルで、頭高1.5メートルに達する。羽色は一般に白かスレート色を主色とし、多くの種では頭上が裸出し、その一部が赤い。三列風切(かざきり)は、通常長く後ろに伸びる飾り羽となり、尾羽の上を覆っている。雌雄は同色であるが、雄は雌よりすこし大きい。飛翔(ひしょう)は強力で、高緯度地方で繁殖する種は長距離の渡りをする。飛ぶときは、頸も足もまっすぐ前後に伸ばし、ゆっくりと羽ばたく。また、しばしば滑翔する。アネハヅルとカンムリヅルを除いて、ツル類の体羽は毎年、風切羽と尾羽は2、3年に1回、いちどきに抜け換わる。このため、風切羽と尾羽を換羽中のツルは、数週間飛べずにいる。ツル類の特徴の一つは、トランペットのようによく響く、大きな声である。これは気管が長いためであって、多くの種では気管はぐるぐる巻いて、その一部が胸骨の竜骨突起の中にまで入り込んでいる。[森岡弘之]

生態

広い湿地や原野や草原に生息し、ホオジロカンムリヅルはときどき低木の上で休息するが、他のツル類はもっぱら地上で生活している。繁殖期以外は群れをつくる傾向があり、とくに渡りのときや越冬地では大きな群れとなる。ツルのディスプレーは、ダンスと鳴き合いがとくによく知られている。ダンスは、気どったかっこうで歩いたり、おじぎをしあったり、空中にぴょんぴょん跳びはねたりする動作よりなり、1羽ですることも、つがいですることも、数羽以上の個体が集まってすることもある。雄だけでなく、雌も幼鳥もダンスをする。また、ダンスは繁殖期にもっとも頻繁に行われるが、繁殖期間中だけに限られない。したがって、ツルのダンスは、性的以外の意義もあると考えられる。鳴き合いは、雌雄が嘴を空に突き上げて鳴き交わすディスプレーで、これはテリトリーの宣言のようである。ツルのつがいは、通常相手が死ぬまで続く。巣は、湿地の中にアシや枯れ枝を積み上げてつくり、大きなものは直径1メートル、高さ60センチメートル以上もある。しかし、乾燥した地上で繁殖するオーストラリアヅルやハゴロモヅルは、地面のくぼみに直接産卵し、巣らしいものをつくらない。1腹の卵数は2個が普通で、抱卵と雛(ひな)の世話は雌雄交代でする。抱卵期間は28~35日で、大形種のほうが長い。雛は、生まれてまもなく、歩くことも泳ぐこともできる。ツルの雛と幼鳥は、黄褐色か灰褐色の目だたない羽毛をもち、危険を感じると、じっとうずくまっている。ツル類では、2個の卵から雛が1羽だけ育つことが少なくなく、幼鳥はかなり長い間両親といっしょの家族生活をする。ツルの食物は主として植物質で、種子、漿果(しょうか)、芽、根などをあさり、ときには昆虫類、ザリガニ、カエル、ネズミ、小鳥の卵や雛なども食べる。ただし、繁殖期には、動物質の餌(えさ)をかなりとる。また、穀物を好むために、畑に被害を与えることもある。
 ツルは古来、カメとともに長寿とされるが、鳥類は飼育下でも100年以上生きることはなく、ツルの寿命も20~30年ほどと思われる。[森岡弘之]

種類

ユーラシアに分布するものが多く、とくにアジア東部に多くの種が生息している。日本で繁殖しているのはタンチョウGrus japonensis1種だけであるが、ナベヅルG. monachaとマナヅルG. vipioが冬鳥として渡来し、クロヅルG. grus、ソデグロヅルG. leucogeranus、カナダヅルG. canadensis、アネハヅルAnthropoides virgoもまれな冬鳥か迷鳥として渡来する。このほかの種類は、チベット・青海省のオグロヅルG. nigricollis、南アジアのオオヅルG. antigone、オーストラリアのオーストラリアヅルG. rubicunda、アフリカのカンムリヅルBalearica pavonina、ホオジロカンムリヅルBalearica regulorum、ハゴロモヅルA. paradisea、ホオカザリヅルBugeranus carunculatus、北アメリカのアメリカシロヅルG. americanaである。アメリカシロヅルは数が非常に少なく、国際保護鳥となっている。ツル類は、姿がよく、飼いやすく、禽舎内で繁殖もするので、多くの種が動物園や公園で飼われている。[森岡弘之]

民俗

優美に天空を飛びかけるツルは、異郷から人界を訪れる霊鳥として崇(あが)められていた。『倭姫命世紀(やまとひめのみことせいき)』には、志摩の伊雑宮(いざわのみや)などのいわれとして、葦原(あしはら)の中でしきりに鳴くツルが、稲一本に千穂の茂ったものをもってきたと記されており、そのようなツルのもたらした稲穂から稲作が始まったとする伝承は、日本の各地にみられる。「鶴女房」の昔話では、神女として現れたツルが、貴重な布を織ることによって、主人公の恩に報いたと語られ、また「笛吹き聟(むこ)」の昔話でも、天上から遣わされたツルが、主人公の危難を救っている。「鶴は千年、亀(かめ)は万年」というように、一般にこの二つの動物は長寿でめでたいものと認められており、ツルが降りてくると、よいことがおこる、あるいは多くの金が入るなどと伝えられている。また、ツルの夢をみると、長生きをするなどともいう。さらにツルがあおむいて鳴くのは晴れ、うつむいて鳴くのは雨降りのしるしと伝えられている。民間療法としては、ハンセン病の薬にツルの肉や骨を用いており、神経痛の薬にはツルの足を煎(せん)じて飲むことが行われる。[大島建彦]

文学

『万葉集』から「ほととぎす」「雁(かり)」「鶯(うぐいす)」などに次いで数多く詠まれているが、日常語の「つる」に対して、歌語としては「たづ」が用いられていた。「若の浦に潮満ち来れば潟(かた)をなみ葦辺(あしべ)をさしてたづ鳴きわたる」(巻6・山部赤人(やまべのあかひと))のような叙景歌として多く詠まれ、葦辺にいることから「あしたづ」という歌語も生じた。平安時代に入り、「つる」も和歌に用いられるようになり、また瑞鳥(ずいちょう)として賀の歌に多くみられ、「千代(ちよ)」「千歳(ちとせ)」の長寿があると意識されて「松」や「亀」とともに詠まれた。『古今集』に「鶴亀も千歳の後は知らなくに飽かぬ心にまかせはててむ」(賀・在原滋春(ありわらのしげはる))、「万代(よろづよ)を待つ(松)にぞ君を祝ひつる(鶴)千歳の蔭(かげ)に住まむと思へば」(賀・素性法師(そせいほうし))などとある。『枕草子(まくらのそうし)』の「鳥は」の段に、「鶴は、いとこちたきさまなれど、鳴く声の雲居(くもゐ)まで聞ゆる、いとめでたし」とあるのは、『詩経』「小雅」の「鶴九皐(きゅうこう)(沼沢地のこと)ニ鳴キ、声天ニ聞ユ」を踏まえたものである。『源氏物語』「若菜上」には、二条院での祝宴で楽人たちが禄(ろく)を肩にかけて退出するようすを、「千歳をかねて遊ぶ鶴の毛衣(けごろも)に思ひまがへらる」とあり、これは『催馬楽(さいばら)』の「席田(むしろだ)のいつぬき川に住む鶴の千歳をかねて遊びあへる」を引いたものといわれる。『和漢朗詠集』下「鶴」の項に、「声ハ枕ノ上ニ来(きた)ル千年ノ鶴」「清唳数声(せいれいすせい)松ノ下(もと)ノ鶴」(白楽天)とあり、「千歳」や「松」が漢詩文による類型であることが知られる。季題は、「初鶴」が新年、「鶴来る」が秋、「凍(いて)鶴」が冬。[小町谷照彦]

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