トランプ(カード)(読み)とらんぷ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トランプ(カード)」の意味・わかりやすい解説

トランプ(カード)
とらんぷ

室内ゲーム用具の一種。正式にはプレーイング・カードplaying cardまたは単にカードcardという。日本ではトランプとよぶことが多いが、もともとトランプtrumpとは、カードゲームの用語で切札(きりふだ)のことをいい、カードのことをトランプというのは日本だけである。明治初期、来日した西洋人たちのカードゲームをそばで見ていた日本人が、しばしば用いられるトランプということばを、カードそのものの名称と間違えて使ったものといわれている。「西洋かるた」とよばれたこともある。

 現在一般に用いられているカードは、52枚のカードと、ジョーカーjokerが1枚または2枚ついて1組になっている。その内容は、スペード♠、ハート♥、ダイヤモンド♦、クラブ♣のマークをもつ4種のスーツsuitsからなり、各スーツにはA(aceエース)、K(kingキング)、Q(queenクイーン)、J(jackジャック)、10・9・8・7・6・5・4・3・2の13枚があり、合計52枚である。K、Q、Jを絵札とよぶ。これが現在の標準的な1組であるが、国によっては違う枚数の1組を使っている。たとえばスペインでは48枚、イタリアでは40枚、そのほか36枚、32枚、24枚などの1組を用いている所もある。また各スーツのマークも違ったものもある。

[高木重朗]

歴史と変遷

カードの起源

カードの起源については、多くの説があるが、いずれも確証もなく不明な点が多い。そのおもな起源説は次のとおりである。

(1)中国起源説 古代の人が使用した占い用の矢が変化し、占い用の棒になり、さらにこの棒がゲームに使われるようになり、中国において紙の発明によって棒のかわりに細長いカードが使われるようになった。これは紀元前2世紀から紀元後2世紀の間に初期の形態がつくられたと推定される。またヨーロッパの古いカードのスーツと古代中国のカードのスーツには類似がみられる。この中国のカードがシルク・ロードを通じてヨーロッパに伝えられたとするのが中国起源説で、もっとも有力な説とされている。

(2)インド起源説 カードと将棋には類似点が多く、将棋がインドで発明されたのはほぼ確実なので、カードもインドで発生したのだとする説と、インドの古代のカードとヨーロッパのカードに類似点があるので発生をインドと推定する説とがある。

(3)エジプト起源説 18世紀にカードの研究家クール・ド・ジェブランが唱えたものである。これは、ヨーロッパにおける古いカードの形態であるタロットの大アルカナ22枚の寓意(ぐうい)画が、古代エジプト哲学の影響を受けていることから、発生をエジプトに求めたものである。

 以上のようにいろいろな起源説があるが、確実なのは、東洋で発生しそれがヨーロッパに伝えられ現在の形態になったということである。

[高木重朗]

変遷

東洋に発生したカードがヨーロッパに伝わったのは11世紀から13世紀の間と推定され、14世紀には確実な証拠が残っている。パリの国立図書館にフランスのシャルル6世のために描かれたカードが17枚所蔵されているが、これは1392年のもので、現存する最古のカードである。

 東洋からヨーロッパに伝わったことについて、もっとも有力な説は、ロマ(かつてジプシーとよばれた)が持ち込んだという説であるが、このほかイスラム教徒が文芸・娯楽とともに持ち込んだという説、および11世紀に遠征した十字軍の兵士が持ち帰ったという説などがある。

[高木重朗]

タロット

tarot (cards) ヨーロッパにおける古い形態はタローtarot(フランス語)、タロッキtarocchi(イタリア語)、タロックtarok(ドイツ語)とよばれているカードである。これはイタリアでつくられたと推定されるが、他の説もある。タローは日本では一般にはタロットとよばれている。

 タロットは、アツウatoutとよばれる切札22枚(正しくは21枚と添札1枚)と56枚のカードの計78枚1組である。22枚の切札は、1から21までの番号をつけてある寓意画の札と道化を描いた添札(そえふだ)1枚からなっている。寓意画は時代によって異なるが、一般的なものは、魔術師・女教皇・女帝・皇帝・法王・恋人・戦車・正義・隠者・運命の車輪・権力・吊(つ)るし人・死・節制・悪魔・塔・星・月・太陽・審判・世界である。これらのカードは人生の縮図であり、人間の種々の欲望や活動を表したものである。添札には、おかしな服装をした道化が曲事(くせごと)と悪徳の詰まった袋を背負って歩いている絵が描かれている。この添札が現代のジョーカーjokerになった。ほかの56枚のカードは、剣・棍棒(こんぼう)・聖杯・貨幣の4種のスーツがあり、各スーツは1から10までの数のカードと王・女王・騎士・兵士の絵札からなっている。剣は王侯・貴族、棍棒は農民、聖杯は僧侶(そうりょ)、貨幣は商人を象徴したもので、これは中世における社会階級を表している。タロット78枚のうち22枚のアツウを大アルカナ(あるいは大タロット)、残りの56枚を小アルカナ(小タロット)とよんでいる。

[高木重朗]

カードの誕生

14世紀の末期から15世紀の初頭に、タロットから22枚の大アルカナを落として56枚1組のカードがフランスでつくられた。これが基になり、絵札のうちの騎士がなくなり、各スーツ13枚、計52枚1組の現在のカードになった。現在のカードで兵士・召使いを表すカードをジャックとよぶのは、ジャックという名が、日本でいう太郎などと同じに一般的な名前だからである。

 各スーツのマークも、剣・棍棒・聖杯・貨幣からいろいろと変化した。ドイツではどんぐり、葉、ハート、ベルのスーツを、フランスでは剣、ハート、ダイヤモンド、棍棒のスーツを使っている。現在のスーツ、スペード、ハート、ダイヤモンド、クラブはフランスのスーツの変化したものである。スペードspadeは剣の変形で、イタリア語の剣を意味するspadaからきており、英語のspade(鋤(すき))の意味はない。ダイヤモンドは貨幣の変形である。クラブclubは棍棒のことで、クローバーの葉のような三つ葉を用いているが、古いカードを見ると棍棒にクローバーのような三つ葉がついているものがあり、この三つ葉を棍棒の代用にしたのである。ハートheartは文字どおり心臓で、聖杯のかわりに用いられたものである。

 14世紀までのカードは手書きであったので高価であったが、15世紀に入り、印刷術の発達に伴って、木版刷りで大量生産されるようになって、安価になり一般にも普及した。裏のデザインもきれいなものになり、19世紀末期イギリスにおいて、隅を丸く落とし、隅にインデックスをつけ、絵札を両頭にして、現在用いられているようなカードになった。

 日本には戦国時代にスペイン、ポルトガルから伝来したカードを変形させた「うんすんかるた」「天正(てんしょう)かるた」とよばれるものがあり、さらにそれが「花札」に変化していったのである。

[高木重朗]

おもなカードゲーム


 現在行われているカードゲームの種類は非常に多い。しかし、基本的に同じような遊び方をグループとして系統的にみれば、ホイストを中心にしたホイスト系のゲーム、ラミーをはじめとするラミー系のゲーム、ストップ系のゲーム、ポーカー系のゲーム、およびその他のゲームに大別できる。

[高木重朗]

ホイスト系ゲーム

ホイスト系のゲームは、基本的にだれかがカードを出し(リード)たら、それと同じスーツのカードを出していき、いちばん高いカードを出した人がその場に出たカードをとる。これで1組(1トリック)をとったことになる。そして、とった人が次にリードをする。このようにして多くの組をとった人が勝ちになるゲームである。ホイストのほか、この系統のゲームではナポレオン、ハート、ユーカー、エカルテ、ツー・テン・ジャック、500、コントラクト・ブリッジなどが一般的である。基本的にはホイストとほぼ同じで、ここではホイストについて述べる。

[高木重朗]

ホイスト

whist ホイストに使用するカードは、ジョーカーを除く52枚。人数は4人で、向かい合った2人が組になる。カードのランクはAが最高で以下K/Q/J/10/9/8……3/2の順となる。

(a)ディーラーdealer(配り手)を決める これは1組のカードを裏向きのまま、テーブルの上に横に広げ、おのおの1枚ずつカードをとる。そして、いちばんランクの高い札をとった者がディーラーとなる。同じ数の場合はスペードが最高で、以下ハート、ダイヤ、クラブの順である。次に高いカードを引いた人がディーラーのパートナーとなり、向かい側に座る。残りの2人はディーラーの両側に座る。これで4人の位置が決まる。

(b)カードを配る ディーラーはカードをシャフル(切り混ぜる)してから、自分の左隣から時計の針と同じ方向に順に1枚ずつ配る。全部配ると各人が13枚ずつ持つことになる(以下配り方はこのようにする)。

(c)切札を決める ディーラーは、最後に自分のところに配ったカードを表向きにする。これと同じスーツが切札となる。ディーラーはこの表向きのカードを自分の手札に戻す。

(d)プレー ディーラーの左隣の者が自分の手札から任意の1枚を表向きにしてテーブルの上に出す。これを台札という。ほかの者は順に自分の手札から台札と同じスーツのカードを出す。4人がカードを出したら、そのなかでもっとも高いランクのカードを出した者が勝ちで、その4枚をとる。この4枚1組を1トリックtrickという。そして、これをとった者が次の台札を出す。台札に続けて出す場合、台札と同じスーツのカードがなければほかのカードを出してもかまわないが、このとき、切札を出せば、台札の強いカードより高位になり、勝ちになる。台札・切札と違うスーツを出せば負けになる。このように手札がなくなるまでプレーを行う。すなわち全部で13回行うのである。これが終わったら、向かい合ったパートナーのトリックと合計し、トリックを多くとったほうのペアが勝ちとなる。トリックは全部で13だから、過半数の7トリック以上をとったほうが勝ちである。

(e)得点の計算 7トリックとったら7-6=1で1トリックが得点となり、1点に数える。8トリックとったら2点、13トリック全部とったら7点である。勝負は先に7点(あるいは5点)とったほうの組が1回戦が勝ちとなる。初めに13トリック全部とれば7点で1回の勝ちである。1ゲームは3回戦であるから、2回勝ったほうが1ゲームの勝ちである。

[高木重朗]

コントラクト・ブリッジ

contract bridge ホイスト系のゲームで、もっとも変化に富むおもしろいゲーム。ブリッジとも略称される。トリックをとって競うという点ではホイストと同じであるが、ビッド(せり)によって切札を決め、同時にいくつのトリックをとるかを予約するところが違う。この成立した予約をコントラクトとよび、コントラクト・ブリッジの名称はこれから出ている。このコントラクトの高低によって得点が変わるのである。コントラクトによってゲームに変化がつき、複雑になり、おもしろくなる。ブリッジは全世界に多くの愛好家をもち、選手権大会も行われている。作戦もいろいろなシステムが考えられている。なお、日本でブリッジといわれているのは、ラミーのなかのセブン・ブリッジで、コントラクト・ブリッジとは異なる日本のゲームである。

[高木重朗]

ラミー系ゲーム

ラミー系のゲームは、同じ数の3枚か4枚のセット(グループ)か、同じスーツで数が続く3枚以上のセット(シークェンス)をつくるゲームで、日本の麻雀(マージャン)に似たところがある。この系統のゲームとしては、ラミー、ジン・ラミー、オクラホマ、バンキング、カナスタ、コントラクト・ラミー、コンチネンタル・ラミー、コン・キャン、セブン・ブリッジ(日本ではブリッジと略称)などがある。ここでは基本になるラミーの遊び方を記す。

[高木重朗]

ラミー

rummy 使用するカードはジョーカーを除く52枚。人数2人。カードのランクはKが最高で以下Q/J/10/9……3/2/Aで、Aがいちばん低い。

(a)ディーラーを決める カードを引いて、高いランクのカードを引いた者がディーラーとなる。

(b)カードを配る ディーラーはカードをシャフルしてから、相手のほうから交互に1枚ずつ配り、両方が10枚ずつになるようにする。残ったカードをテーブルの中央に置いて「山札」とし、その上のカードを1枚表向きにしてわきに置く。これを「捨札」とよぶ。

(c)プレー このゲームの目的は、3枚か4枚の同じ数のセット(グループ)か、3枚以上の同じスーツで数の続いたセット(シークェンス)をつくり、早く手札をなくすことである。シークェンスをつくる場合AとKはつながらないので注意する。プレーは相手から始める。相手は捨札を見て、必要ならとって手札に加え、手札のなかから要らないカードを表向きにしてテーブルの上に置く。もし、捨札が要らなければ、山札のいちばん上のカードをとって手札に加え、要らないカードを表向きにして置く。相手がカードを捨てたら、次はディーラーの番である。ディーラーも同じことをする。このように1枚とっては、1枚捨ててゆき、グループかシークェンスをつくる。

(d)グループあるいはシークェンスができたとき 自分の番でカードを1枚とったときに、グループあるいはシークェンスができたときは、そのセットを表向きにしてテーブルに出すことができる。このようにセットを出すことを「メルド」という。メルドしたら、手札のなかから、かならず要らないカードを1枚捨てること。

(e)付札(つけふだ) 自分が一つ以上のセットをメルドしている場合にできる。これは自分の手札のカードを自分か相手のグループやシークェンスにつけて手札を減らすことである。

(f)ゲームの終わり セットをつくって出したり(メルド)、付札をしたりして、どちらかの手札がなくなったらゲームは終わりである。終わる場合、最後の1枚は捨ててもよいし、付札をしてもよい。ゲームの途中で、セットをメルドしたり、付札をしないで、最後に一度にメルドしたり、付札をして手札をなくして上がることができる。このようにして上がると得点が2倍になる。g.得点の計算 どちらかが上がったら、相手は残った手札の点を数え、その点を上がった人の得点とする。点の数え方は、絵札10点、A1点、そのほかのカードは、その数と同じ点。ゲームをしていき、どちらかが100点になったら、1回戦を終わる。

[高木重朗]

ストップ系ゲーム

これは、ある特定のカード(1枚か数枚)を持ったとき、プレーを行うことができるか、あるいはプレーをストップできるようなゲームの総称で、家庭的なゲームが多く、簡単に覚えられる。これの代表的なものはミシガン、ファンタン、ばば抜き、ジャックたたき、ニックネーム、エイト、コメット、ダウト、ページ・ワン、ゴー・フィッシュ、神経衰弱、ピッグなどである。このうちエイトとゴー・フィッシュの遊び方を記す。

[高木重朗]

エイト

eight 使用するカードはジョーカーを除く52枚。人数2~4人。

(a)ディーラーを決める これはカードを引いて決めても、じゃんけんなどで決めてもよい。

(b)カードを配る ディーラーはカードをシャフルしてから、自分の左隣から時計の針と同じ方向に順に1枚ずつ配る。配る枚数は人数によって違う。2人なら7枚ずつ、3人か4人なら5枚ずつ。残ったカードを裏向きのまま山札としてテーブルの上に置く。

(c)プレー ディーラーは山札の上の1枚を表向きにしてテーブルの上に置く。これが台札である。ゲームはディーラーの左隣の人から始める。左隣の人は、手札のなかから台札と同じスーツか同じ数のカードを出して、台札の上に表向きに置く。もし、同じスーツも同じ数もないときは、山札の上から1枚ずつとって手札に加えていく。そして同じスーツか同じ数のカードがきたら、表向きにして台札の上に置く。このように順にプレーをしていく。

(d)8のカードの使い方 このゲームのおもしろさは8のカードの使い方にある。8のカードはどのカードの上にでものせられる。そして8をのせたとき、次に続けるスーツを指定できる。たとえばハートの8を出してクラブと指定すれば、次の人はクラブのスーツのカードしか出せない。このように8のカードは便利だが、長く持っていて、ゲームが終わってしまうとマイナスの点になる。

(e)ゲームの終わり 以上のようにプレーをしてゆき、だれかの手札がなくなったら、このゲームは終わりである。手札がなくならないうちに山札がなくなった場合は、そのままプレーを続ける。この場合、続けるカードがない人はパスといって次の人に番を譲る。f.得点の計算 手札がなくなった人は0点で、点の多い人ほど順位が下になる。8は50点、絵札は10点、Aは1点、2~10はその数のとおりの点。

[高木重朗]

ゴー・フィッシュ

go fish 使用するカードはジョーカーを除く52枚。人数2人~6人。

(a)ディーラーを決める これは、エイトと同じように決める。

(b)カードを配る ディーラーはカードをシャフルしてから、自分の左隣から時計回りに1枚ずつ配り、全部のカードを配ってしまう。おのおのの持っているカードの枚数は違ってもかまわない。

(c)プレー このゲームの目的は4枚の同じ数のカードの組をできるだけ多くつくることである。おのおのの手札を見て、同じ数のカードが4枚そろっていたら、自分の前に表向きにして置く。プレーはディーラーの左隣の人から始め、その人は、自分のそろえたい数のカードを持っていそうな人に向かって、その数のカードをくれるように頼む。この場合、自分の持っていない数を頼んではいけない。頼まれたほうは、持っていたら持っているだけ何枚でも渡さなければならない。頼んだカードがあったら、さらに続けて、また欲しいカードを頼める。カードがあればいくらでも続けて頼める。これはほかの人に向かっても頼める。カードを頼んだとき、なければ、今度は頼まれた人が、欲しいカードを頼むことができる。このようにプレーをしていく。

(d)ゲームの終わり 全部の人の手札がなくなったら、ゲームは終わりである。4枚1組を1点とし、点数の多いほうから順位を決める。

[高木重朗]

ポーカー系ゲーム
ポーカー

poker コントラクト・ブリッジと並んで欧米で盛んに行われているゲームで、ギャンブル的色彩が強く、スリルがあり、しかも熟練がものをいうおもしろいゲームである。ポーカーの起源にはいろいろな説があるが、その原型は古代ペルシアの「アス・ナス」というカードゲームとされている。これは、20枚のカードを4人に5枚ずつ配り、この配られたカードの強さによって賭(か)けを始めたと推定されている。このゲームがいろいろ変化してきて、現在のような型になったのは、19世紀初頭のアメリカ合衆国のニュー・オーリンズといわれている。ポーカーはその手役の強さに賭けるもので、作戦によっては弱い手役の者でも勝つことができる点におもしろさがある。

 ポーカーには多くのルールがあるが、大きく分けて二つになる。それは、ドロー・ポーカーといって配られたカードを取り替えられるものと、スタッド・ポーカーといって配られたカードが取り替えられないものとである。現在流行しているのはダウン・ザ・リバーとよばれる7枚のカードを配って行うスタッド・ポーカーである。ここでは、基本的なドロー・ポーカーのうち、一般的なジャック・ポットという方法を述べる。

 使用するカードはジョーカーを除く52枚。人数は2人~8人。ポーカーの手役を高いものから順に記すと次のようになる。

〔1〕ストレート・フラッシュ これは同じスーツで数が連続しているもの。このうちでAKQJ10とそろったのはローヤル・ストレート・フラッシュといって最高の手役である。

〔2〕フォー・オブ・ア・カインド(フォア・カード) これは同じ数のカードが4枚そろったもの。たとえばA4枚とか10が4枚。

〔3〕フル・ハウス これは同じ数のカード3枚とこれと違った同じ数のカード2枚になっているもの。

〔4〕フラッシュ 5枚とも同じスーツのもの。

〔5〕ストレート スーツが違っても数が連続しているもの。

〔6〕スリー・オブ・ア・カインド(スリー・カード) 同じ数のカードが3枚あるもの。

〔7〕ツー・ペア 同じ数のカードが2枚ずつ2組できたもの。

〔8〕ワン・ペア 同じ数のカードが2枚そろったもの。

〔9〕ノー・ペア 以上の役がなにもないもの。

 ゲームの方法は、次のとおり。

a参加料(アンテ)をチップや金で払う これはカードを配る前に行う。

bディーラーを決める だれかがカードを左隣の者から時計の針の方向に配ってゆき、初めにJのカードを配られた者がディーラーとなる。これ以後は、1勝負ごとにディーラーを左隣に移してゆく。

cカードを配る ディーラーは自分の左隣から1枚ずつカードを裏向きに配り、各人が5枚ずつになるようにする。残りは裏向きのまま山札としてディーラーの前に置く。そしてディーラーの左隣の者からベット(賭け)を行う。このとき自分の手にJのワン・ペア以上の手役がこなければベットができないからパスをする。あるいはベットができてもする意志がなければパスしてもよい。最初にベットをすることをオープンという。参加者全員がパスをし、オープンしたくなければこの勝負は流れ、ディーラーは左隣に移る。

d第1回のせり だれかがオープンして賭けたら、その左隣の人から参加するか、またはドロップといって棄権をする。ドロップの場合は賭けたチップや金は返らない。参加するにはコールといって前の者が賭けた額と同額を賭けるか、レイズといって前の者の賭けた額より多く賭ける。オープンした人の右隣までの何人かがコールだけしたら第1回のせりは終わりである。もし、だれかがレイズをしたら、そのレイズをした人の右隣までレイズに応じるかどうかを確かめる。レイズに対して応じたくなければドロップをする。

eカードの交換 第1回のせりが終了したら、ディーラーの左隣からカードの交換をする。もちろんドロップをした人は交換できない。カードの交換は、自分の持っているカードのうちから不要なものを自分の前に伏せて置き、ディーラーから置いた枚数だけを山札から配ってもらう。この交換は各人1回しかできない。

f第2回のせり カードの交換が終わったら第1回のせりと同じようにせりを行う。そしてレイズする者がなくなったら、残った者が持札を公開して、手役のいちばん上の者がその場に賭けてある全額をとる。一人を除いて全員がドロップしたら、残った者の勝ちで、この場合は持札を公開する必要はない。

[高木重朗]

その他のゲーム
ブラックジャック

blackjack 欧米のカジノで一般に行われているカードゲーム。21twenty-oneともいい、バカラbaccaratと同系統のゲーム。日本の花札のおいちょかぶと類似している。日本においても愛好者が多い。ルールの基本は、自分のカードの合計を21に近づけるもので、その合計の多いほうが勝ちで、21を超えたら負け。カードの数は、2から10まではその数のまま、絵札は10、Aは11か1の好きな数をとる。使用するカードは、ジョーカーを除く52枚。人数は2人以上7人まで。ゲームの方法はいくつかあるが、一般的な方法は、カードをシャフルとカット(カードを分けて、上下を入れ換えること)し、ディーラーは2枚ずつ配る。ディーラーの最初の1枚は表向きに配る。各自、自分のカードを見る。21ならブラックジャックで勝ち、それ以下なら21になるまでカードをもらう。21を超えたら負け、ディーラーは合計が16以下ならカードを引き、17以上ならそのまま。それからカードをあけ、合計の多少で勝負をする。

[高木重朗]

その他

このほか、有名なゲームとしては、カジノ、バカラ、フェイロウ、クリベッジ、ピノクル、ペジーク、ピケー、スカートなどがあげられよう。カードゲームの標準的な解説書として、18世紀のイギリスの弁護士ホイルEdmond Hoyle(1671―1769)の著したものが知られ、単に『ホイル』とよばれて、後のカードゲームのルール、戦略などに大きな影響を及ぼしている。

[高木重朗]

『John ScarneEncyclopedia of Games(1973, Herper & Low, New York)』『佐山哲著『トランプ――ゲーム・占い・手品』(1981・成美堂出版)』『小里洋著『トランプの遊び方――家庭向きゲーム・1人遊び・ラミー・ポーカー・ブリッジ』(1975・虹有社)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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