デジタル大辞泉 「ビッグバン」の意味・読み・例文・類語
ビッグ‐バン(big bang)
2 1986年に実施された英国証券市場制度の大改革。手数料自由化、取引所会員権の開放などに代表される金融・証券自由化政策を骨子とする。転じて抜本的改革等をいう。
3 平成8年(1996)に橋本龍太郎首相が具体化を指示した、銀行・証券・保険の相互参入の促進など、護送船団方式によって守られてきた金融システムに対する改革案のこと。2になぞらえた呼称。金融ビッグバン。日本版ビッグバン。
翻訳|big bang
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
宇宙のはじめの大爆発をいう。宇宙が,今から約150億年前に起こった大爆発によって生まれたとする宇宙起源説で,火の玉宇宙論とも呼ばれる。現在広く受け入れられている標準的膨張宇宙理論(標準宇宙論)は,ビッグバンを起源とするものである。そのため,しばしばビッグバン宇宙論は標準宇宙論と同一の意味でも使われる。
現在,宇宙が膨張していることは,遠方の銀河ほど大きな速度でわれわれの銀河系から遠ざかっていることからわかっている。その速度は100万光年離れた銀河に対して約15km/sである。この事実から,宇宙は過去にさかのぼればさかのぼるほど,高密度であり,約150~200億年前には密度が無限に高かったと考えられる。ビッグバン宇宙論は,宇宙の初期がこのように高密度であっただけでなく,同時に高温でもあったとする理論である。十分な高温高密度状態では,物質は原子核を構成する陽子や中性子に,ばらばらに分解した状態にある。宇宙の初期がこの状態にあると,それが急激に膨張し冷却する過程で,熱核反応によって核融合が起こり,さまざまな元素が合成される。実際の宇宙では,膨張速度と物質密度との関係から,宇宙の誕生後数百秒で熱核反応が終わり,ほとんどが陽子として残り,ヘリウムなどの軽元素がいくらか合成されたと考えられる。その後,宇宙はおもに陽子と電子からなる熱いプラズマ状態にあった。プラズマ状態では,光が物質と十分速く散乱・吸収・放出反応を繰り返しているため,この時期の宇宙は非常に不透明であった。約10万年後,宇宙の温度と密度は十分下がり,光はもはや物質をプラズマ状態に保つほど十分反応せず,陽子と電子は結合して中性の水素原子を形成し,宇宙は光に対して透明になった。これを宇宙におけるプラズマの再結合という。中性化した物質は,重力的に不安定となり,小さな密度のゆらぎが大きく成長できるようになる。こうして銀河や第1世代の星ができ,現在の宇宙の姿へと進化したと考えられている。
ビッグバンを宇宙の起源として最初に提唱したのは,ロシア生れのアメリカ人物理学者G.ガモフであり,1946年のことである。しかし,そのころはまだ,ビッグバンの直接の証拠は観測されておらず,少数の人々を除いて,ガモフの理論は,あまり着目されなかった。しかし,64年,アメリカの物理学者ペンジャスArno A.PenziasとウィルソンRobert W.Wilsonによって,3Kという非常に低温の光(宇宙背景放射)が宇宙を満たしていることが発見され,同時に,ピーブルスP.J.E.PeeblesやディッケR.H.Dickeらの理論物理学者によって,これが熱い初期宇宙の痕跡であることが明らかにされ,さらに,理論的に予見される宇宙初期の元素合成量が,観測事実とよく一致することが確認されてビッグバン理論は確立した。
最近,物質のより基本的な構造が明らかにされるに従って,宇宙論においても元素合成の時代よりさらにさかのぼった高温高密度の時代のようすが研究されており,物質そのものの起源やビッグバンそのものの起源といったより哲学的な問題が,物理の問題として解明されるのも夢ではなくなってきている。
執筆者:佐々木 節
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
… こうして50年代を境に,その後の観測や研究は,天文学ばかりでなく人間の宇宙観,自然観をそれ以前のものとまったく違うものにした。宇宙はおよそ200億年以前にビッグバンで爆発的に開闢したものであり,それ以来続いている膨張の中で元素も恒星も銀河も生まれ進化してきたのであり,われわれ自身もまさに宇宙進化の産物であり宇宙の一部であるという進化宇宙論の考えもそんな一例である。
【宇宙の現状】
[宇宙の階層構造]
観測から知られる宇宙の特徴はいろいろあるが,その一つの側面は宇宙の階層的構造である。…
…さらにスペースシャトルを利用してスペース望遠鏡やスペース天文台を運営する時代になりつつある。【藪内 清】
【最近の天文学】
[宇宙論]
膨張宇宙は,遠い銀河ほど遠ざかる速度が比例的に増大するE.ハッブルの関係式が一様等方宇宙に対するアインシュタイン方程式のフリードマン解と一致することにより,観測的にも理論的にも多くの支持を得ていたが,1965年アメリカのペンジアスA.PenziasとウィルソンR.Wilsonとが3Kの宇宙背景放射を発見して,ビッグバンと称する超高温超高密度の宇宙初期の大爆発モデルが確立した感がある。ビッグバンの初期は素粒子の宇宙で,ほぼ等量ある物質,反物質は光速で宇宙が膨張するにつれて重い粒子から対消滅し,余剰が物質として残るが放射優勢の宇宙となる。…
※「ビッグバン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
4/12 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
4/12 デジタル大辞泉を更新
4/12 デジタル大辞泉プラスを更新
3/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
2/13 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新