イギリスの天文学者、SF作家。ウェスト・ヨークシャーで生まれ、1933年にケンブリッジのエマニュエル・カレッジに入り、数学を学んだ。1939年、ケンブリッジのセントジョンズ・カレッジのフェローに選ばれる。第二次世界大戦では海軍でレーダー開発に従事した。1945年ケンブリッジ大学の数学の講師となる。1956年ヘール天文台で働くためにアメリカに渡る。1966年イギリスに戻り、ケンブリッジ大学天文学教授、同大学天文学研究所所長などを務めた。1957年ロイヤル・ソサイエティー(王立協会)会員になり、1972年にはナイトに叙される。
ホイルは、現在主流であるビッグ・バン宇宙論を批判し、定常宇宙論を1948年に主張した一人である。そして生涯を通じてその主張を変えることがなかった。ガモフが主張していた火の玉宇宙論を、ホイルが揶揄(やゆ)して「ビッグ・バン(大爆発)」とよんだことが、結果的にはビッグ・バン宇宙論を広めることにつながったことは有名。また、1957年のファウラー、マーガレット・バービッジMargaret Burbidge(1919―2020)、ジェフリー・バービッジGeoffrey Ronald Burbidge(1925―2010)との共著の論文で恒星内の元素合成に関する重要な貢献をしている。それ以外に生命の起源として地球外から生命の元がやってくる「パンスペルミアpanspermia(胚種)説」や独特の重力理論も主張した。また『暗黒星雲』などのSFや科学の解説書も多く書いている。
[編集部 2023年6月19日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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