レニエ(その他表記)Mathurin Régnier

デジタル大辞泉 「レニエ」の意味・読み・例文・類語

レニエ(Henri de Régnier)

[1864~1936]フランス詩人小説家高踏派から象徴派に進み、典雅詩風確立。のち、新古典主義へ移行した。詩集夢の如く」「水の都」、小説生きている過去」など。

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精選版 日本国語大辞典 「レニエ」の意味・読み・例文・類語

レニエ

  1. [ 一 ] ( Henri de Régnier アンリ=ド━ ) フランスの詩人、小説家。優雅な感覚の象徴詩を書いた。代表作「水の都」「生きている過去」など。(一八六四‐一九三六
  2. [ 二 ] ( Mathurin Régnier マチュラン━ ) フランスの詩人。自由な詩想を尊び、宮廷生活の風刺詩などを書いた。作品に「風刺詩集」。(一五七三‐一六一三

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改訂新版 世界大百科事典 「レニエ」の意味・わかりやすい解説

レニエ
Mathurin Régnier
生没年:1573-1613

17世紀のフランスの風刺詩人。デポルトの甥にあたる。風刺詩第1~第9までの《初期作品集》(1608),翌年作品2編を加えて《レニエ氏風刺詩集》を刊行,ほかに5編の風刺詩がある。ラテン詩人やイタリアのL.アリオスト,F.ベルニの風刺詩に学び,俗な世相の描写から人間の心の真実の描写へとつながる,すぐれた観察眼,批判精神を示した。思想的には後期人文主義者,とくにモンテーニュを受けつぎ,人間の弱さ,はかなさをみつめ,文学的には伯父デボルトらの穏健かつ上品なフランス語観を受けつぐとともに,ロンサール的な発想の飛躍を尊重する考え方を支持した。それによって,きびしいフランス語の純正化と,発想の平易化を要求するF.deマレルブとの対立を生んだ。レニエは人文主義,古代作家尊重派として,マレルブを攻撃したのである。その意味でレニエと自由を要求したバロック詩人たちとを同列に置くことはできない。
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レニエ
Henri de Régnier
生没年:1864-1936

フランスの詩人,小説家。貴族の末裔の彼は外交官志望を断念したのちに,詩作に転じた。高踏派の頭目ルコント・ド・リール師事し,エレディヤを岳父として造形美術的な詩法を学び,マラルメの火曜会の重要メンバーとなって音楽的な詩法を会得した。したがって,彼の詩風は高踏派と象徴主義派の混交である。そして終局は一種の新古典主義へと移行している。主として《メルキュール・ド・フランス》誌を活動の舞台とした彼は,多くの詩や小説を書いた。詩作は《明くる日》(1885)に始まって,《いにしえロマネスク風詩編》(1890),《夢の中でのように》(1892),《水の都》(1902),《時の鏡》(1910)などがある。神秘と幻想と擬古趣味を特徴とする彼の小説は,第1次大戦前に11作,大戦後に7作ある。《深夜結婚》(1903),《生きている過去》(1905),《恋のおそれ》(1907)などがその主要作品といえよう。1911年にアカデミー・フランセーズ会員に選ばれた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レニエ」の意味・わかりやすい解説

レニエ
Régnier, Henri (François Joseph) de

[生]1864.12.28. カルバドスオンフルール
[没]1936.5.23. パリ
フランスの詩人,小説家。初めマラルメに師事,のち高踏派の影響を受け (1896年エレディアの娘と結婚) ,柔軟な詩法を駆使し,優美で諧調に満ちた抒情詩を完成させた。詩集『古風でロマネスクな詩集』 Poèmes anciens et romanesques (90) ,『田園の聖なる遊び』 Les Jeux rustiques et divins (97) ,『粘土のメダル』 Médailles d'argile (1900) ,『水の都』 La Cité des eaux (02) ,『翼あるサンダル』 La Sandale ailée (06) ,『焔の跡』 Vestigia flammae (21) ,小説『真夜中の結婚』 Le Mariage de minuit (03) ,『おとなしい青年の休暇』 Les Vacances d'un jeune homme sage (03) 。彼の詩は上田敏,永井荷風の翻訳を通じて,日本でも早くから親しまれた。アカデミー・フランセーズ会員 (11) 。

レニエ
Régnier, Mathurin

[生]1573.12.21. シャルトル
[没]1613.10.22. ルーアン
フランスの風刺詩人。 P.デポルトの甥。その生涯はさまざまな伝説的逸話に包まれ判然としない部分が多い。ビヨンとベルレーヌの中間に位置するというべき自由闊達,不羈奔放の放蕩詩人。マレルブの詩論に反対し,詩は規則に拘束されることなしに各自の自由な発想に従うべきであると主張。プレイヤッドの詩人たちが復活させえなかった古代の風刺詩の形式を生かして,ボアローの先駆となる風刺詩 16編を残し,鋭い観察眼で偽善者,衒学者などの姿をとらえた。ボアローは「モリエール以前では人間の風習や性格に最も精通したフランス詩人」と評した。ミュッセをはじめとするロマン派の詩人たちに大きな影響を与えた。『作品集』 Œuvres (1608,13増補) がある。

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百科事典マイペディア 「レニエ」の意味・わかりやすい解説

レニエ

フランスの詩人,小説家。ルコント・ド・リールに師事し,高踏派の詩人として出発したが,マラルメの影響下に象徴派(象徴主義)に移る。さらに《夢の如く》などののち新古典主義に移行し,代表作《粘土のメダル》(1900年),《水の都》(1902年)などの詩集を残す。小説では《深夜の結婚》など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「レニエ」の意味・わかりやすい解説

レニエ(Mathurin Régnier)
れにえ
Mathurin Régnier
(1573―1613)

フランスの詩人。シャルトルに生まれる。宮廷詩人フィリップ・デポルトの甥(おい)。9歳で宗門に入り、ジョアユーズ枢機卿(すうききょう)Cardinal de Joyeuseに従って数次ローマに旅行、1605年パリに定住、放縦な生活を送る。08年、10編の風刺詩からなる『第一作品集』Premières Œuvresを発表、好評を博したが、13年ルーアンで夭折(ようせつ)する。作品としては公的な詩や宗教詩もあるが、その本領は風刺詩にあり、奔放な語彙(ごい)を駆って当代の悪弊を告発、マレルブに反対し、霊感の権利を強く主張した。

[渡邊明正]


レニエ(Henri de Régnier)
れにえ
Henri de Régnier
(1864―1936)

フランスの詩人、小説家。オンフルールの旧家の出。高踏派の詩人エレディアの影響を受け、典雅な象徴派の詩人となる。『古風でロマネスクな詩』Poèmes anciens et romanesques(1890)、『水の都』(1902)、『時の鏡』(1910)などの名詩集を残す。小説にも力量を示し、『二重の恋人』La Double Maîtresse(1900)、『生きている過去』(1905)のほか、多数の作品がある。アカデミー会員。永井荷風(かふう)が愛した詩人として知られている。

[窪田般彌]

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