ロートエキス(読み)ろーとえきす(その他表記)scopolia extract

デジタル大辞泉 「ロートエキス」の意味・読み・例文・類語

ロート‐エキス

ロート根に希アルコールを加え浸出させて製したエキス褐色で味は苦く、ヒヨスチアミン・アトロピンなどを含む。消化液分泌抑制・鎮痛鎮痙ちんけい薬として用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロートエキス」の意味・わかりやすい解説

ロートエキス
ろーとえきす
scopolia extract

ロート根(こん)の粗末をとり35%(容量百分率)のエタノールまたは水を浸出剤として製した軟稠(なんちゅう)エキスで、総アルカロイドを0.95~1.15%含む。褐色ないし暗褐色で特異臭があり、味は苦い。鎮けい剤、消化液分泌抑制の目的で、通常、ロートエキス散として内用されるほか、痔疾(じしつ)の治療に坐薬(ざやく)や軟膏(なんこう)に配合されて用いられる。ロートエキス・タンニン坐薬、複方ロートエキス・タンニン坐薬、同軟膏などがある。

[幸保文治]

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百科事典マイペディア 「ロートエキス」の意味・わかりやすい解説

ロートエキス

ナス科植物ハシリドコロの根(ロート根)から製した特異臭,苦味のある褐色の軟稠(なんちゅう)エキス。l‐ヒヨスシアミン,アトロピンスコポラミンなどのアルカロイドを含む。鎮痛・鎮痙(ちんけい)薬として胃痛胃酸過多などに散薬の形で適用。→劇薬
→関連項目胃腸薬制酸薬ハシリドコロ

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化学辞典 第2版 「ロートエキス」の解説

ロートエキス
ロートエキス
scopolia extract

ナス科ハシリドコロScopolia japonica根茎および根の乾燥物をロート根といい,その粗粉末を35% エタノールまたは水によって浸出した褐色の粘ちゅうなエキスをいう.特異な臭気があり,味は苦い.ヒオスシアミン,アトロピンスコポラミンなどのアルカロイドを含む.胃酸過多,胃痛,胃けいれん胃潰瘍などに消化液分泌抑制,鎮けい薬として1日0.03~0.06 g を内服する.極量1回50 mg,1日0.15 g.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロートエキス」の意味・わかりやすい解説

ロートエキス
scopolia extract

日本特産のナス科植物ハシリドコロ (走野老)の根の抽出物。生薬。外国では,ベラドンナ原料とする。原植物は長野群馬,埼玉,福島,岐阜などの諸県で栽培されている。エキスの有効主成分トロパンアルカロイドで,そのうちのおもな有効成分は1-ヒオスシアミンで,そのほかアトロピン,スコポラミンがある。鎮痛剤,鎮静剤などとされる。硫酸アトロピン,ロートエキス,ロートチンキのほかにロート坐薬,ロート軟膏など目的により種々の製剤がある。

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デジタル大辞泉プラス 「ロートエキス」の解説

ロートエキス

薬に含まれる成分のひとつ。鎮痙作用があり、胃薬、乗物酔い防止薬などに含有。

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世界大百科事典(旧版)内のロートエキスの言及

【ハシリドコロ】より

…根茎は生薬のロート根(こん)となり,ベラドンナの日本産代用品とする。有毒成分は複数のアルカロイドで,ヒヨスチアミンhyoscyamine,スコポラミンscopolamineなどを含み,胃痛,胃痙攣(いけいれん),十二指腸潰瘍などに用いられるロートエキスやアトロピンatropine(ヒヨスチアミンのラセミ体)の製造原料とする。 ハシリドコロ属はヨーロッパ,ヒマラヤ,東アジアに7種が知られ,すべて有毒植物である。…

※「ロートエキス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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