ワピチ(その他表記)wapiti

翻訳|wapiti

デジタル大辞泉 「ワピチ」の意味・読み・例文・類語

ワピチ(wapiti)

シカ科の哺乳類。大形で肩高約1.4メートルに達し、角も大きく、5本以上の枝角がある。夏毛黄褐色冬毛灰褐色になるが、顔・首と四肢暗褐色北アメリカ北部とアジア北東部に分布。おおじか。アメリカあかしか。エルク。ウォピチ。
[類語]鹿日本鹿蝦夷鹿えぞしか本州鹿九州鹿屋久鹿赤鹿大鹿尾白鹿麝香鹿じゃこうじか花鹿箆鹿へらじか豆鹿きょん四不像のろウエムルカリブーサンバートナカイ

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精選版 日本国語大辞典 「ワピチ」の意味・読み・例文・類語

ワピチ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] wapiti ) 「へらじか(篦鹿)」の英語名。

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改訂新版 世界大百科事典 「ワピチ」の意味・わかりやすい解説

ワピチ
wapiti
American elk
Cervus canadensis

アカシカにごく近縁な大型のシカ。偶蹄目シカ科の哺乳類。キジリジカともいう。北アメリカから北東アジアに分布し,ヨーロッパから西アジアに分布するアカシカと同一種とされることもある。体長200~275cm,尾長8~20cm,肩高1.6m,体重250~450kg。体はアカシカより大型だが尾はやや短い。角は雄にだけあり,非常に大きく,5本以上の枝があり,長さは大きなものでは165cmにもなる。ふつう夏毛では背面と四肢は黄褐色あごと腹面は黒褐色で,冬毛は淡い灰褐色となる。しりには大きな淡色斑がある。おもに高地の深い森林にすみ,食物を求めて季節的な移動を行う。ふだんは雌と子は群れでいて,大きな群れをなすこともあるが,雄の成獣は単独か小群でいる。夏の主食は高地に生える木の葉だが,冬には谷間の森林まで下り,枯れ草やヤナギ類の芽などを食べる。交尾期は秋で,雄は頻繁に泥浴びをしてよくほえ,雄どうしは闘ってなわばりを形成し,そこへ雌をさそう。妊娠期間249~262日,5~6月に雌は群れを離れ,茂みで1産1子,まれに3子を生む。寿命は飼育下では22~25年の記録があるが,野生のものは平均10年くらいと考えられている。

 なお,ワピチは北アメリカのインディアンによる呼称で,合衆国ではエルクelkとも呼ぶ。しかし,エルクはヨーロッパではヘラジカを指し,ヘラジカの別名のオオシカがワピチの和名として誤って使われることもある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワピチ」の意味・わかりやすい解説

ワピチ
わぴち
wapiti
American elk
[学] Cervus canadensis

哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目シカ科の動物。大形のシカでオオジカともよばれる。北アメリカ北西部、カナダ、中国東北部、甘粛(かんしゅく)省、天山(てんざん)山脈、モンゴルと分布は広い。体長180~240センチメートル、肩高130~140センチメートル、体重188~500キログラムに達する。夏毛は黄褐色で、顔、四肢、頸部(けいぶ)は暗褐色。尾の周りに白っぽい大きな斑(はん)がある。冬毛は長い上毛と縮れた下毛からなり、灰褐色で、顔、四肢、頸部は暗褐色となる。発情期は秋で、この時期にはハレム形式となるが、冬季は雌雄混合の大群となり、春季には群れは分かれて、雄群と、雌と子の数十頭の群れとなる。早朝、夕刻に採食し、夏は涼しい山地に、冬は低地に移動する。時速46キロメートルほどのスピードをもち、水泳も巧みである。天敵はピューマ、オオカミ、ハイイログマ、コヨーテ、オオヤマネコなどである。5~6月に1~2子を産む。妊娠期間249~262日。寿命15~20年。

[増井光子]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワピチ」の意味・わかりやすい解説

ワピチ
Cervus canadensis; wapiti

偶蹄目シカ科。オオジカ,あるいはアメリカではエルクとも呼ばれる。大型のシカの1種で,体長2~2.5m,体高 1.5m内外。体重は 300kg内外であるが,500kgに達するものもある。体は灰色がかった褐色で,尻の部分は黄色を帯びた白色。 1.5mをこす大きな7尖の角をもつ。群れをつくり,早朝,夕刻に活動し,草,木の葉などを主食とする。カナダ南部から北アメリカにかけて分布し,森林地帯にすむ。

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