中座(読み)チュウザ

デジタル大辞泉 「中座」の意味・読み・例文・類語

ちゅう‐ざ【中座/中×坐】

[名](スル)会合や談話などの途中で席を外すこと。「電話のために―する」
[類語]退出退場退席下がる退室退座離席座を外す席を外す席を蹴る

なかざ【中座】[劇場]

大阪市中央区道頓堀にあった劇場。承応年間(1652~1655)の創立という。「中の芝居」とよばれ、江戸時代大坂歌舞伎興行の中心であった。平成11年(1999)閉鎖。

なか‐ざ【中座】

講談師の階級で、前座と真打しんうち(後座)との中間に位するもの。中座読み。

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精選版 日本国語大辞典 「中座」の意味・読み・例文・類語

なか‐ざ【中座】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 中央の座席。列座している中央。
      1. [初出の実例]「侍に座を定られけるには、〈略〉中座(ナカザ)の一臈は梶原と定まりける」(出典:源平盛衰記(14C前)二一)
    2. 中途で座を立つこと。ちゅうざ。
    3. 猿楽一座の中で上座の六位の座に次ぐ地位の座衆。
      1. [初出の実例]「一、得分事。〈略〉又、中ざの一臈は、二分。中座の端居は、三ひとつ取らせ給ふべし」(出典:申楽談儀(1430)付載)
    4. 朝座(あさざ)と夕座の間の中の休息。午前と午後の勤行の中間の休息。
      1. [初出の実例]「一中座之間、他坊へ休息可為停止事」(出典:高野山文書‐寛永一五年(1638)七月一〇日・一二臈庭儀経営注文)
    5. 江戸時代、新吉原張見世(はりみせ)で正面中央の席。また、そこにすわる上位の遊女をいう。
      1. [初出の実例]「顔と心と風ぞくと、三びゃうし揃ふたるが中座ともなり、立ものともよばる」(出典:洒落本・契情買虎之巻(1778)一)
    6. 落語家の、前座と真打ちの中間に位するもの。
      1. [初出の実例]「叉手一座の組合は、下坐、前坐、中坐、輔坐及び真坐(真うちと云ふもの)より成り立てり」(出典:朝野新聞‐明治一九年(1886)一〇月一四日)
  2. [ 2 ] 大阪市中央区道頓堀にあった劇場。慶安五年(一六五二)創始の中の芝居がその始めといわれる。角(かど)の芝居(角座)とならび、江戸時代、大坂歌舞伎の中心であった。明治五年(一八七二)改称。平成一一年(一九九九閉館

ちゅう‐ざ【中座・中坐】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( ━する ) 談話、集会用事などの中途で席をはずすこと。
    1. [初出の実例]「松だけのおすいものの出た時、中座(チウザ)いたしやした」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)七)
  3. 座のうち。座中。〔孟浩然‐登江中孤嶼詩〕
  4. 会席の途中。会の半ば。
    1. [初出の実例]「山階左府、中座におりて向御前揖して」(出典:井蛙抄(1362)六)
    2. [その他の文献]〔韓非子‐外儲説右上〕
  5. ( 中座 ) 江戸時代、京都町役人の一つ。雑色の指揮の下に、鉄棒引、囚人縄取などを務めた者。〔京都御役所向大概覚書(1714‐18頃)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中座」の意味・わかりやすい解説

中座
なかざ

大阪市中央区道頓堀(どうとんぼり)にあった劇場。1652年(承応1)京都から下った塩屋九郎右衛門(くろうえもん)の芝居が公許になったのに始まる。所在地が大西の芝居(1887年=明治20=浪花(なにわ)座と改称、2002年=平成14=1月閉館)と角(かど)の芝居(角座)の中間にあったので、中の芝居とよばれ、江戸時代大坂の伝統ある大劇場として栄えた。1920年(大正9)松竹合名社の経営となり改築、以後初世中村鴈治郎(がんじろう)、2世中村梅玉(ばいぎょく)、初世実川延若(じつかわえんじゃく)らが活躍した。1945年(昭和20)戦災により焼失したが、47年再築し、市川寿海(じゅかい)、2世中村鴈治郎、13世片岡仁左衛門(にざえもん)らによる歌舞伎(かぶき)や、松竹新喜劇などの興行が続けられ、大阪でもっとも伝統と古格を保つ歌舞伎劇場として存在意義をもっていた。1999年(平成11)10月経営不振などの理由により閉館した。

[菊池 明]

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改訂新版 世界大百科事典 「中座」の意味・わかりやすい解説

中座 (なかざ)

大阪市中央区道頓堀1丁目(旧,西櫓町)にあった劇場。1652年(承応1)の道頓堀芝居名代御定のおりの塩屋九郎右衛門芝居に始まる。大西芝居と角の芝居にはさまれて大芝居三座の真ん中にあったので,中の芝居と呼ばれた。元禄期(1688-1704)から片岡仁左衛門,岩井半四郎,竹島幸左衛門などが座本として活躍。何度か焼失の災にあいながら,大西芝居の衰退の中にも一貫して角座とともに大坂の大芝居劇場として栄えた。1876年焼失,同年11月に新築落成。84年5月に舞台用にアーク灯を点じたことがある。同年12月に鴈治郎一座開演準備中に焼失,翌年新築落成し電灯を舞台照明に使用しはじめる。1920年松竹合名社の手に移り改築。宿敵の11世片岡仁左衛門,初世中村鴈治郎合同が23年にここで実現した。34年改築後は浪花座に代わって鴈治郎の本拠地となる。45年の空襲で焼失。再建後は歌舞伎や松竹新喜劇の興行が行われる。古格を持つ大阪の劇場として健在を保っていたが,99年閉鎖。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中座」の意味・わかりやすい解説

中座
なかざ

大阪市中央区道頓堀にある劇場。慶安5 (1652) 年創設。当時大坂に3つあった大芝居小屋のまんなかにあったため中の芝居と呼ばれ,角の芝居 (現角座) とともに大坂の代表的な歌舞伎小屋として栄えた。何度か火災で焼失したがそのたびに再建され,1920年からは松竹の経営。1世中村鴈治郎の本拠地となった。 45年に戦災で焼失。再建後は関西歌舞伎の衰退に伴い,松竹新喜劇の本拠地となった。現在は歌舞伎,大衆演劇,新喜劇などを上演している。客席数 802。

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