三重県中部にあった市(久居市)。現在は津市の中央部を占める一地区。1970年(昭和45)市制施行。2006年(平成18)安濃(あのう)町などとともに津市に合併。近畿日本鉄道名古屋線、国道165号が通じる。地名は、1669年(寛文9)津藩主藤堂高虎(とうどうたかとら)の孫高通(たかみち)が5万石の支藩をたてる際、雲出川(くもずがわ)を見下ろす野辺野(のべの)台地に侍屋敷200、町屋500の城下町を築き、「永久に鎮居する」の意で久居と名づけたことに由来する。第二次世界大戦までは歩兵三三連隊の駐屯地で、現在は陸上自衛隊と航空自衛隊の駐屯地がある。
タオルと瓦(かわら)製造の地場産業が盛んであったが、合併前から津市の近郊住宅地化が著しく、一方、伊勢自動車道(いせじどうしゃどう)久居インターチェンジが設置されて、工場が進出した。地区の西端には大規模な風力発電施設がある。農業は米作とともにキャベツなどの野菜やナシの栽培が行われている。湯の瀬川に沿う七栗(ななくり)地区の榊原(さかきばら)温泉は『枕草子(まくらのそうし)』に「湯は七栗の湯……」とある七栗の湯といわれる。西部の布引(ぬのびき)山地一帯は室生赤目青山国定公園(むろうあかめあおやまこくていこうえん)の一部で、観光開発がみられる。
[伊藤達雄]
『『久居市史』2巻(1972・久居市)』
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