炊き込みご飯、または混ぜご飯の一種。かならずしも5種の材料でつくるのではなく、数多くの材料を用いてある意である。材料は、かんぴょう、シイタケ、ニンジン、タケノコ、フキ、蓮根(れんこん)、こんにゃく、昆布、ミツバ、キクラゲ、油揚げなどを用いる。動物性のものでは卵、エビ、アワビ、ハマグリや、スズキ、タイなどの白身魚を使う。材料をせん切り、乱切り、あられ切りなどにして調味料を加えて、米といっしょに炊き上げる。材料によっては下煮してから加えるものもある。江戸時代の『料理調法集』にも出ている。五目飯の名称は主として関東の用語で、関西ではかやく飯という。上にのせたり飯に混ぜる材料を関東では具といい、関西では加薬(かやく)という。五目ずしは酢飯を用いての五目飯である。中国料理では五珍十錦(きん)などの文字を用いる五目飯は、だいたい栄養価が高い。
[多田鉄之助]
肉,魚,野菜,その他さまざまな具に味をつけて飯に混ぜ,あるいは炊きこんだ飯。江戸時代には骨董飯と書いて〈ごもくめし〉と読ませた。より古く芳飯(ほうはん)(包飯,苞飯,法飯とも書く)と呼ばれたのも同じもので,《料理網目調味抄》(1730)に〈鳧(かも)飯,雉子(きじ)飯,鰝(えい)飯,めばる飯,初茸・松茸めし,皆鶏飯悖(けいはんもどき)にして芳飯也,……又葱(ねぎ),牛旁(ごぼう),しめじ,椎茸,芹,焼麩,何れも線に切(きり),味付(あじつけ),飯に覆たる皆包飯也〉とある。好みの材料をこまかく切って調味し,茶飯ふうに炊きあげた飯に混ぜるか,米に混ぜて炊きあげる。釜飯もこの一種であり,五目ずしはすし飯を使ったものである。
執筆者:松本 仲子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…飯の上に,5種のものを盛るのが通例だったらしいが,その5種を春夏秋冬と土用になぞらえて置く置き方や,それをどのように食べていくかという食べ方などが,いろいろな故実書に書かれている。ただし,それらの記述は決して統一的なものではなく,雑然たる印象を残すのみであるが,要するに芳飯とは五目飯だったようである。貞享・元禄(1684‐1704)ころの江戸では,のちにはたけのこ飯を名物とした目黒で,浪屋の芳飯というのが有名だった。…
…江戸時代,東海道目川(めがわ)宿(現,滋賀県栗太郡栗東町)の名物として知られた菜飯は,カブやダイコンの葉をゆでて刻み,塩味をつけて飯に混ぜたもので,奈良茶と呼ばれた茶飯とともに広く普及したものであった。たけのこ飯,クリ飯,マツタケ飯,五目飯,あるいは芳飯(ほうはん)なども,すべてこうした変り飯である。ほかに,各種の茶漬,握りずしや押しずしなどのすし,ウナギ丼その他の丼物(丼)といった日本独特の米飯料理も行われている。…
※「五目飯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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