強飯(読み)こわめし

  • ▽強▽飯
  • ▽強飯
  • こわい こはひ
  • こわいい
  • こわいい こはいひ
  • こわいい〔こはいひ〕
  • こわめし こは‥
  • こわめし〔こは〕
  • ごうはん ガウ‥
  • ごうはん〔ガウ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

おこわ,こわいいともいう。米をせいろうで蒸したのこと。赤飯や,豆を入れたものもあり,祝事,慶事の食事として,水に浸して炊く軟らかい飯に対して区別されてきた。

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デジタル大辞泉の解説

山盛りの飯を食うことを制する儀式。日光輪王寺(りんのうじ)で、正月・4月の祭礼、12月の餅練(もちね)りなどに、参詣大名などに山伏が強要した強飯式(現在は4月2日)が有名。日光責め
《「ひめいい(姫飯)」に対して》粳米(うるちまい)を(こしき)に入れて幾度も水をかけて蒸したもの。こわい。→こわめし(強飯)
糯米(もちごめ)を蒸した飯。ふつう、小豆ササゲを入れて赤飯にする。おこわ。→こわいい(強飯)

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百科事典マイペディアの解説

おこわ,強飯(ごうはん)とも。元来は米を甑(こしき)や蒸籠(せいろう)で蒸して作った飯のことで,釜(かま)で水を加えてたく飯を姫飯(ひめいい)というのに対し,堅かったのでこの名が付いた。現在はアズキを混ぜて赤く染めることが多く赤飯(せきはん)と呼んで,おもに祝事に用いるが,凶事の際などに白おこわといって黒豆を入れて作ることがある。
→関連項目もち(糯)

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典の解説

米を甑(こしき)に入れ、蒸した飯。ねばりがなく、固い。◇古代、米は蒸すほうが一般的で、蒸したものを「飯(いい)」、水を加えて炊いたものを「かゆ」といった。平安時代には蒸したものに「こわいい」という語が多く用いられるようになる。これに対し、かゆは水分の多いもの(現在のかゆにあたるもの)を「汁かゆ」、現在の普通の飯にあたるものを「かたかゆ」というようになり、後者を「弱飯(よわいい)」「姫飯(ひめいい)」ともいった。中世から近世にかけて炊いたものが一般化するにしたがって、「こわいい」は主にもち米を蒸したものをいうようになり、「こわめし」ともいうようになった。
もち米を蒸したもの。あずきを加えて作り、祝儀に用いるものをいうことが多い。また、何も入れない白いものや黒豆を加えたものを仏事に用いることもある。◇「おこわ」ともいう。あずきを加えたものは「赤飯」ともいう。

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世界大百科事典 第2版の解説

甑(こしき)やせいろうで蒸した飯。《万葉集》巻五の山上憶良の〈貧窮問答歌〉に〈甑には蜘蛛巣懸(か)きて飯(いい)炊(かし)く事も忘れて〉とあるように,もともと飯といえば蒸したものであった。今のように水を加えて煮た飯はやわらかいために姫飯(ひめいい),堅粥(かたがゆ)などと呼ばれた。姫飯が日常食として普及するにともなって〈こわいい〉,略して〈おこわ〉,さらに〈こわめし〉というようになり,多くもち米を用いて物日(ものび)に食するようになった。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 山盛りの飯を食べることを強要する作法。本来は食事を豊富に供し、客を歓待する作法であったが、若者たちが大食や食いだめを競うようになり、また修練とも考えられることから、山伏の行法(ぎょうほう)にも取り入れられた。日光輪王寺で四月二日(もと正月二日)に行なわれる強飯式が知られる。
※日光山志(1825)一「強飯 当山御吉例の強飯(ガウハン)なり。世に日光責と称し所所の別所に、日光責の道具を数品掛ならべ置り」
※言継卿記‐永祿一二年(1579)二月七日「強飯樽以下驚目了」
〘名〙 「こわいい(強飯)」の変化した語。
※落窪(10C後)一「あこぎ、いかで物まゐらん、いかに御心地あしからむと思ひまはして、こはひをさりげなくかまへて」
〘名〙
① 米を甑(こしき)に入れて蒸して炊いた飯。粘りのないかたい飯なので、笥(け)、土器、葉などに盛った。これに対して水炊きの飯は、堅粥(かたかゆ)、姫飯(ひめいい)といった。こわい。〔十巻本和名抄(934頃)〕
※源氏(1001‐14頃)薄雲「ここは、かかるところなれど、かやうに、たちとまり給ふ折々あれば、はかなき果物、こはいゐばかりは、聞し召すときもあり」
② 祝いなどに用いるあずき入りの飯。赤飯。こわめし。
※俳諧・毛吹草(1638)七「ふかふかと置はすの葉の露みえて いげたちやまぬ盆のこはいひ」
[語誌](1)「源氏‐末摘花」には、「御かゆ、こはいひめして、まらうどにもまゐり給ひて」とあり、「かゆ」と「こわいい」が対比して用いられている。上代・中古の「こわいい」は、現在の糯(もち)米によるものだけではなく、粳(うるち)米を蒸したものもあったらしい。また、米に限らず麦、雑穀によるものにもいったようである。
(2)近世には主に糯米を蒸したものを指すようになり、また「めし」が日常語として広く用いられるに従って、「こわめし」と呼ばれるようになった。
(3)女房詞では、「こわくご」「おこわ」と呼ばれ、とくに「おこわ」は小豆を混ぜた赤飯にいうようになった。
〘名〙 糯米(もちごめ)を蒸籠(せいろう)で蒸したり、釜で炊いたりした、歯ごたえのある飯。ごうはん。→こわいい(強飯)
(イ) 祝儀に用いるため小豆(あずき)を入れた飯。赤飯。おこわ。
※今川大双紙(15C前)食物之式法の事「こは飯などくふ様、縦箸すわりたれ共箸にてくふべからず」
(ロ) 江戸時代、葬儀の時に用いた米だけの白蒸(しらむし)。または、白大豆や黒豆を混ぜた飯。
※雑俳・柳多留拾遺(1801)巻九「こわめしに目玉の有はあはれ也」

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世界大百科事典内の強飯の言及

【大炊寮】より

…平安時代末期以降,大外記中原師遠の子孫が頭を相伝し寮領を管領した。大炊寮は《和名抄》ではオホイノツカサ(於保為乃豆加佐)と訓じ,オホイはオホイヒ(大飯)で,飯は甑(こしき)で蒸した今日の強飯(こわめし)である。今日の米を煮た飯は饘(かたかゆ)で主水司がつかさどった。…

【飯】より

…〈たく〉は燃料をたいて加熱する意と思われる。飯の炊き方には煮る方法と蒸す方法とがあり,古く日本では(こしき)で蒸した強飯(こわめし)を飯(いい)と呼び,水を入れて煮たものを粥(かゆ)といった。粥はその固さによって固粥(かたがゆ)と汁粥(しるかゆ)に分けられた。…

※「強飯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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