(読み)ヒン

デジタル大辞泉 「品」の意味・読み・例文・類語

ひん【品】

[名]人や物にそなわっている、好ましい品格・品質。「がよい」「がない」
[接尾]助数詞。料理などの品数を数えるのに用いる。上に来る語によっては「ぴん」となる。「二注文する」
[類語](品位品格気品風格格調沽券気位みやびやか優雅優美みやび高雅典雅風雅優形やさがた上品ゆかしい奥ゆかしいしとやかたおやか女性的エレガントドレッシー婉麗えんれい優優典麗麗しい静淑優婉閑雅婉然楚楚そそ窈窕ようちょう端麗温雅物柔らか気高い雅趣高尚つつましいつつましやかしおらしい清雅高踏雅致﨟長ろうたけるみやびる端雅都雅やんごとない高貴

ひん【品】[漢字項目]

[音]ヒン(漢) ホン(呉) [訓]しな
学習漢字]3年
〈ヒン〉
いろいろな物。しなもの。「品質品種品目遺品佳品金品景品作品出品小品商品食品新品製品絶品珍品廃品備品部品物品薬品良品
物や人の質によって分けた等級。「品位品格気品下品上品人品
等級をつける。「品評
〈ホン〉
等級。「九品くほん下品げぼん上品じょうぼん
仏典の中の編や章。「普門品ふもんぼん
昔、親王・内親王に賜った位階。「品位
〈しな(じな)〉「品数品品品物粗品そしな手品
[名のり]かず・かつ・ただ・のり・ひで

しな【品/科/階】

(品)何かに使用する、形のあるもの。品物。「見舞いの―」「結構なお―」
(品)商品。「良い―を安く売る」「―が豊富な店」「―ぞろえ」
物の品質。「―が落ちる」
材料や品質の良し悪しによって分けた種類。等級。「―分け」
(科)ちょっとしたこびを含んだ身ぶりしぐさ。特に、女が男に見せるようす・態度についていう。「―をする」
地位。身分。家柄。
「人の―高く生まれぬれば」〈・帚木〉
人の品格。人柄。品位。
「さぶらふ中に―心すぐれたる限りをりて」〈・若菜上〉
きざはし。階段。
御階みはしの中の―のほどに居給ひぬ」〈・若菜上〉
物事の事情、立場。
「徳様も死なねばならぬ―なるが」〈浄・曽根崎
[類語](1)(2品物物品金品代物製品売り物商品売品非売品商い物/(3)(4品質品柄質的定性的クオリティー/(5嬌態媚態

ほん【品】

[名]
古代の中国で、官人に与えられていた位階。
日本で、親王内親王に与えられた位階。一品から四品まであり、無位の者は無品むほんとよばれた。品位ほんい
日本で、位階の異称。
[接尾]上に来る語によっては「ぼん」「ぽん」となる。
仏教で、極楽往生する者の能力や性質などを等級に分ける語。上中下に分け、さらに、それぞれを上中下に分ける。→九品くほん
仏典の中の編や章に当たるもの。「方便

ぽん【品】

[接尾]ほん(品)」に同じ。「法華経二十八

ぼん【品】

[接尾]ほん(品)」に同じ。「三成就」

ぴん【品】

[接尾]ひん(品)」に同じ。「一料理」

ほん【品】[漢字項目]

ひん

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精選版 日本国語大辞典 「品」の意味・読み・例文・類語

しな【品・科・階】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 階段。きざはし。
      1. [初出の実例]「階陛 倭云之那(シナ)」(出典:新訳華厳経音義私記(794))
      2. 「御階の中のしなの程に居給ひぬ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
    2. 種類。また、等級やその違い。差異
      1. [初出の実例]「因りて物贈ること各(おのおの)(シナ)有り」(出典:日本書紀(720)欽明二年四月(寛文版訓))
    3. 人の位(くらい)。身分。地位。
      1. [初出の実例]「位の階級(シナ)を闕(もら)せり」(出典:日本書紀(720)斉明二年是歳(北野本訓))
      2. 「人のしな高く生まれぬれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
    4. 人や物の品格、または品質。
      1. (イ) ( 人間に関して ) 人品。人柄。ひん。
        1. [初出の実例]「見知り顔にほのめかす、いとしなおくれたるわざになむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
      2. (ロ) ( 物事の状態、性質に関して ) 風情。風格。品格。
        1. [初出の実例]「この半臂の句は、必ずしなと成りて姿を飾るものなり」(出典:無名抄(1211頃))
    5. 物事の事情や理由。
      1. (イ) そうなった事情や立場。
        1. [初出の実例]「あたまから御かへりの後は、としてかくしてと、其品(シナ)をかかるべし」(出典:浮世草子・傾城色三味線(1701)京)
      2. (ロ) 理由。わけ。
        1. [初出の実例]「此度の合戦に大将の御目に及ぶ程の高名せよかし、それを品に勘当許し」(出典:浄瑠璃・吉野都女楠(1710頃か)三)
    6. 方法。しかた。やりかた。
      1. [初出の実例]「罪科に依て、成敗のしなあり」(出典:中華若木詩抄(1520頃)上)
    7. 相応の格式をもった物。また、単に品物。もの。
      1. [初出の実例]「かれら、これらをとりあつめ、十二のしなでぬふたる、かたかた物ただ一まい」(出典:虎明本狂言・吃(室町末‐近世初))
    8. ちょっとしたしぐさやふるまい物腰。態度。特に、あだっぽいしぐさ、様子。媚(こび)をふくんだしぐさ、様子。
      1. [初出の実例]「そろそろと・目から品つくむすめの子」(出典:雑俳・神酒の口(1775))
    9. 感情のこもっていること。情味。→しなを有らす
  2. [ 2 ]しながわ(品川)」の略。
    1. [初出の実例]「品の客酒たけなわにおよんだり」(出典:雑俳・柳多留‐一〇(1775))

品の語誌

( [ 一 ]について ) ( 1 )新撰字鏡」で「陛」「層」「」につけられた和訓に「シナ」とあることや、地名の「しなの」「さらしな」「やましな」などから、本来は階段状の地形を表わす語であったことが考えられる。
( 2 )これがその後、同類の事物間に存する階層や差異、人の身分、さらに転じて、人や物の品格をも意味するようになる。


ほん【品】

  1. 〘 接尾語 〙
  2. [ 一 ] 位階を示す語。
    1. 古代の中国で、官人に与えられていた位階。早く、春秋時代から行なわれていたが、制度として確立したのは北魏の文帝の頃、陳群が九品官人之法を定めたのに始まる。
      1. [初出の実例]「九品以上の官の者」(出典:今昔物語集(1120頃か)九)
      2. [その他の文献]〔国語‐周語中〕
    2. 日本で、親王・内親王に与えられる位階。一品(いっぽん)から四品(しほん)まであり、無位の者は無品(むほん)と呼ばれた。品位(ほんい)
      1. [初出の実例]「一品。礼服冠。〈四品以上。毎品各有別制〉」(出典:令義解(718)衣服)
    3. 日本で、位階の別称。もともと「位(い)」というべきものを唐風にならって称えたもの。
      1. [初出の実例]「自当寮頭、登四品之栄爵」(出典:本朝文粋(1060頃)六・為小野道風申山城守近江権介状〈菅原文時〉)
  3. [ 二 ] 等級、種類、部類などを示す語。
    1. 仏教で、極楽往生する者の能力や性質を分けたもの。上中下に分け、さらに各々を上中下に九つに分ける。
    2. 一般に能力、性質などを上中下に分けた等級。
    3. 身分。階級。→侍品(さぶらいほん)
  4. [ 三 ] 仏典の中の、章節に当たるもの。一編・一章をいう。章。部。
    1. [初出の実例]「乞者来たり。法華経品を読みて物を乞ふ」(出典:日本霊異記(810‐824)上)

ひん【品】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 種類。品種。しな。
    2. 人や物事にそなわっている品格や品質。しな。
      1. (イ) 品位。品格。風格。
        1. [初出の実例]「ひんの能いばばあ扇子の芝でなき」(出典:雑俳・柳多留‐一一(1776))
      2. (ロ) 品質。
        1. [初出の実例]「帛 ヲリモノノ ヒンカ コノゴロハ ヨフゴザラン」(出典:交隣須知(18C中か)二)
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 料理などの品数を数えるのに用いる。上にくる語によって「ぴん」となる。
    1. [初出の実例]「料理が二三品(ピン)運ばれて」(出典:放浪時代(1928)〈龍胆寺雄〉五)

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普及版 字通 「品」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

[字音] ヒン
[字訓] しな・たぐい・かず・のり

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
三口に従う。口は祝を収める器の形で(さい)。多くの祝を合わせて行うことをいう。〔説文〕二下に「衆庶なり。三口に從ふ」と衆人の意とし、〔段注〕に「人三を衆と爲す。故に三口に從ふ」と、口を口耳の口と解するが、特定の秘匿のところで祝を行うを區(区)といい、その声を歐(欧)(おう)・謳(おう)といい、これを呵してその呪能を促すを(おう)という。これらのことからいえば、品は祝に関する字である。四口を(しゆう)といい、囂(ごう)・(器)・(きよう)なども、みな祝に関する字である。多く祝を列することから、区別・種類・品第をいう語となる。金文の〔(えいき)〕に「臣三品を賜ふ。州人・東人・庸人なり」とあって、三品とは三人の意ではなく、それぞれの部族の、出身を異にする徒隷をいう。〔小盂鼎(しよううてい)〕には「そ區(わか)つに品を以てす」とあり、俘虜を部族別に分かったのであろう。人の身分や性情について用いることが多く、品流・品第・品性・品格のようにいう。

[訓義]
1. しな、もろもろ、いろいろのもの。
2. たぐい、がら、たち、いろ。
3. わかつ、しわけ。
4. かず、しなごと、みな。
5. のり、さだめ、すぐれる、ひとしい。

[古辞書の訓]
名義抄〕品 シナ・タグヒ・シナシナニス・モロモロ・トモガラ・タシカ・ヒトシ

[部首]
〔説文〕に嵒(がん)・(そう)の二字を属し、〔玉〕にを部首として別出、品部に星・參(参)の上部を品の形として属する。嵒の上部は岩石の形。星の上部は晶と同じく星の形。參は(しん)((かんざし)の玉)の形に従うもので、品と異なる。

[声系]
〔説文〕に品声として臨・嵒・の三字を収める。臨の初形は天より監臨する形の下に品をそえたもので、霊の監臨を祈る意で会意。また嵒九下は「山巖なり」とあり、「讀みて吟の(ごと)くす」という。(がん)もまたその声の字で、三字みな品声と異なる。嵒・の従うところの品も岩石の形、祝を列する品と異なる。

[熟語]
品位・品彙・品画・品格・品覈・品学・品鑑・品級・品行・品裁・品詩・品次・品地・品事・品式・品質・品・品庶・品叙・品状・品制・品性・品選・品藻・品族・品第・品題・品致・品秩・品茶・品丁・品定・品度・品評・品物・品別・品望・品・品目・品流・品量・品類・品列
[下接語]
遺品・一品・逸品・佳品・華品・官品・寒品・気品・奇品・貴品・九品・郷品・群品・差品・三品・士品・資品・衆品・出品・庶品・小品・商品・上品・神品・新品・人品・清品・精品・製品・絶品・粗品・贓品・題品・茶品・中品・珍品・廃品・備品・評品・物品・妙品・名品・門品・薬品・尤品・庸品

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