借りる(読み)カリル

デジタル大辞泉 「借りる」の意味・読み・例文・類語

か・りる【借りる】

[動ラ上一]《動詞「か(借)る」(四段)の上一段化》
あとで返す約束で、人の物を一時的に自分のもののように使う。「友人から金を―・りる」「図書館で本を―・りる」⇔貸す
使用料を払って一定の期間自分の用に使う。「アパートを―・りる」⇔貸す
他より知恵・力などの助けを受ける。「年長者の知恵を―・りる」⇔貸す
ある目的のために一時的に他の物を利用する。「この場を―・りて一言お礼を申し上げます」「あなたの言葉を―・りて言えば」
[補説]上一段活用の「借りる」が用いられるのは近世後期の江戸語から。今日、共通語では「借りる」であるが、関西では五段活用の「借る」が用いられる。
[類語](1)(2借用する寸借する恩借する借金する借財する借銭する賃借する賃借りする転借する前借する前借りするチャーター借り入れる借り切る借り受ける借り上げる借り出す借り換える借り倒す踏み倒す謙譲拝借する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「借りる」の意味・読み・例文・類語

か・りる【借】

  1. 〘 他動詞 ラ行上一 〙 ( 四段活用動詞「かる(借)」から転じて、近世中期以後、江戸で盛んに使われるようになり、現在の共通語となった )
  2. 後で返す約束で、ある期間、他人の物を、自分で使うために自分の手もとに移す。また、そのように土地、建物、部屋などを使う。
    1. (イ) 金銭品物などの場合。〔運歩色葉(1548)〕
      1. [初出の実例]「内で給金を借(カリ)やうといへば」(出典滑稽本浮世風呂(1809‐13)三)
    2. (ロ) 土地、家、部屋などの場合。
      1. [初出の実例]「これはしゅ国一見の地ざう房と名のって、宿かりる」(出典:天正本狂言・地蔵坊(室町末‐近世初))
  3. 他の援助や協力を受ける。
    1. [初出の実例]「女子の口を藉(カリ)るを良とす」(出典:内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉一二)
    2. 「あなたに智慧を借りれば好いの」(出典:別れた妻に送る手紙(1910)〈近松秋江〉)
  4. ( 比喩的に ) あるものを仮に自分の目的のために使う。
    1. [初出の実例]「彼の言葉を藉(カ)りれば」(出典:芥川文学の魅力(1954‐55)〈中村真一郎〉二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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